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【海外生活】自分らしい”作品”と”売れる商品”の共存と相反【カナダ】

第23回目は、ガラスジュエリーアーティストの高木美徳(みのり)さんにお話を伺いました。日本の伝統工芸でガラス細工の技術を磨かれた後、バンクーバーの美しい環境、多様な文化や価値観に触れる中でご自身が持つ技術とアイデア、そしてガラスの新しい可能性を探求された結果、日本の伝統とモダンなカナダの雰囲気を調和させた唯一無二のガラスジュエリーアーティストとして活躍されています。「人生は1回きりなのだからやりたいことに挑戦してほしい」と笑顔で話してくださった高木さんの生き方や想いを少しおすそ分けしてもらった記事がこちらです。

さまざまなバックグラウンドやキャリアを持つ人々が集まる町、カナダ・バンクーバー。そこで活躍する日本人の方々とこれまでのステップや将来への展望を語り合う「カナダ・バンクーバーの今を生きる日本人」。それではどうぞ!

プロフィール
静岡出身で子供の頃からものづくりに魅力を感じていた。そんな中、日本の伝統工芸である蜻蛉玉と出会う。その後2006年にカナダへ渡ると日本の伝統的なガラス細工を身につけることから着想を得て、ガラスジュエリーアーティストとしての活動を本格的に開始する。


ガラスの伝統工芸からジュエリーアーティストに

──単刀直入にお聞きしてみたかったのですが、高木さんはご自身で経営もなさっていて職業だと何になりますか?

これは難しいですよね。カナダの方はアーティストって言ってくれるけど、自分ではアーティストだとはあまり思ってないです。

──アーティストとはちょっと違うと思われるのはなぜですか?

日本人だからですよね。自分のことをアーティストというのは抵抗があります。この道15年くらいやってますけど、最近になってやっと「職業は何ですか?」と聞かれてアーティストですと言えるようになってきました。アーティストって言うと後世に名を残す様な大成功している人というイメージが自分の中にあったんです。でもバンクーバーの人って売れているかどうかは関係なく「私はアーティストよ」って堂々と言いますよね。

筆者撮影

──人生で初めて職人の工房に入らせていただいたんですが、この整理整頓されていない剥き出しの雰囲気から試行錯誤する職人の味を感じました。この工房にはいつから入られているんですか?

パンデミック1年目の2020年ですね。私はバンクーバーに来て16年目だけど、ここがスタジオ4件目です。

──そうなんですね。この物件はいろんな職人さんがテナントで入られていますよね。物件のオーナーさんがとても協力的でサポートしてくださる方だと仰っていましたが、まだアート1本で生計を立てるのが難しい方もいらっしゃる中で、こうやって場所を提供してくださる方がいるのはとてもありがたいことだよなって思いました

そうそう、そうなんです。だからここを動く気はないですよね(笑)多分ベストな環境だと思います。

今回お邪魔した工房にはガラス作品のアーティストさんが数名いらっしゃるようで、同じガラス細工でも作風の全く違う作品が随所に並べられていた。

──例えば、こういう共同工房と自分お一人の工房だと、創作意欲やインスピレーションって違ったりするんですか?

やっぱり共同工房の長所は、やっぱりアーティスト同士で横のつながりが強くなることや情報が入りやすいというところですかね。私は日本から来ていますが、カナダ育ちでエミリー・カー大学に行った子たちは情報量が全然違うので、そういう情報が入りやすくなりますね。

あとは私の足りないところを補ってもらえます。例えば、クリスマスショーで出店するんだけどレイアウトとかどうしようかなと考えているときに、「こうしたら良いんじゃない?」って意見をパッと言ってくれたりするのでそれが刺激にもなります。

他にも、作りたい作品のイメージはあるんだけどどういうやり方があるのかを聞いたりすることもあります。例えば、私は美大を出ているわけではないので、アクセサリーに穴を開けたい時に道具として何を使うのが早くて良いのかわからなければ聞いてみたりします。ここにいる子達はみんなガラスのアーティストなので「これがいいよ」とすぐに教えてくれたりして、すごく勉強になります。自分で1から勉強してやっていこうと思ったらすごく時間がかかっちゃう事も、彼らと知識や意見を交換することでアップデートされるのでそれはすごく長所だと思います。

──美徳さんは元々ジュエリーデザイナーでいらっしゃったんですか?

