メディア社会とリテラシー(上)〜Tiktok女子高生特定事件はなぜ起きたのか?その背景にある承認欲求とメディア・リテラシーのジレンマ〜
これはつい最近、ある女子高生Tiktokの生配信中に
自身の口から個人情報を発信し、リスナーに特定されるという事件が起きた。
経緯をまとめると
・動画配信アプリTiktokでライブ配信を行っていた女子高生がリスナーを挑発するかのように、自身の個人情報を公表する。
・リスナーの中に「特定班」が現れ、彼女の通っていた高校を特定。
・親デコ(親が配信に乱入すること)をされ、彼女が通っていた高校にリスナーから電話が殺到。学校再度から苦情が入る。
といった流れである。
ここでは彼女の通学する学校名はプライバシーの観点から公表しないが、
恐らくではあるが、学校でも話題になり、彼女は退学したなどの噂が流れている。
2.なぜこのような事件が起きたのか?
近年17ライブやポコチャなどの個人が主体となり、生放送で発信する
いわゆるライバーと呼ばれるインフルエンサーが増えた。
さらにInstagramやTiktokでもライブ配信は可能であり、フォロワーとの距離がかなり近くなったとも言える。
しかし、配信者の中には「炎上」をあえて狙った「炎上系」も存在する。
かつて「炎上系Youtuber」なるものが話題になったことも記憶に新しいが、
Youtubeではシステム上、反社会的な行為やポルノなどは即座に規制されるようになっている。
場合によってはアカウントが削除されるなどの処置も施される場合がある。
しかし、生配信では基本的に生で行われるので、リスナーとリアルタイムでコミュニケーションができる。
中には配信者を煽るコメントがあったり、リスナーがコメント欄で口論になるということは珍しいことではない。
この女子高生の場合、リスナーに煽られて自身の個人情報を晒したようである。
背景から伺えることは、女子高生がまだ比較的若いということと、
メディア・リテラシーについて全く教育されていないことに原因があるのではないかと考察した。
さらに掘り下げていくと、現代人が抱える「承認欲求」の闇が垣間見える・・・
3 メディア・リテラシーとSNS
まず最初にメディア・リテラシーについて簡単に触れておこう。
総務省公式ホームページを参照するとこう述べてある。
1.メディアを主体的に読み解く能力。
2.メディアにアクセスし、活用する能力。
3.メディアを通じコミュニケーションする能力。特に、情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ) コミュニケーション能力。
簡単にまとめると
情報(メディア)を受け取る側が、情報の真偽をチェックし、騙されないようにする。
そして発信者としても、嘘や偏見に満ちた情報を発しないようにする。
ということである。
確かに国内外でもメディア・リテラシーが問われる場面が増えたと思う。
その一例にアメリカのトランプ政権がある。
A.Qアノンの誕生とソーシャル・メディア
ここであえて話題を変えるが、
今年の4月頃、アメリカでアジア系に対する暴行を加えるという事件が全米で多発した。
この行動はヘイト・クライムと呼ばれ、人種のサラダボールとも比喩されるアメリカでは頻繁に発生している。
昨年、黒人男性のフロイド氏が白人警察官によって殺害されるという事件をきっかけに
Black Lives Matter(BLM)運動が世界中で発生した。
元々人種差別はアメリカ各地で起きている事柄であるが、この暴力的な行動に拍車をかけたのが、
ドナルド・トランプ氏のSNSによる発言である。
彼は保守的且つ攻撃的な大統領として知られているが、
問題は彼のネットによる人種差別とも捉えられる発言の数々と、彼をサポートする層である「トランプサポーター」の多くは教養がない層や右翼的なキリスト教信者であることである。
もっと恐ろしいことは、彼らがSNSを利用してあたかもそれが「事実」であるかのように見せる「トリック」を行ったことである。
