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細菌と動物の熱き戦い~前日譚グラム染色編~

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自由研究のヒント

細菌感染症の治療を考える時に、細菌の特徴を知る重要な検査にグラム染色があります。
青紫に染まるのがグラム陽性菌(ペプチドグリカン層が一番外側)
赤色に染まったように見えるのがグラム陰性菌(LPSなどが一番外側)です。

グラム陽性菌は、赤い色を加えないと透明なままです。原理としては、ペプチドグリカン層の厚さで細菌を区別しているのです。
この一番外側がペプチドグリカンなのかLPSなのかは、動物の体の中での免疫系との熱いバトルにも非常に重要なポイントです。

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細菌にはグラム染色という染色法でどんな色に染まるかで分類する方法があります。考え方としては、細菌だけが持つ構造の一つであるペプチドグリカンという部分に対して、紫色の色素が捕まって染まるかどうかをみています。

グラム陽性菌はグラム染色で紫に染まりますが、それはペプチドグリカン層が一番外側にあるからです。
いっぽう、グラム染色では紫に染まらない細菌のことをグラム陰性菌と呼びます。ペプチドグリカン層が外側にでていないので紫色の色素・ヨウ素複合体が捕まる場所がないのです。

実験上は、染まらないとこまるので、赤色の色素を足しています。赤色の色素はグラム陽性菌にも陰性菌も赤く染めますが、グラム陽性菌では紫色の色素のほうが濃く見えるので、ぱっとみると紫と赤にきれいに分けられているように見えます。

ちなみにいくつかの菌種はこのグラム染色に染まらなかったり、陽性になったり陰性になったりとするのでまた別の染色や検査が必要になったりします。それでもグラム染色は細菌の特徴を知ったり、抗菌薬を選ぶのにとっても重要なヒントを私たちに教えてくれます。

次回の投稿からはグラム陽性菌と陰性菌がそれぞれどのように私たち動物の免疫系とバトルしているかお伝えしたいです。

参考:
動物の感染症 第二版(2009)小沼操 et al.

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。