私は日本で蜻蛉玉(とんぼだま)を作っていました。百年以上前から続く伝統工芸ですね。たまたま地元のギャラリーで先生が個展をやっていて、あ、綺麗だなーって思ったのがガラスとの出会いでした。元々クラフトするのが好きだったので、陶芸もしながら空いてる時間にやり始めたのがガラスです。蜻蛉玉っていうのはこれです。

写真提供@高木さん

──ああああ〜〜〜可愛い!!玉の中にも遠近感があってすごく不思議ですね。ガラスが幾重にもなっているから深みがあって見ていると引き込まれますね。日本の繊細な工芸っていうのがここに詰まっている感じがします。

元々こっちに来た時も蜻蛉玉からやり始めたんですが、手間がかかるわりにカナダの方達には受け入れられにくかった。「このビーズ(蜻蛉玉)をどうしたらいいのかしら?」ってよく聞かれましたよ。そして、これは1つ作るのにすごく時間がかかるんですが、ビジネスとして考えた時に時間と金額のバランスを見て、たくさんの人がより受け入れやすいジュエリーの方へシフトして今がありますね。

──蜻蛉玉を作られていたところからジュエリーへはパッとシフトされたんですか?

きっかけはありましたよ。催事での出店を申し込んだ時にはお店ごとのカテゴリー分けがあるんです。例えば革、パブリックアート、陶芸、ガラスとか。そこでこの蜻蛉玉がファッションジュエリーのカテゴリーに入ったんです。そこで「これファッションジュエリーなんだ・・・」ってすごくカルチャーショックだったんですよね。だって日本人の感覚だとファッションジュエリーって感じじゃないですよね?私はガラスの作品を作ってると思っていたんだけど。

──確かに、身につけるイメージはないですよね

そのカルチャーショックから、じゃあ私はジュエリーを作ってるんだって、その時に初めて気がつきました。だったらちゃんとジュエリーアーティストとしてやっていかなきゃって思いましたね。

──逆にいうと、同じガラスを扱っていても日本で活動をされてたら、今のガラスジュエリーという形の作品にはなっていなかったかもしれませんね

ならなかったでしょうね。

──面白いですね!違う感性から違う見え方が導き出されたというのが

マーケットに出店すると、いろんな人がいろんな意見を言ってくれるんです。それを聞いているうちに今の作風になりました。「もっと大きいのが欲しいんだ!」って言われたりして、でもジュエリーって基本的には小ぶりじゃないですか?私もずっと小ぶりのものしか作っていなかったんですけど、もっと大きいのが欲しいんだっていう意見も取り入れながら試行錯誤しました。色々な意見を聞くのが結構面白いんですよね。やっぱりお客さんに喜んでもらってこそ作る意味があると思っているから。今では大ぶりのチェーンみたいなネックレスも作ってますからね。あれ日本だったら売れないんじゃないかな(笑)

──最初は趣味で、それがビジネスになったのはどのタイミングだったんですか?

カナダに来てから平日はお店で働いて週末はマーケットに出店していたんですが、マーケットで売り上げが出てきた時に製作時間の確保が難しくなったんです。でも最終的にはお店で働くのはいつでも戻れるだろうから、作品づくりに集中してやってみてダメならまた仕事探せば良いやっていうのが始まりです。それが12年前ですね。

──そこからはずっと継続してガラスジュエリーアーティストとして活躍されていますが、好きじゃないと続けられないですよね

そうですねー。私もすごく幸運だったんだと思います。この物件の1階にはガラスのコミュニティ兼ガラス工房があって、そういうコミュニティの人と知り合ったのが一番初めです。そこから色々助けてもらいながら、ここまで続けてこられました。

共同のガラス工房。ここでは誰でも参加できるガラス細工のワークショップが開かれていたり、アーティスト同士の意見交換なども行われている様子。筆者撮影

アーティストが育つ街、バンクーバー

──バンクーバーはアーティストが育ったり活躍しやすい環境ですか?

活躍しやすいと思いますよ。だって私も元々のバックグランドが美術じゃないですからね。そういう人でもちゃんと活躍できるし、受け入れてくれるし、お客さんも私にアートのバックグラウンドがあろうがなかろうが全く気にしないですから。

──言い方に語弊があると恐縮なんですが、売れる物を作れる人は受け入れられるということでしょうか?

