マガジンのカバー画像

ベニイズム

10
棘ある美学と主義主張
運営しているクリエイター

#エッセイ

成熟の作法

成熟の作法

朝の顔 鏡が映す現実に 溜息よりも淡き微笑を

30代後半のあたりだっただろうか、朝起きたばかりの鏡の顔に失望するようになったのは。朝の眩い光の下に立つと、ありとあらゆる皮膚の粗が強調されることを知ったのもこの頃だった。
照明も同様。蛍光灯の無機質な青白い光は、多少の疲れですら猛烈な疲労に変えてしまう。だから夜の電車にいる仕事帰りの人々などは、多大なる疲労や心労を抱えているように見えるのだ。

もっとみる
百の一瞥より一の熱視線

百の一瞥より一の熱視線

見つけてくれたら御の字
一銭の得にも成りません
情も光もありゃしません
読んで得来て幸は余所へ
数多が御用をお待ちです

足並みを揃える柔はなし
浮世に馴染む意気もなし
無虜と配慮の差は大きく
頓着の有無も極端がゆえ
針に触れたなら再来あれ

百の一瞥より一の熱視線
抜き飛ばし斜の百ならば
一字一句追う一の眼差し
その人格も罪も恥も枝葉
愚かな末節など百も承知

黙って遠くへ往こう

黙って遠くへ往こう

余計な言葉は口にせず
淡々と目の前のことを
熟している人への憧れ

生み出すものこそ全て
無駄口やお喋りは程々
作品がその人を代弁し
作品がその人を形作る
だから口数に頼らない

そういう人になりたい
そういう人でありたい

誰をも崇拝せず媚びず
涙を売らず情を貰わず
ただ孤高の存在であれ

其の孤独があるが故に
自由を弁えられるのだ
此処に対する粋を知り
其の美を解せる人間が
ほんの少しいればい

もっとみる
変わりゆくがゆえの美しさ 自分だけの美学

変わりゆくがゆえの美しさ 自分だけの美学

わたしが桜を愛でるのは
その変化の早さと
どのシーンにもある美しさに
美学を感じるからだ

人もおなじ

変化しない人
自分の美学がない人なんて
つまらないのよ