好きな曲は好き~退屈しのぎ/きのこ帝国~
はじめに
今日はきのこ帝国の『退屈しのぎ』についてお話しします。
これまでもきのこ帝国の楽曲についてお話ししてきました。
この曲は『夜が明けたら』というアルバムに収録されています。
おそらくもう廃盤になっているアルバムで、私はこれを中高生の頃に聴いていました。
この曲は8分という最近ではあまり見られない長さの曲です。
生きるより死なないように
この曲はつかみどころのない、ギターのメロディから始まり、酸素ボンベのような、息を鋭く吐くような音が鳴って、ギターの甲高いメロディが始まります。
私はこの歌い方を聴いたとき、貞子のように感じました。
女性が感情に支配されて、ぼとりぼとりと歩くようなそんな風景が思い浮かびました。
ただ、貞子の様に感じるのに、音が高くなるところで声に伸びがあって、不思議と気持ち悪くなく、むしろ心強いように感じました。
また、『呼吸の音を聞く』の最後に高くなっていくのも大好きです。
中学生の頃はこの歌詞の風景を漠然としか理解できませんでした。
しかし、大学生になって、心が弱ったときを経験した今だからこそ、実感できることがありました。
『綻び』ときくと、布などがぼろぼろになるイメージがあります。
心が病んでしまったとき、「生きること」よりも「死なないようにすること」の方が重要でした。
どうにか“今日”をやり過ごして、つらい瞬間瞬間を潰して、苦しいことに麻痺してその感覚が無くなるまで息をしてみて、それでもやっぱり死にたくて、「早く時間が過ぎてほしい」と、ひたすらにそう願っていました。
ここの歌詞はそんな私の泥のような生活を表現していると思いました。
幸福は一瞬で不幸は永遠のように感じる
ここの歌詞を聴いたとき、「本当にそうだろうか」と思いました。
未だに『いずれ薄れて忘れてゆくだろう』という言葉を信じることができていません。
本当はそう信じたくて、そう言い聞かせてはいますが、未だに消えてはいません。
私の心にずっと刺さって抜けないようなことを言った人たちを、本当にいずれか忘れることができるのでしょうか。
十年前に言われたつらい言葉もいまだに鮮明に覚えているのに。
『憎しみより深い幸福はあるのかい』ここの歌詞が印象的でした。
幸福は一瞬で、不幸は一生続くように感じます。
これはまだ私が、未熟だからですか?
惰性で生きてる
ここがサビの様に思えます。
ここは一言で言うと、「惰性で生きてる」ということを表現したいように思えました。
勿論、こんな一言で表すことができない要素をたくさん含んでいるように思えますが。
『平行線』という言葉を聞いて、『パラレルワールド』を思い出しました。
自分が選ばなかったもう一つの世界線です。
言葉自体は中学生の頃から知っていても、その感覚を理解できたのは高校生になってからでした。
私にとって辞書で調べても納得できない言葉の一つで、“自分で選択する”という行為を以て、やっと理解できた言葉です。
「人生は選択の連続」という言葉がある通り、複数の選択肢かあって、それらが交わりあって今があります。
そう考えると、『平行戦の延長戦』という意味も理解できるような気がします。
ここは『お前』の話を聞きながら、ギターを弾いている様子が思い浮かびました。
『さえない』と歌詞にありますが、「アルペジオさえ、無い」のか、「冴えないノンフィクション」なのか、その両方の意味を含めているのか、答えがないな、と思います。
このような、人のつまらない話を聞きながら、ぼんやりとギターを弾くのも惰性の生活なのかもしれません。
さいごに
この曲は抽象的なところと、具体的なところがはっきりとしているので、考えることが楽しかったです。
眠れない夜に、イヤホンで大音量で聴いて、この曲に溺れるのが大好きです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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