私が思うのは、もし本業でやりたいのなら売れるものも作らないとやっていけないという事です。家賃や保険料を毎月支払って行くわけだから、数が売れるものや受注してすぐに販売できる商品ラインナップも持っておかないといけないですよね。

高木さんのInstagramより

私の場合、高品質でお値段もそれに見合った作品となれば、数自体はそんなに出ていかないんです。そういう高品質な商品だけを置いてくれるギャラリーさんが取引先にいくつかあるということが私にとってラッキーなことだと思うんですけど、でも仮にそれだけだとやっぱり難しいと思います。やっぱりある程度小さいものからミディアムなボリュームのものをたくさん作って収入のベースにして、そこから自分のこだわりや好きなものを詰め込んだ自分の代表作を売っていく。私の中ではそういうイメージですね。

──自分だけの作品を作りたいという思いと、その作品を継続して作っていくためにはまず生きていかないといけないというジレンマですかね

バンクーバーは家賃も高いし物価も高いので、やっぱり一般層に向けた売れる商品作りがベースとしてある。でも逆に売れるものだけを作っても面白くないと思うんですよね。だから代表作になるような高級ライン、つまり「これが私の作品です!」っていうのも並行して作っていくのですが、そういうクリエイティブな作品を作るのが一番面白いところですからね。

──あと、バンクーバーのアートコミュニティってすごく大きいですよね?

多分みなさんが思っているよりも大きいですよ。もちろんエミリー・カー大学があるというのが理由として大きいと思います。いろんなベンダー、木工芸術や陶芸にもそこそこ大きなコミュニティがあります。もしアーティストとしてやりたいんだったら、そういうコミュニティに飛び込んでいったら本当にいろいろな情報を共有してくれるし、道具の貸し借りや組合もあるみたいですよ。1人で全部やろうとしたら本当に時間がかかってしまうと思います。私も初めの数年はもう訳もわからずにやってたので、そういう意味ではすごく幸運だったかな。そもそも工房がないとできない仕事ですからね。工房1つ借りるのだって横のつながりがあって、たまたま評判の良いあの工房が空いてるよっていう所に入らせてもらったりしたので。

──ただし、横のつながりが強いから仲良しで競争が全くないのかといえば、そうではないみたいですよね

もちろんそうですね。あと競争もあれば、私たちは誰かにジャッジされる機会も多いです。お店に商品を置いてもらうこと、ショーへの出演、新しいマーケットへの参加は全部審査があります。初めのうちは審査に落とされるのにすごく傷ついていたんだけど、いつの間にか「あ、価値観の違いなんだ」って思えるようになりました。「私はこれが一番だと思ってるけど、相手はそうじゃないんだな。」というのがありますね。

──そこでアーティストのエゴやプライドみたいなものが、活動を継続する妨げにはならなかったですか?

初めはちょっと悔しい、なんで落ちたんだろうって思っていたし、今は落とされることもないんですけど仮に落とされても「あ、欲しいのはこれじゃなかったんだな。私はいいものを作ってるけど、向こうが欲しいものじゃなかったんだな。」って思えるようになりましたね。


ガラスジュエリーアーティストとして生きていくために必要だったこと、そしてこれからのこと

──これからカナダにきてフリーのアーティストで頑張りたいって人達はどうやって自分の作品を色々な人に知ってもらうのが良いですかね?

手っ取り早いのがマーケットへの出店。色々なハンドメイド商品が出品されるマーケットイベントがあり、そこからどういうものが売れるのか、お客さんはなんて言ってるのかっていうのを勉強していくのが一番早いです。お店に置いてもらうにはやっぱりある程度売れる商品でないといけないですし、その点でイベントは1回出店すれば何百人もお客さんが来るわけだから、そういうところですかね。あとは人が作らないものを作ることですね。

──オリジナリティですね

同じようなものを作っていると埋もれちゃうし、難しいです。特にジュエリーはすごく競争率が激しいですから。大きなイベントでも出店のための審査があってジュエリーはすごく入りにくいんですが、ガラスジュエリーは作っている人が少ないので入りやすいです。だから自分がマーケットに新しく参入するんだとしたら、1回イベントに行ってみて既に人が同じようなものを作っていたら違うものを作る。ビジネスでやるならなおさらユニークであることが大事だと私は思います。でもカナダにいる私たちは、日本人という時点でユニークだと思うから、スタートは人より一歩出てるんじゃないかなと思いますけどね。

──実はこのインタビューの前にとある方から「バンクーバーでアクセサリーを作って出店したい時に高木さんに相談に乗ってもらいました」という方がいらっしゃったんです。先ほど高木さんもいろんな方に助けていただいたと仰っていましたが、自分も助けてもらったから今度はそれをまた違う人に渡していくっていうのが

そうね、そうなっていけば良いなと思っています。今は特に日本人でクラフトをやっている人が多くなってきた気がしますよね。多分マーケットが大きくなったという事と、あとはジャパンマーケットや色々な日系のマーケットでの露出が増えたことで職人も増えたんだと思います。だから頑張ってほしいですよね。