アメリカ版5ちゃんねること「4Chan」で
Qアノンと呼ばれる陰謀論者が、トランプ大統領はディープ・ステイツやカバルという悪の組織からアメリカを守ってくれるという都市伝説が流れ、
その結果、トランプをサポートする方々が増えた。
大統領選の映像を見ればわかるが、「Q」というロゴのシャツやキャップを被った人がちらほらいるだろう。
彼らがQアノン信者である。
Qアノンが唱える説は論理的に考えても実証が難しいような内容で、実際にヒラリー・クリントン氏やビル・ゲイツ氏がカニバリスト(人肉食者)であるという根拠はどこにもない。
このQアノンが台頭した背景には
ソーシャルメディアが誰にでも発信可能であること。
それゆえ、悪意のない悪意が拡散されてしまったこと。
ではないだろうか。
アメリカは列記とした格差社会である。
コロナウイルスの影響もあってか、失業したり、生活がまともに送れない人が増えてきた。
一方でセレブたちは金持ちなので、アメリカの底辺とは真逆の生活をしたり、Instagramで豪華な生活を自慢しがちと。
それを快く思わない層の人間にとって、Qアノンの唱える
「セレブが幼児から美容成分を搾取している」
という陰謀はまさに打って付けだろう。
つまり、誰かを批判するために、この陰謀論は
底辺層の方からうまいこと利用されたのである。
このように、嘘を判断できないと、自分が差別する側に立っている可能性がある。
しかし、皮肉にもそのような立場の方々は自分が差別に加担しているということを全く自覚していないのである。
(元2ちゃんねる管理人ひろゆき氏の名言。この時期からフェイクニュースや虚偽が元に事件が起きていた)
B.ネット中毒〜デジタル・ドラッグ〜
ベストセラーになったアンデシュ・ハンセン著「スマホ脳」(新潮新書)が記憶に新しいが、
世界中で問題視されるほど、スマートフォンやSNSの利用による依存症が大きな健康不純を招いている。
現代人の日常にとって、スマホは必須品である。
取引先とのやりとりはLINEだ。Zoomで会議する。など
ほとんどがスマホで完結してしまう時代である。
外出をすると、電車で携帯電話をいじっている人の割合がほとんどであり、
まるでスマホに人間が利用されているようである。
実際、現代人がシステムに搾取されているのは事実である。
例えば、
欲しくないのに買ってしまった。
という経験はないであろうか。
この症状は通販サイトAmazonでしばしば見られる光景である。
Amazonでは、市場に流通しているメーカー希望価格の下に
Amazonが安くした値段が表示されているのがスタンダードである。
一見得したように見えるが、それはAmazonが人間の購買意欲を刺激するように仕向けた、心理学的な罠である。
それゆえ、何も知らない我々は無意識に「カートに入れる」わけである。
Googleではその人が検索したデータによって広告の種類が変わるのはご存知であろうか。
もしあなたがカメラの情報を検索すれば、ブログやSNSの広告にカメラのセール情報が表示される。
ファッションに関心がある方は、アパレルブランドの広告が表示されるアルゴリズムである。
では、ヘイトやネガティブなことを検索していたとすれば、あなたはどうなるであろうか?
もちろん、保守的な政治的キャンペーンや得をしないローン会社のリボ払いなどの広告が頻繁に表示される。
このことはSNSを利用する際にも気をつけるべきである。
なぜなら、ヘイト発言や不安を煽るような記事を検索もしくは「いいね」をしたとすれば、プログラムがあなたに対してその広告や記事を見るように扇動させる。
無意識にあなたはネット依存症という薬物中毒になっているのだ。
それゆえ、正常な判断ができなくなったり、差別的な書き込みをしたり、誹謗中傷に加担したりすることもありうるのだ。
ハンセン氏いわく、スマホは抗不安剤のようなものを一日に300回を摂取されているような者であり、
人はスマホを定期的に確認しないと不安になってしまう。
この症状は離脱症状に似ている。
