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獣医師ふーちゃんのやりなおし感染症

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2021年1月の記事一覧

お財布がきつい!どうして抗菌薬を使う前に高額な微生物検査が必要なの!?

お財布がきつい!どうして抗菌薬を使う前に高額な微生物検査が必要なの!?



自由研究のヒント
細菌感染症を治療するときは、どんな細菌なのぺっか正体を知る必要があるよ!
正体がわかれば、常在細菌たちへのダメージを最小限にするため、やっつけたい細菌を狙い撃ちするために狭い幅の抗菌薬にかえられるよ!
幅広い菌に効く抗菌薬は耐性菌が出てしまう原因にもなるんだ。
耐性菌が出てしまうは治療を長引かせるし泥沼戦になるから、避けたいんだ!

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ペットフードに微生物が生えない理由:水分活性Awのおはなし

ペットフードに微生物が生えない理由:水分活性Awのおはなし



自由研究のヒント

微生物が増えるのに必要な水分の割合(水分活性Aw)を低くしたり、密封したあとに加熱殺菌しているからだよ!

ドライフードの水分活性Awは細菌もカビ・酵母も増えにくい0.65以下に抑えられているよ!

セミモイストは保湿剤を添加して微生物が使える水分を少なくしているよ。

ウェットは缶詰などに密封した後加熱殺菌してるよ!

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細菌と動物の熱き戦い~グラム陰性菌編~

細菌と動物の熱き戦い~グラム陰性菌編~



自由研究のヒント
グラム陰性菌は外側にペプチドグリカンが出ていなくてLPSで覆われているから、そのままだとリゾチームがうまく働かない!

補体の活動が活発になってグラム陰性菌の表面に穴をあけるよ!そこからリゾチームが入ってペプチドグリカンを分解できるようになるよ!

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前回の記事ではグラム陽性菌が体内に入ってきた時にどのように動物の体が戦うかをご紹介しました。

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細菌と動物の熱き戦い~グラム陽性菌編~

細菌と動物の熱き戦い~グラム陽性菌編~



自由研究のヒント
グラム陽性菌は分厚いペプチドグリカンという糖からなる壁をもっているよ!
動物の粘液に含まれるリゾチームはこのペプチドグリカンをぶったぎって殺菌的に働くよ!!!

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 グラム陽性菌は体の外側にペプチドグリカンという糖の一種でできた分厚い層があります。(グラム染色の過去記事はこちら)
犬猫や人の体はこうした細菌と戦うための武器をいくつ

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細菌と動物の熱き戦い~前日譚グラム染色編~

細菌と動物の熱き戦い~前日譚グラム染色編~



自由研究のヒント

細菌感染症の治療を考える時に、細菌の特徴を知る重要な検査にグラム染色があります。
青紫に染まるのがグラム陽性菌(ペプチドグリカン層が一番外側)
赤色に染まったように見えるのがグラム陰性菌(LPSなどが一番外側)です。

グラム陽性菌は、赤い色を加えないと透明なままです。原理としては、ペプチドグリカン層の厚さで細菌を区別しているのです。
この一番外側がペプチドグリカンなのかL

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そもそも感染ってなあに?

そもそも感染ってなあに?



自由研究のヒント:
科学の世界で言葉の定義はと〜っても重要!

病原体が体に入って増えることを感染っていうよ!

感染して体によくないことが起きるのが発病で、感染しているのに発病していない状態を不顕性感染というよ!

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生き物好きのみなさんこんにちは。科学の世界では言葉の定義がとても大事です。今回は感染症にまつわる重要な言葉の定義を確認していきます。

細菌やウイルスなどの

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生物の名前ってどうやって決まるのかな?

生物の名前ってどうやって決まるのかな?



自由研究のヒント:
生き物の多くは二名法という方法で決まっている学名があるよ!正式名称だね。
例えば犬はCanis lupus familiaris っていう学名なんだ。
”Canis 家のlupus familiarisくん”というイメージだよ♪

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そういえば今話題の新型ウイルス感染症の件でひとつ興味深いこと読んだので今日は生物の名前について投稿します。

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草食動物の抗菌薬は難しい(獣医師ふーのやりなおし感染症シリーズ)

草食動物の抗菌薬は難しい(獣医師ふーのやりなおし感染症シリーズ)



ウサギや馬の盲腸には、セルロースを分解して栄養素を作ってくれる細菌などの微生物がたくさん!
だから、細菌をやっつける抗菌薬はモノによっては酷い下痢を起こすこともある!
使える抗菌薬の種類は犬や猫より少ないんだよ!

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ウサギは我々小動物診療獣医師にとって犬や猫とはまた別の注意ポイントがある動物です。

ウサギさんは植物から摂取した植物繊維を腸管の中に住ん

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