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小説 永久に切なく愛おしい記憶

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大学での実体験を元にした創作小説。 ほぼ全て実話ですが少しのスパイスを加えて調理しました。 あの時、別の選択をしていたら。 あの時、あなたの思いに気づけたら。 あの時、自分を好…
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永久に切なく愛おしい記憶 3

永久に切なく愛おしい記憶 3

本記事は連載予定の小説です。
セミフィクション。実話を元にした創作作品です。

大連空港について、各自躊躇いもなくホストファミリーと合流するみんなのスムーズさに慌てながらも、私も「凛月」と書かれた紙を持ってニコニコしている自分のホストファミリーを見つけた。

例の日本人学校で中国語を教えているというお母さんだ。
体型はふっくらしていて、肝っ玉母さんという感じ。でも清潔感があって、まだまだ発展途上だ

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永久に切なく愛おしい記憶 2

永久に切なく愛おしい記憶 2

本記事は連載予定の小説です。
セミフィクション。実話を元にした創作作品です。

初めての方は1からお読みください。

https://note.com/vitrail/n/nd821503bd351

待ちに待った3月初旬。
ついにこの日が来た。

私は、空港に立っていた。
やたらと高い天井が私の気持ちをも押し上げる。

持ち慣れないスーツケースに引っ張られるようにここまでやって来た。
キャスター

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永久に切なく愛おしい記憶 1

永久に切なく愛おしい記憶 1

本記事は連載予定の小説です。
セミフィクション。実話を元にした創作作品です。

あの日、君が私に飛ばしたウインクから放たれた星のかけら。
今も私の胸に刺さったまま、時折平穏な日々の中にきらりと輝いて見せる。

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大学2年の秋ごろのことだった。
暑く茹だるような日差しと熱気が少しずつ弱まり朝は少し乾燥した空気が通るようになった頃、私の大学生活は、一年目と比べればだいぶ落ち着

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