離脱症状とは、精神安定剤を罹患している人が、薬の効力が切れると急激な不安に襲われたり、体から魂が抜けてしまうような症状である。
これの軽いバージョンがスマホ利用者に起きているという。
確かに、スマホがなくても生きていけるが、手元にないと不安である。
つまり、私たちはスマホやSNSによってジャンキーにされたようなものである。
メディア・リテラシーをきちんと理解してたとしても、薬物中毒になってしまっては正常な判断が不可能であると私は考える。
脳レベルで侵略されてしまっては、もうどうしようもない。
C. DHC代表による在日コリアンに対するヘイト発言
DHC会長・吉田嘉明氏が投稿した文章が差別であると批判を浴びた。
ことの発端はサプリメント事業のライバル社である、サントリーが広告に在日コリアン系のモデルやタレントを起用していると発言したうえ、
コリアンに対して侮辱するような名称とサントリーをかけて
「チョントリー」
と呼んだことが問題となった。
この件を報道したNHKに対して会長は
「NHKは日本の敵である」
と発言したことからさらに炎上。
Twitterで#差別企業DHCの商品は買いません
というハッシュタグの投稿が多数寄せられた。
https://top.dhc.co.jp/contents/other/kuji_about/
問題点は発信者がファクト・チェックをせず、さらに差別的な発言を上乗せするという
メディア・リテラシーに叛くような行為を多くしている。
まず、サントリーが在日コリアンのタレントを積極的に採用しているという根拠はない。
そして、NHKの社員の多くは在日コリアン系であるとの発言もまた根拠は全くない。
彼の大きなミステイクは、根拠を示さずに発信したこと。
さらに差別的である発言で注目を集めようとした点であった。
インフルエンサーによる差別的な発言国内外に限らず、
大物政治家や経営者などもヘイトに加担する例も多数あるほどである。
この問題の背景にあるものは
なぜ誰もヘイト発言を止めようとしなかったのか?
という点ではないだろうか。
確かに、会長や上司に逆らったら何をされるかわからないという問題があるのは事実である。
メディア・リテラシーが求められるのは情報を受け取る側だけではない。
むしろ、大きい権力や財産を持つ富裕層にも教育は必要なのである。
もっと深掘りをすれば、
ファクト・チェックするするスキルが必要である。
3.承認欲求が人間を暴走させる〜ネット社会と孤独〜
SNSには必ずと言っていいほど「いいね」という機能がついている。
ボタンひとつで「あなたの投稿が気に入りました」
というアピールにもなる。
そしてフォロワーの数が多ければ多いほど、そのアカウントは良いアカウントとされる。
しかし、あくまでフォロワーの数が多くても、情報としての信憑性が高いとは言えない。
例えば、フォロワーを購入できるサイトがあるのはご存知であろうか。
フォロワーがいきなり増えるアカウントが存在するが、
お金で買っているというパターンが多い。
この背景には「承認欲求」という問題が存在する。
フォロワーを集めるため、インフルエンサーは露出度の高い服晒したり、
高級ブランド品などを浪費する。
実際フォローが増えてもお金が入るというシステムは今の所存在しない。
しかし、フォロワーが多ければ多いほど
「有名人」になった気分になる。
そこに承認欲求を刺激し、中毒にさせるトラップが仕込まれているのだ。
お金で個人が浪費する分には問題はないが、
学校や社会を巻き込んで迷惑行為を行う、
「バカッター」
なるものが増加した。
さらに、Tiktok上でバイト先で不衛生な行為を行ったり、
デパートで犯罪行為を行うことを投稿するなど、
若者のモラルの低下を招いたのは事実である。
なぜ若者がこのような民度の低い行動に移ってしまうのか?
純粋に「他者に見られることにより、承認欲求を満たされる」という快楽が脳内に発生しているのではないかという説がある。
さらにその快楽から現代人が抱える「孤独感」を埋めるようになったのではないか?