──私もジャパンマーケットに行くことがあるんですけど、海外の方も日本人のハンドメイドに対してすごくリスペクトを感じるんですよね

それはすごく感じますね。特に大きなショーに行くと、やっぱり日本人が作るものはとても素敵だよねと言ってもらうことも結構多いです。バンクーバーの方は日本に対してすごくポジティブな印象を持っていらっしゃるから。それはすごくありがたいですよね。

高木さんのInstagramより

──そしてもちろんクオリティが高いという理由もあるかと思います

日本人はコツコツと真面目に頑張りますよね。やっぱりそういう職人文化が日本にはあると思います。例えば、こっちの方でちょっと何か1つ作品ができるとすぐ本業のアーティストになりたがる人が多いんだけど、日本人は少し違いますね。やっぱり職人文化があって、修行じゃないけど年月をかけてスキル全般ができるようになってから自分のオリジナリティを作品化するように、つまり段階を踏むことに対して抵抗が少ないんですよね。私は特に現地のアーティストと触れ合う機会が多いのでそれはすごく感じるかな。バンクーバーのアーティストはすごくポジティブで、こうと決めたら私は全力を尽くすんだ!というのに恥ずかしさもないからそのエネルギーはすごいなと感心します。

──みんな違ってみんな良いですね

日本人は初めのうちは遠慮が多い気がします。これは自分にも言えることなんですけどね。でもこっちの人はもうそんなことを通り越して、自分はここに行きたいんだからここまで頑張るんだよっていうエネルギー量が違う。それは本当に勉強になりますよ。

──その感覚って私みたいに普通のオフィスにいるとなかなか経験しないですよ

あ、そうかもしれないですね。アーティストさんはやっぱり個性が強いので。そこがまあ、シェアのスタジオをするにあたってのちょっとした欠点にもなるんだけど(笑)やっぱりこの仕事をしている人ってすごく個性的だし、個性的じゃなきゃやっていけないし、個性的であるべきだとは思うんだけど、それで時にはぶつかることもありますよね。私はこの工房では年上の方なので当事者ではなく側で見ていますけど、みんな若いからエネルギーがすごいんですよ(笑)

──共同製作してるわけじゃないのに仲悪くなるんですか?

性格の不一致ですね(笑)どっちも引かないから。でもそういう部分も含めてシェア工房は面白いんですけどね。

──ジュエリー作りには様々な工程があると思うんですが、デザインを考えるところからお客さんの手に渡るまでだとどの瞬間が一番楽しかったり嬉しいですか?

楽しいのはやっぱり形になっていく過程ですね。こういうのを作りたいなってイメージしてやっと形になっていくのが面白いです。

──先にデザインを描いたりなさるんですか?

あんまりしないですね。私の場合は絵から起こすものってすごく少なくて、頭の片隅にこういうのを作りたいというイメージがあるんです。ただ、普段はお店に卸したりしたり委託販売分のオーダーを一所懸命作っているので、なかなか自由な時間やアイデアで遊ぶ時間がないんだけど、ふっと間が空いた時に、「あ、あれ作りたかったんだ。ちょっと試しに色々形を作ってみよう」ってやってます。

高木さんの作業机を拝見すると、色鮮やかで細かなピースが散りばめられておりニッパーなどの道具もついさっきまで使われていた様子で置いてありました

高木さんのInstagramより

──わああ。すごい綺麗。

こうやって目につくところにおかないと何を作りたかったか忘れちゃうんですよね。アイデアを全部放置していて、だからいつも散らかっているんだけどね。例えばこれは新しい指輪を作ろうと思っているんだけど、大きさがなかなか難しくてそれを放置してます。

──高木さんのジュエリーの材料になっているこのガラスもいろんな種類があってすごく綺麗ですよね。日本から取り寄せていらっしゃるんですよね?

あはは、そうなんです。これは佐竹ガラスといって何が良いかというと色がすごく良いんですよ。繊細な乳化した色とか、日本の伝統的な山吹色とか、北米のガラスにはないですから。だからその繊細さが気に入ってわざわざ取り寄せて使っています。100種類以上はあると思いますよ。

筆者撮影

──ガラスと思ってみていたら、透けた様な色味だけじゃなくマットな濃い色もあるんですね。デザインは頭の片隅にあってと仰っていましたが、どんな時にインスピレーションを得るんですか?

