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うつぼの生涯

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うつぼがこうやって生きてきたよっていうのを暴露しています。暗かったり明るかったり。人生はたのしいことばかりじゃないから面白いし、みんな何かしら抱えて生きてるよねって話。
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退職後の小話

時系列があれなのだが、少しだけ余談を。

この記事を読んでくれている方は、退職前にシンデレラがいた話は覚えておられるだろうか。詳しくは退職の内容を書いた記事に載っているが、なにを隠そう引き継いだ後輩のシンデレラ姫である。

ガラスの靴という平凡をメルヘン城に落としてしまった姫は、魔法も解けてそのあとアップアップしながら運動部的ノリノリ先輩や他の先輩、同僚にサポートを受けながら勤務していたそうだが、

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小話。音楽と労働と家。

これは退職前ではあるが、仕事とは関係ない小話である。

私は働きながら、本番前に地元の恩師の元へレッスンに行ったり、発表会に出たり本番に挑戦していた。

月1はほぼ当たり前で、酷い時は月に続いて本番があったが、世渡りも演奏も優秀な友人がいたので伴奏をさせて貰う事が多かった。今だって本当に助かっている。

合唱の定演で半分と言えど本2冊は弾いたし、何で出来ていたのか今では分からない。気合い。

働い

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濁し。

「ちょっと来て」と言われて呼ばれた部屋に行く。

いや、さっきお話は終えた所だ。何だろうと施設長の部屋に行くと、そこにいらっしゃった人物を見てすぐに勘づいてしまう。時刻は就業10分前。荷物乗せたいんだが。

「いやぁごめんな忙しいのに時間もろて、いける?」何て関西丸出しのご婦人は紛れもなく、私を呼び出した息子の母親である。一応遠いが上司に当たる。

さて、この人に呼び出された理由なんて一つしかない

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退職するまで転々と

相変わらずかの徳川施設長は、そのままであった。

終業時間の過ぎた真っ暗な外は、カーテンで覆われていたが隣の事務所とつながっている。今から言う事は数人には確実に聞こえるし、致し方ないと思わなければならない。

本当はこんなに冷静に言えなかったのだが、



「勉強と演奏と仕事の並行が難しく、一旦集中できる環境に身を置きたい」

「結婚準備も考えているので期間が欲しい」

「この度今年度をもって退

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移り変わるマリンブルー

体調の話の前にいくつか。

そんな初心者丸出しの私も3ヶ月立てば何か変わると思ったが、実質あんまり変わりなかった。新郎の下の名前を呼ぶのにもう少しかかったし、自分の下の名前を呼ばれ慣れるのにも随分時間がかかったからだった。多分電話とか何回途中で切ってしまったか分からない。

更にどうでも良いが、ベタに観覧車でした初チューはBGMの打ち上げ花火が終わった丁度、てっぺんまで登ったゴンドラだった。

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変化する日常と過去

変化する日常と過去

さて、楽しく帰ったは良いが次の日から仕事は変わらずやってくる。

私は「おはようございます」と会って一言真顔で挨拶をするだけでも違和感があった。一応、向こうも普段通りに接してくれる様である。いやそうじゃないと困る。どのみち新郎が相談してしてしまったメンツをのぞいて「職場では隠し通す」と一緒に決めて貰った。新郎が同じ部署とはいえ、現場は違う建物だった事が幸いだった。新郎は特にバラす事に関しては気にし

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心理戦の果てに

心理戦の果てに

京都に行くまで、不安が不安を呼んでロクに眠れなかった。

着付けがちゃんと出来るか、途中で帯がほどけてしまったらレスキューして貰える所はあるのか、それはどこか、どの順で行くと退屈しないのか、見れそうな所はあるのか、トロッコの時間にどう合わせるかなど、悩む事などいくらでもある。

頭がパンクしそうだ。

でも、何となくだが直感的に、何かが起こるとすればこの嵐山だと、本能が言っている気がした。

もし

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バレンタインと心理戦

バレンタインと心理戦

その日はガチガチに緊張していた。いや、仕事はしている。ほんとマジで仕事はしていた。

私達の話す時間は、1時間弱、短ければ30分もない。1日、記録を打つそんだけの時間しかない。

そして、悩みに悩んだ結果、

渡したいが直接渡す勇気がなくて、でも渡したい私が選んだ方法とは

「作ってみたんですけど、あげる予定の子が今日休みで。味見してみてくれませんか?」だった。

ああ、いいよと新郎は穏やかに言う

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恋慕と母

新郎の言葉を聞いた時には、

自分の中の役に立ちたい欲が蠢いて、新郎に歌いにくいと思う所や、現状どう歌っているかを聞いてみた。あまり専門的な事は言えないが、基本であれば多少は分かる。

それを聞いていた運動部的ノリノリ先輩が「もう教えて貰ったらいいじゃん」と全くこんな口調ではないが言うと、

「そうやな、今度カラオケ一緒に行く?」

と、冗談めいて誘われてしまったのだった。

あまり冗談の通じない

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平行した生涯と未来

平行した生涯と未来

退職を決めてからは、いつするかを考えていた分無理やり気持ちを切り替えて今まで通り働く事にしたが、ひとまずこの一気に来たストレスに打ち勝つほどのメンタルはもはやなかった。一周回って、「どうせ辞めるなら必要とされる存在になってから辞めてやろう」と謎に固く決心する事にした。

そろそろ3年目。昇格の候補に上がった。

その日から、人付き合いが相変わらず空回りはしていたが安定する様になってきた。働く間は完

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決定打

決定打

2年目は良い事もある分、そうでない事もあった。

あと一つ良かったと言えば、職員向けの面談で何か隠し事をしていると感づかれ、珍しくもいつもパチや音ゲーの話をしにふらりと遊びに来ては昼ごはんを食べにくる様な、別部署の先輩から突っ込んで聞かれたのが救いになった。その人はゲーセンに通い詰めているタイプの人間で、「音ゲー何やってる?」と会って2・3度目で聞かれたのが印象的だった。

地味に、1年目に「調子

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良き小話。

前の話が少し愚痴っぽくなっていたのでまた訂正する事にする。気分を害されたら無理に読まなくても良いので、休んで欲しい。

良い事と言えば、もう少しある。しっかり者の相方と比べては自分の出来なさに落ち込んでいた私であったが、この頃亡くなられた方の家族から私が所属する所の施設長を通して感謝された。

運動部的ノリノリ先輩からは「ここで名指しで呼ばれたって事は、施設にとっても大きいし、君(名前)にとっても

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2年目。

2年目は一番しんどかったが、良くも悪くも一番色々あった。

いつ会っても初対面の様な事はざらだったが、「歌の姉ちゃん」と孫扱いされる様に認知してくれる人もいてくれた。若い時に失敗しとけと言うのは本当らしい。対外のじいばあの心は寛大で、若いってやはり素晴らしかった。

課長から、いきなり入居者を集めて「さぁ〜歌ですよ〜〜!」と無茶振りされる事が時々あった。えっ聞いてないけど?

音楽療法とは、個人と

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違和感

2年目になると、仕事に工夫が出来るようになってきた。余談だが、勤めた所はとにかく地域も含むイベントが多いため、土日関係なくイベントは出勤だった。土曜は休みを貰って昼から16:30まで伴奏があり、音楽活動はイベントのない日曜にしていた。純粋にキツかったが、分かっていて決めたのでやるしかなかった。

ピアノの練習は、帰って座る時間を作れれば逆に集中出来た。しかし時間が足らなさすぎて、あっぷあっぷしなが

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