小学生や中学生の頃、いわゆる陰キャに分類されていた生徒が
高校生になりスマートフォンを持ち、自分を認めてもらいたくて
過激な行動を行う。
つまり、インターネットにおけるSNSとは、ナード(オタク)が暴走をしやすいようなシステムなのである。
先程の女子高生のように、自身の個人情報を堂々と晒すことによって、ネットで煽り倒し、
結果として特定され嫌がらしを受けるというケースが存在する。
個人情報を自ら晒すという愚かな行為は、一般的な感覚であればないことだが
多くのフォロワーに見られているという欲求が、危ない行動の足枷となったとも言える。
古くからは匿名の掲示板が原因で、凶悪な事件を起こしたという例もある。
秋葉原無差別殺傷事件の犯人・加藤智大死刑囚はインターネットでの書き込みに腹を立て、犯行に及んだという。
インターネット時代の問題点は、ユーザー同士の心理的な距離が近い分、実生活での人間同士のコミュニケーションが疎くなりつつある。
その分、現実社会の人間に対して不信感を募らせたり、根拠のない怒りを感じたりするなど、人間の持つ負の感情をさらに強調させる結果になった。
4.退学者による実際の高校は?〜インタビューして見えた高校教育の闇〜
今回、知り合いにたまたま渦中となった女子高生と同じ高校を自主退学した女性がいたので、彼女に取材をした。
Q1.通学していた学校はどのような雰囲気でしたか?
〜田舎の学校だったので、自転車で通学している学生が多かったです。雰囲気的には偏差値が高くない学校でしたので、不真面目な生徒が多数いました。
Q2. 不真面目というと、ヤンキーやギャルの類ですか?
〜ヤンキーは少なかったです。そもそもギャルもいません。しかし、バカが多いのでクラスの授業が進行しないこともありました。本当に勉強したい人にとっては時間の無駄と思えます。
Q3クラス替えとかはありますか?全日制高校ですと、それぞれのレベルや偏差値によってクラスやコースが分類されます。ここの高校はどうでしたか?
〜クラスは入学した時から卒業まで同じメンバーです。馬が合わない人が同じクラスなら、三年間一緒。私は1年ほどで別の高校に転校したので、クラスの現状は知りません。
Q4.今回私からこのような事件が起きたことを連絡しましたが、高校ではスマートフォンに関する制限はありましたか?
〜SHR(ショート・ホーム・ルーム)の時間に担任が各自のスマホを回収するということが毎回行われています。なぜなら、授業中にケータイをいじっている生徒がいれば、授業にならないからだそうです。しかし、スマホを回収したところで、逆に携帯電話の中身を見られているのではないかという不安もありました。
Q5.SNSでのトラブルはありましたか?
〜私が高校を変えるきっかけとなったのも、同級生とのSNS上でのトラブルでした。さらにクラスが頭が悪かったので、精神的にも披露してしてしまい、学校をやめるという選択をしました。
Q6.今回の事件を分析してみて、学生にメディア・リテラシー教育の必要性を感じました。個人情報を晒すという行為は犯罪の被害に遭ったり、就職活動において不利になることもあります。なぜこのような事件が起こってしまったのでしょうか?
〜メディア・リテラシーを教えたとしても、意識する人はこの学校において少数だと思います。確かにマナーやプライバシーの安全を自己防衛するのは、ユーザーとしての責任でもあります。しかし、調子に乗って自分の個人情報を晒したり、援助交際をしている学生はいるのではないでしょうか?
今回の取材において、若者とインターネットに関わるトラブルは学校教育の学力に関わるのではないかと(著者は)考察した。
私の通っていた定時制高校では、学生がスマートフォンでインスタやtwitterに自身の個人情報を書き込んだり、他者に対する誹謗中傷を書き込んだりするなどの事件はあった。
逆に進学校に通っていた知り合いに聞いてみたところ、そのような事件は金輪際起きなかったという。
SNSでのトラブルを回避するには「論理的思考能力」が必要である。
論理的思考とは、
ある物事に対して判断するとき、矛盾がなくどの人物でも納得がいくように「筋道」を立てて解決をすることである。
もしスマホでトラブルを回避したければ、
・SNSは使わない
・フォローは家族のみにする
・使用時間は一日3時間まで
とも対策可能であり、
・他者の書き込みは信用しない
・匿名の掲示板の情報は、出典元を明確にする。
などの対策も必要である。
しかし、若者で論理的思考ができるという人は比較的、少ない。
高校教育の現場では、主にテストで点数を多く取ることが目標である。
すなわち、暗記中心である。
暗記教育のデメリットは「忘れる」「自分の力で考えない」という点であろう。
しかし、論理的思考には多少の知識が必要である。
一方、暗記で答えられる問題は一夜漬けで誰でも解けてしまうという側面もある。
日本人は努力という「感情論」「精神論」を重んじる文化である。
しかし、それらの非論理的思考では「問題解決能力」は身に付かない。
実社会においては答えのない問題が多数を占めている。
メディアも答えのない場面が多いと考える。
よってメディア教育の際には、論理的に物事を判断できるスキルが必要なのだ。
5.メディアを正しく理解する〜ファクト・チェック力〜
基本的にテレビや雑誌など大手メディアに出る情報は「修正」が入っている。
・この情報のウラはあるか?
