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細菌と動物の熱き戦い~グラム陽性菌編~

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自由研究のヒント
グラム陽性菌は分厚いペプチドグリカンという糖からなる壁をもっているよ!
動物の粘液に含まれるリゾチームはこのペプチドグリカンをぶったぎって殺菌的に働くよ!!!

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 グラム陽性菌は体の外側にペプチドグリカンという糖の一種でできた分厚い層があります。(グラム染色の過去記事はこちら)
犬猫や人の体はこうした細菌と戦うための武器をいくつかもっていますが、体の表面で最初の武器として活躍するのがリゾチームという酵素です。これは涙や鼻水、唾液などに含まれています。この酵素はペプチドグリカンなどの糖類を溶かす作用を持っているのです!

獣医療専門家向けにさらに突っ込むと、リゾチームはペプチドグリカンのグリコシル結合をぶった切ることで殺菌的に作用します。すごいですね!リゾチームで処理された細菌の細胞には周囲から水が入り込み、膨張して弾けます。まさに殺菌!

体の外側に厚いペプチドグリカン層を持つグラム陽性菌はリゾチームの攻撃を受けやすい反面、その細胞壁は補体という免疫機能をもつタンパク質の攻撃は受けにくくなります。

ちなみにペプチドグリカンというのは、細菌のみが持つ糖類なので抗菌薬の作用ターゲットにもなりやすいですし、グラム染色の原理をになっている部分でもあり、グラム陽性菌とグラム陰性菌の体内での免疫系の働きが異なる部分でもあり…細菌感染症にはとっても大事なポイントのひとつだったりします。

参考:
動物の感染症 第二版(2009)小沼操 et al.
レビンソン微生物学・免疫学[11版]

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。