根本的なところ

『日本語教師』という仕事は、自分にとって、天職だと思う。
やっていて楽しいし、苦ではない。
※『教務主任』の職務を除く
この仕事を始めてから視野が広がり、世界が変わった。

30代半ばでこの仕事に出会うまでは、飲食などのサービス業で生計を立てていた。
特に目標を見出せず、ただ上から言われるままに会社員として働いていたが、職業上、不定期な勤務時間で不規則な生活を送っていたため、とりあえず『店長』になることを1つの目標にして、がむしゃらに働いていたこともある。

『店長』になったらなったで、更なる欲が出たときと同じように、今、『教務主任』という立場に、物足りなさを感じている。

何が不足なのかと言うと、沢山ある。

だが、特に感じるのは、飲食業で『店長』になったときと同じように、日本語学校で『教務主任』となった今も会社員であるということに変わりはなく、経営側の人間に対して、現場の声がなかなか伝わらない、相手の心に響かない、あるいは理解し合おうという姿勢が見られないことに、ある種の虚しさを覚えるのである。

飲食業にしろ、介護職にしろ、それらの仕事に真剣に向き合って従事している人の姿は尊い。
それらが不人気なわけは、汗臭いイメージの強い仕事内容だけでなく、やはり、待遇面が他業種と比べると見劣りするからだろう。
これらの業界では、1店舗や1施設のリーダー職に留まるだけでは、他業種の同期の連中にはまだ追いつけない。
本部にまで昇りつめて、例えば、エリアマネージャーやスーパーバイザーなどの地域統括者レベルにまでなって、ようやく他業種のリーダークラスと肩を並べられるようになる。

日本語学校の『教務主任』も『店長』や『施設長』と似たようなものだと思う。
しかも、日本語学校は中小経営が主である。
つまり、どうやっても、スーパーバイザーには上がれない。

ではこの先、どうやってキャリアアップを図っていくべきか。

また、改善されたい点は、待遇面だけではない。
この『日本語教師』という職は、『高校教師』や『大学教授』と同じく『教育職』でありながら、その立場は軽視されており、『飲食業』や『介護職』と同じように冷遇されている業種の一つである。

そこで、業界全体のイメージ刷新を図ってか、『日本語教師』の質の向上を名目に、『登録日本語教師』という資格を、国をあげて新設することが予定されている。

だが、この目論見は前に進まないということが、現場に携わる者の大方の見立てである。
その理由は、いわずもがな。
『日本語教師』不足に他ならない。

『留学生』の受け入れはどんどんやるが、『日本語教師』は厳選するというのは、待遇面を改善してからでないと通用しないに決まっている。

軽視された状態の『日本語教師』、給与の低い『日本語教師』、魅力の感じられない『日本語教師』の職に、誰がわざわざ難易度の上がった資格を取ってまでして就くのだろうか。

毎度ながら、国の施策は、たかが知れている…

『日本語教師』を始めてから『教務主任』を目標にやってきたわけだが、次なる目標を掲げる必要性を感じるとともに、目標の立て方そのもの、根本的な部分、すなわち、生き方の指針を見直す時期にあるのかもしれないと感じている。





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