・スポンサーにとって都合が悪い情報はないか?
・記事や放送が倫理的に問題はないか?
などのフィルターを通して、我々の元に届く。
例えるのであれば、ステーキは
切り取りされ(CUT)、衛生検査され(PROOFREADING)、加熱され(EDIT)
私たちの元に届く。
つまり、大手メディアでは加工された肉であり、純粋な生の状態ではない。
あくまでも情報の断片にしか過ぎないのだ。
それゆえ、ひとつのニュース番組、SNS、記事を鵜呑みにすることは
その店のステーキしか食べたことがないのに、ステーキ全般を評価するようなものである。
このような感覚になってしまうと、偏った情報しか信用しなくなり、過激な思想にとりつかれる可能性がある。
このような「残念な人」にならないために必要なのは
ファクト・チェック力である。
情報過多社会において、情報の選別は必須である。
玉石混合のオンライン社会生活において、1日に膨大な量のインフォメーションに遭遇するが、全て正解であるとも限らない。
情報は以下のタイプに分類できる
・根拠が正確で中立的な情報
・根拠にかけているが正確な情報
・嘘と真実が混ざっている情報
・悪意がないが非正確な情報
・悪意のある嘘の情報
特に気をつけて欲しいのは、「嘘と真実が混ざっている情報」と「悪意がないが非正確な情報」である。
SNSで検索すると、
「5Gは体に良くない」「コロナワクチンは体に有毒である。」
といった情報は比較的判断しやすいと思うが、このニュースはどうだろうか。
この事件は「嘘と真実が混ざった情報」を信じたことが原因で起きてしまった事件である。
ピザゲートとは、アメリカの悪魔崇拝組織が未成年を誘拐して、あるピザ店がセレブ向けに性的搾取や拷問を行っているという都市伝説である。
しかし、噂話程度であったピザゲートはある人物の逮捕により、信憑性をましてしまった。
その人物がジェフリー・エプスタイン。
彼は実業家であるのだが、2019年に性的人身売買の罪で逮捕された。
そして少女を自身が所有する島に監禁し、セレブとともに豪遊をしていたという事実が明るみになった。
皮肉にも彼は獄中で自殺してしまったが、このことが陰謀論者の間で
「やはりピザゲートは真実であった」
という認識を生んでしまった。
この結果、ピザ屋「コメット・ピンポン」を襲撃するという事件に至ったのだ。
ここで理解して欲しいのは、
・「事実」と「噂・フェイク」を分離して考える
・陰謀論はあくまでも陰謀論
・出典を明確にする
ことであろう。
エプスタイン氏が性的人身売買で逮捕されたのは事実。
ピザゲートが存在するのは噂。
そう切り離して考えれば、噂を100%信じることはない。
SNS上でタイムライン上に流れてくる情報も同様である。
しかし、嘘であってもtwitterであれば、リツイートやいいねの機能により
すぐ拡散される。
もしあなたがフェイクかもしれないという情報を見た場合、
・リツイートしない
・裏を取る
・他の情報を比較する
といった配慮が必要であろう。
そして、大手メディアでさえもメディア・リテラシーが問われる場面がある。
新聞によって、政治的に右派であったり、左派であったり、ブランドによって大きく異なる。
テレビ局もスポンサーの関係で報道しないニュースなど存在する。
大手だからといって完全に信頼していいわけではない。
その辺を注意すれば、メディアの罠にかからないようになるだろう。
6.発信者としての情報リテラシー
この女子高生特定事件は、女子生徒にのみ非があるわけではない。
特定した人。学校に電話をかけた人にも責任はある。
特定することによって、懸賞金がもらえたり、社会的地位が上がったりすることはない。
彼らがやっている行動は、典型的な偽善であり、自身の行為に対して責任を持たないタイプの人間である。
もし仮に、女子生徒の人生が狂ってしまったとしても、特定班は一切彼女に対して責任は持たないだろう。
しかし、プロレスラー木村花さんの死により、ネットに対する誹謗中傷の書き込みに対して法的な処置が取られるなど
ネット上の法規制がより厳しくなっていくだろう。
下手をすれば、あなたの書き込みや特定行為が人を殺す可能性もある。
あなたが犯罪者にならないためには、どうすればいいのだろうか?
