朝
玄関のドアを開けて
階段を降りて行く
セメント工場の方角から
何かの軋む音が
聴こえて来る
時間が並ぶ順番を
決めているのだ
一階に降りて
道路に出る
左足と 右足を
踏み出すたびに
敷石が現れて
歩道が出来ていく
ヤマモモの並木も
生えてきた
斜め前を
はや足で歩く
足首から膝までの
ストッキングと
黒いパンプス
だんだん胴体も現れて
OLさんが
出来つつある
ぼくもそろそろ
出来上がる
頃合いだ
斜め後方に走り去る
自動車の
エンジン音
残響に
巻き上げられた
アスファルト道路の
表面の
光の粒の
ひとつ ひとつが
おしゃべりしながら
舞い始めると
街が現れた
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