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息子に紡ぐ物語

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1男1女の子供を持つ平凡なサラリーマンと、父で作家の「長谷部さかな」は、不思議なキッカケから毎日メールをやりとりすることに。岡山県の山奥にある見渡す限りの土地や山々はどのように手…
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#神郷町

【180日目】男たちの隠れ家

【180日目】男たちの隠れ家

ご隠居からのメール:【男たちの隠れ家】

今朝の新聞も東京の新規感染者数が1915人とコロナの下降トレンドを伝えている。来週月曜日の9月6日に1000人以下になるかどうかが、政府のコロナ対策の評価のポイントかな。『ペスト』のようにある日、突然終息すると、塩野義製薬が儲けそこない、同社の株価が下落するだろう。

>>一連の件は、ご先祖さまからのメッセージのような気がしてならない。

ーーそうだね。治

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【165日目】歴史の転換点

【165日目】歴史の転換点

ご隠居からのメール:【歴史の転換点】

一方、原稿はどこかの時点で結末をつけねばならないが、ネバーエンディングストーリーという意識をこめる必要がある。『ふゆ物語』は婚姻によるハッピーエンディングの時間を結末とするハッピーエンディングを考えたが、その後、すくすくと成長した二人の少年(友次郎と安次郎)が魚釣りをしている場面をエンディングにすることも考えている。

返信:【歴史の転換点】

弥左衛門さん

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【163日目】立木伐採と墓への疑問

【163日目】立木伐採と墓への疑問

ご隠居からのメール:【立木伐採と墓への疑問】

昨日、広島の弟に電話して、立木の件と墓の件について問い合わせた。立木は、枝を払ってもよいと信谷清巳さんにはすでに伝えてあるという。ただし、木そのものを幹ごと切るのは待ってくれということだ。

墓は、まず、友次郎六代目の内容を調べてくれと依頼した。過去帳の写しあるが、よくわからないとのこと。その他、いろいろ聞きたいことが多いが、弟はそんな昔のことには興

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【161日目】墓参り

【161日目】墓参り

ご隠居からのメール:【墓参り】

墓参り、おつかれさま。

旧姓信谷治恵さんからも電話があった。食事を一緒にしてくれると思っていたのにさっさと帰ってしまったと、残念がっていたそうだ。

車では酒が飲めないし、コロナ対策も考慮する必要があり、日野にも行かなければいけないので、忙しいスケジュールだったが、よくぞこの猛暑とコロナ禍の中、墓参りしてくれた。御先祖さまにも気持ちは伝わっていると思う。

日野

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【95日目】神郷町

【95日目】神郷町

ご隠居からのメール:【神郷町】

「世のため人のため何かしたい」というのは立派な大義名分だ。しかし、立派な大義名分をかかげても、世人は誹謗中傷をしてくる。ひらりひらりと体をかわし生きていかなければならないし、大義名分の重要性が減じるわけでもない。

封建的な田舎の食事時、膳の並べ方に耐えられなくなったのか、それとも他の理由によるものか、文子さんは何度か家出をして京都の妹のところへ逃げた。連れ戻すた

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【94日目】人間失格

【94日目】人間失格

ご隠居からのメール:【人間失格】

太宰治『人間失格』ではオレの経験と重なっている箇所がある。たとえば、

自分の田舎の家では、十人くらいの家族全部、めいめいのお膳を二列に向い合わせに並べて、末っ子の自分は、もちろん一ばん下の座でしたが、その食事の部屋は薄暗く、昼ごはんの時など、十数人の家族が、ただ黙々としてめしを食っている有様には、自分はいつも肌寒い思いをしました。

これは五歳か六歳の頃、高瀬

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【75日目】妄想ドラマ

【75日目】妄想ドラマ

ご隠居からのメール:【妄想ドラマ】

「山椒魚の故郷」五冊、月曜日に郵便局のレターパックで発送する。

「内田百閒文学賞30周年」記念展の開催は、新型コロナ緊急事態宣言の影響でとりやめになるかもしれない。感染状況は千葉県より岡山県のほうが深刻だからーーと、これはネガチブな展望。一方、ポジティブな展望は『方谷塾入門』を小冊子のかたちで印刷製本するという案も出てきた。一冊508円程度のオンデマンド本で

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【73日目】物語

【73日目】物語

ご隠居からのメール:【物語】

與一さんは息子に期待しすぎて裏切られた。農機具や農作業にまったく興味を示さない息子より、喜んでトラクターなどに乗ったりする孫のほうが頼もしいと思っていたようだ。しかし、「ここから見えるすべての土地は全部長谷部の土地だ」と興一さんがJに言ったときは晩年で、昔の栄光のまぼろしを追って、孫に対して見栄をはっていると思う。

目の前に見える土地の多くは長谷部の土地にはちがい

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■【より道-9】神郷町大字高瀬

■【より道-9】神郷町大字高瀬

岡山県新見市阿哲郡神郷町大字高瀬

父である82歳のご隠居が育った故郷。自分が幼い頃は、毎年夏休みに家族6人で新幹線に乗り東京から4時間かけて岡山へ行く。そこからローカル電車に乗り換え新郷駅(にいざとえき)まで3時間かけて里帰りをしていた。

無人駅の新郷駅には駅開設の石碑が立っていて当時村長だった祖父の名が刻まれている。駅前からバスに乗り10分ほど経つとようやく祖父の家というか、長谷部家の土地に

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【14日目】長谷部氏

【14日目】長谷部氏

自分からご隠居へのメール:【長谷部氏】

ネットで調べると祖父の興一さんから神郷町長選挙の地盤を譲り受けた井上富士夫さん系列のDNAがご先祖さまということだね。さらに、井上富士夫さんが神郷町長時代には亀三おじさんが副議長をしている記録を見つけた。親族みんな政治家だ。

自分のルーツとして名は長谷部だけど、DNAは井上なんだね。織田信長に裏切られ尼子氏は、滅亡してるので、ご先祖さまは無念の負け戦を経

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