どんな時に来るのかなぁ。でも私、結構人のジュエリーを見るのも好きでこの人はどんなのつけているのかなって目に留まりますね。ドラマを見ていてもそうだし、マーケットでも何百人とお店の前を通るわけじゃないですか。だから流行りも含めてすごく見ちゃいますよね。

──やっぱりアンテナをお持ちなんですね

私自身はジュエリーを全然つけないんですけどね。

──それは面白いですね

「あのジュエリー似合っているな。なるほど」とか観察しちゃいます。私のお客さんは比較的、私より年上の方が多いので、そういう人たちが身につけて綺麗なものや、こちらの人は少し大柄なので結構大きなガッツリしたものでも遠慮なく付けてくれるっていうのもわかりましたね。わたしたち日本人が身につけたら少し大きいデザインでも素敵に身につけていただけます。自信がある女性にはこういうのが素敵かなとか、このジュエリーはサマードレスと一緒に身につけていただけたら良い感じだなとかっていうのは作りながら想像しますね。

高木さんのInstagramより

──作品や商品を作るにあたってマーケットや大衆は意識されていますか?

やっぱりこれで食べて行くには意識はしないと、という感じですよね。例えば、私の作品でもデザインから商品化するのに手間と時間がかかっていて、自分では大ウケしてるんだけど意外に売れなかったなという商品もあるわけですよ。

──いつでも思い通りに行くとは限らないんですね

限らない!それがまあ面白いところです(笑)

──ちなみに日本からも買えるんですか?

買えますよ。私のオンラインショップから国際発送をしています。

──高木さんがこれからやりたいことをお伺いしてもよろしいですか?

今やっといろんなところのお店に出させてもらってやっと落ち着いてきたかなという段階なんです。だから私の作品を置いてくださっている方達とのお付き合いを大切にしていきたいっていうのがまず第一。そしてやっぱり新しいものを少しずつ作っていかないとお客様やお店の人も飽きちゃうのでそれも継続してやっていきます。私はあんまり目標は高くないタイプなので、今みたいな活動をこれからも続けていけたらいいかなと思います。ここまでくるのにすごく時間がかかったので、ここからは今まで積み上げてきたものを大切にしていけたらないいなと思います。

──このインタビューを読んでくださる読者の方、その方たちに向けて一言メッセージをお願いします

海外に興味があったらぜひ来てください!年齢は関係ないと思うけど、若くてエネルギーがある時に来た方がより面白いと思いますよ。でももちろん私くらいの年齢で日本である程度のキャリアを積んだ人がきても、また違ったセカンドキャリアを築くことができるので面白いと思います。人生一回しかないのでやりたいことをやってください!

▼高木さんの作品▼
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編集後記

高木さんとのご縁で人生で初めて職人さんの工房に入らせていただいたんですが、とてもカオスな空間でいろんなものがいろんなところにあるんですけど、その雑多さに味わいがあってアーティストさんの個性が現れているなぁととても興味深かったです。

今だからお話しできることですが、約束の時間に工房のドアを叩く時になかなか決心がつかなくて2分くらいドアの前で深呼吸をしていました(笑)というのも、勝手な職人さんに対する固定概念があり「気難しい方だったらどうしよう」「うまくインタビューできるだろうか」「制作活動にお忙しいのに来てしまった」など、むしろオファーする前に考えなかったのかというような不安が急に押し寄せてきて、過去の超ネガティブな自分が顔をのぞかせていました。まぁでもそこに立っていても仕方ないと思って、思い切ってご挨拶させていただいたら、ものすごく気さくに笑顔で出迎えてくださって一気に先ほどまでの不安がどこかにいきました(笑)工房の中も案内してくださり、私にとっては目に入るもの全てが新鮮で「これはなんですか?どうやって使うんですか?」など五月雨式の質問にも全部答えてくださって、しかもこのお仕事が本当に好きなんだろうなっていうのが伝わってくるんですよね。そのお好きな気持ちが伝わってくるから、私もたくさん質問したくなりますしどんどん興味が湧いてくるんです。

あと高木さんが価値観の違いを受け入れられるようになった、というお話をしてくださったんですが、私は海外に来てみてやっとそれが少しずつできるようになってきました。日本にいてもそういうマインドの方はたくさんいると思いますが、私の場合は海外に出てみないとそれがわかりませんでした。なぜならマイノリティ社会の中で自分の価値観を押し通そうとすると、息苦しくて生きづらいからです。オーディションに落ちた、面接に落ちた、自分ではなく違う人が選ばれた。それは相手が求めている人がたまたま自分ではなかったというだけ。頭で理解するのは簡単ですが、実際そのような場面になるとどうしても心が痛くなってしまいます。これはある意味、執着なのかもしれませんね。

末筆ではありますが、この度インタビューを快諾してくださった高木さん、本当にありがとうございました。

最後まで読んでいただきありがとうございます!!

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