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Vaio Stera ~転生先で推し変しかけてる~ 2章#13 強情な騎士とどうしようもない偽花の二組の回 Vol.5

「はあっ!?!? 『幽霊のいた部屋には戻りたくない!?』どうなっているんだ!?」

そう出されたメッセージウインドウに混乱する久遠多夢。対してスノウは冷静だった。

「ざんねーん! 今主人公が考えている目的は『幽霊を味方につける』じゃなくて、『脱出する』事なんだよね! であれば、主人公が脱出する為にするのをちゃんとストーリーフラグ立てなきゃダメだよー----ん!!」

スノウからの指摘に、しまったー---、と叫ぶ久遠多夢。

「いまから追い抜くしかないか! スノウ! 先に行って答え出せよ!」

「やでーす、腕立てポイント稼ぎまーす!」

つってもねぇと、ぼやくスノウ。

(腕立てはそのうち限界が来る。だとしても、なんとか回答を見つけ出さないと)

スノウは、既に301と302を調べており、そこにはこんなアイテムが出ていた。

・メモ(302で発見)

・塩(302で発見)

・ナイフ(301で発見)

何度か初見殺しに引っ掛かりそうにはなったが、スノウ自体のゲームプレイスキルもあってからか、回避は成功しており、パターンも覚えた。

(塩つかって悪霊退散する? つってもなぁ。塩は何か地雷アイテムの匂いがするんだよな)

そう、主人公の使命は『慰霊(現時点での推理)』ではあるが、目的は『脱出』な為、何かのアイテムが必要と思われていた。

塩を使って幽霊を退散させることも可能だが、そこで逆襲されるという可能性を考慮すると、塩は迂闊には使えない。今引っ掛かるだけでも、大分キツイ状態になる。

スノウは、部屋に入る。といっても、殆どの部屋は大体調べており、何かのアイテムがあるようには思えなかった。

(待て、こういう脱出系のゲームといえばまず『隅から隅まで触る』というのが基本だ。アイテムじゃないなら、どっかのフラグを立ててから調べるのがいいか?)

スノウは、三かいの通路を見つめていく。そこで、水道管に注目する。

「そうか、水道管だね!」

「どういうことだ、すのう。それで脱出できるのか?」

「いや、多分下までは続いてない。これと、ある物があればいけるんじゃないかなとは思う!」

「いやー、凄いな……。ここまで怖いシーンがそこまで、ないから安心してみれるな」

「……そうか」

ここでスノウはそろそろある事に気づく。403で何かあるんじゃね? と。

「ヴェインちゃん、びっくりせずにちゃんと見ていてね。そろぼち腕がキツイんだ、これが」

「そりゃ、片手で体を支えて片手で操作をしてれば、な」

りぼんにゅーからの指摘に確かに、となるスノウ。

スノウは、自身の体が普通の人間じゃない事を加味しても、キツさは免れなかった。体力配分は自身のシステム管理で幾分どうにかなりものの、やはり限界はある。そこを考えると、無駄足は避けたい気持ちがあった。

(多分、フラグまではリセットされないハズ! だとしたら、403でなんとしてもゲットする!)

その意気込みで、403号室に突入するスノウ。

だがここで、ホラー演出が入る。

ムンクの叫びを白くし、穴を黒くした表情の幽霊が部屋の真ん中を支配している。

「「きゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」」

HALHALとヴェインの高い悲鳴は免れなかった。

「ヴェインちゃんどうしてそこで女の子みたいな声出すの!? というかそっちに気を取られるんだけど!?」

「いやこわいこわいこわいこわい無理無理むりむりむり! ガテちょおおおおおおん!!!」

「オレ様の元に来るな! ゲゲゲ、ゲームだろ!」

「がてりあ、おまえも怖いんじゃ……?」

「結構なヒト達が怖がりですね」

スノウが気を取られる瞬時に、真ん中の幽霊から触手らしきものが伸びてくる。

「あぶな!!」

スノウはギリギリで回避。ここでスノウは一瞬だけ(何を取ればいいの!?) と思ったが、ある事に気づく。

それは、

「よっしゃカーテンゲット!!!」

部屋に飾られてある、カーテンだった。これをナイフで切って取ったのだ。

「あーむりむりむりむりむりむり!! 早く出て!!」

「あーヴぇいんうるさい!! だまれ!!」

「ぎゃいん!! 殴らないで!!」

後ろは後ろでうるさいと、スノウは急かされながら部屋を出る。

スノウは三階に向かおうとすると、ここでとんでも初見殺しにあう。

「えー!? マンションの通路が一部崩れたー!? そんでもって哲也が落ちたー!?」

「よー-----し!! 次に行かせてもらう!!」

「もー--ずる!! 久遠多夢くんずる!!」

スノウの悲鳴をよそに、久遠多夢はスノウから差を付けるためのレースを開始するのだった。

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