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受験エッセイ『付箋まみれの日々』

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受験生としての疾風怒濤の1年間を振り返ります。辛かった日々を忘れないようにしたいです。お暇ができた時に、読んでみてください!
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受験エッセイ『付箋まみれの日々』 6.「とある受験生の日記」

受験エッセイ『付箋まみれの日々』 6.「とある受験生の日記」

文章を書くことが好きになったのは、中学2年生の頃だ。

「生活の記録」という、その日あった出来事を5行くらい書いて翌朝に担任の先生へ提出するノートがあった。

自分の書いた文章に、毎日必ず先生が赤ペンでコメントを書いてくれる。つまり、毎日絶対に読んでくれる読者がいるということで、今思い返してみれば、とても贅沢なやりとりだった。

ある日、自分の文章を先生から褒められた。

「上手いな」

そこから

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受験エッセイ『付箋まみれの日々』 5.「をかしな世界」

受験エッセイ『付箋まみれの日々』 5.「をかしな世界」

受験勉強が始まると、「古文」が好きになった。

理系を選択した受験生からのヘイトを集めやすいこの分野ではあるが、私は古文の世界観や価値観に存分にハマった。源氏物語を描写した絵巻の写真を集めた大型本を購入するくらいには、古文の世界が好きである。

その裏には、私の理系科目への消極的な思いがあった。

「何となく物理が楽しそう」という理由で理系クラスに入った私だが、月日が過ぎるにつれて理系科目への苦手

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受験エッセイ『付箋まみれの日々』 4.「散歩」

受験エッセイ『付箋まみれの日々』 4.「散歩」

受験勉強に臨む際、先生方から常々言われていたのが「自分に合ったストレス解消方法を見つけること」だった。

受験勉強はストレスが溜まるため、メンタル管理も志望校合格に向けた重要な要素だということだ。ただでさえ不安定な思春期のメンタルを「管理」しなければいけないなんて、先生方もなかなか難しいことを仰る。

色々と試した結果、私にとっては「散歩」が一番良いストレス解消法であった。思い返してみると、散歩は

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受験エッセイ『付箋まみれの日々』  3.「課外」

受験エッセイ『付箋まみれの日々』 3.「課外」

高校3年になると、「課外」というものが出現した。通常授業とは別に、放課後の時間などに授業を行うアレである。

私はこの課外が怖かった。課外が始まってしまったらいかにも「オレたち受験生!!」という感じがするし、先生方が

「3学年になると、いよいよ課外が始まりますね」

と「課外」の前に必ず「いよいよ」を付け足していたからだ。

体力的にも持つ気がしない。そもそも、毎日7校時分の授業を受けているのだ

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受験エッセイ『付箋まみれの日々』  2.「文房具」

受験エッセイ『付箋まみれの日々』 2.「文房具」



「受験生ともなれば、毎日使う文房具にこだわりを持って当然だろう」

高校に入学した当初は、そう思っていた。受験生にとって文房具とは、日々の勉学を支えてくれる相棒。自分の手に合った最高の文房具たちを厳選し、合格を手にするその日まで使い続ける。

そんなロマンを想像していた。

だが、実際はそんなロマンなど無かった。

入学当初こそ文房具にはこだわっていたが、その思いはメッキのようにペリペリと剥が

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受験エッセイ『付箋まみれの日々』 1.「模試」

受験エッセイ『付箋まみれの日々』 1.「模試」

「模擬試験」という、忌まわしきイベントがある。「模試」と略される。

本番に近い形式のテストを、本番さながら一日かけて解く。平日には普通に授業があるのだから、先生方はそのイベントを週末に設定せざるを得ない。

月の予定表に整然と並ぶ「三学年 第〇回 △△記述模試」の文字。もちろん、「第一回 バーベキュー大会」とか「第一回 スパリゾートハワイアンズツアー」のような陽気な予定が書かれたことなど一度もな

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