対策として、発信者としての配慮が求められる。
a.嘘は書かない
基本的なことだが、いいね目的や承認欲求のために
嘘を発信しないことである。
嘘が拡散すれば、例えそれがフェイクであったとしても
人は「事実」と認識してしまう。
嘘は調べれば簡単にわかってしまうのだが、そこまで頭のいい人はネットよりも読書をしているだろう。
騙す側も騙される側も悪人になるのがインターネット。
b.出典を明確にする
論文や記事を執筆した経験がある方なら、参考文献や正しい引用のやり方は必ず学であろう。
しかし、あくまでもそれは大学で卒業論文や仕事で記事を書いたことがある人の経験だけであって、一般的には参考文献などは書かないであろう。
しかし、参考文献を記すことは、情報の信憑性を高めるのに役に立つだろう。
ツイートに参考にしたリンクを貼るだけでも、情報としてのエビデンスになりうる。
C.個人情報は晒さない
女子高生の事件しかり、個人情報を晒すことでトラブルになることは非常に多い。
実は意外と簡単に個人情報を特定することは可能である。
ここでは書かないが、アカウントに鍵をかけておくことを推薦する。
そして友達リストも非表示にしておくべきだ。
個人情報は現代社会では資源に等しいほど価値がある。
なぜなら、企業のビジネスにおいて商品を発売するために個人情報を購入しているという会社も存在するくらい、
個人情報は悪用されやすいのだ。
個人情報保護法で守られているとは言え、いつどこで流出するとはわからない。
あくまでネットに載せるのは最低限の情報のみに留めておこう。
d.誹謗中傷に繋がる表現は極力避ける
人間は感情的になりやすい生物である。
なぜなら何千何万年前、私たちの祖先は集団で狩りを行なっていたり、居住生活をしてサバイバルしてきた。
その際、ホモ・サピエンスは脳の発達により、噂話をするようになったという。
理由は、狩りの際にどこでどの場所に「獲物」がいるか。
誰々がどのようなことを企んでいるか。
など、コミュニティを結びつける上でより強固となるスキルだったからだ。
(それを「認知革命」と呼ぶ)
その結果、私たちは2021年に至るまでものすごい飛躍で発明を行なった。
しかし、私たちの脳は狩の時代から完全に進化したわけではない。
現代でも、他人の噂話を耳にしたり、ネットで悪口を書き込むことに一種の快感を覚えてしまうのは
ヒトの本能である。
(詳しいことは「サピエンス全史」を読むことをおすすめする。)
しかし、現代社会においては誹謗中傷は人を殺しうる。
インターネットの書き込みで自殺してしまったタレントや市民が増加している背景には
この誹謗中傷問題が大きく関係している。
このような悲惨を事前に防ぐことは可能である。
誹謗中傷を一切書かないことだ。
そのためには、感情と事実という論理的な思考が必要となる。
簡単にまとめると
ネットでコメントやつぶやきをする際には、
事実:感情=7:3
の法則で書くと良い。
多くの誹謗中傷コメントを観察すると、その多くが感情的である。
事実は1〜2割。
このようにネット社会において、感情に支配されるということは、
機械に感情をコントロールされている、いわゆる「デジタル家畜:人間」である。
もしイライラしている時にはネットに書き込まないのが一番である。
次回予告
上巻ではメディアとの付き合い方について焦点を当てた。
次回の下巻では、メディアにおける加害者になった人物に取材をした。
本当に彼は加害者なのか?
メディアが孕む危険性について考察していきたいと思う。
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