写真家 竹沢うるま

2016年よりクック諸島ラロトンガ島に半移住。 これまで世界各地150カ国近くを旅して…

写真家 竹沢うるま

2016年よりクック諸島ラロトンガ島に半移住。 これまで世界各地150カ国近くを旅してきたけれど、クック諸島に出会ってからは一年の半分をラロトンガ島で暮らしている。 「幸せの音が響く島」での生活を紹介します。 uruma-photo.com

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  • Isolation

    桜を求めて、日本各地を旅した記録。

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  • クック諸島滞在記/竹沢うるま

    南太平洋に浮かぶ小さな島国、クック諸島。その中心のラロトンガ島に暮らして早3年。これまで150カ国近く訪れてきたけれど、この島ほど人々が幸せに暮らしてる場所は他にない。日々の生活を綴りながら、「幸せの源」を探る滞在記。

最近の記事

【05_2020年という年】

 2020年という年は、今後、とても大きな意味を持つ年になるような気がしている。コロナはもちろんのこと。思い返せば他にもいろんな出来事があった。 オーストラリアの森林火災。 モーリシャスのタンカー重油流出。 オリンピックの延期。 アメリカの黒人差別問題。 イギリスのEU離脱。 香港国家安全維持法案を巡る衝突。 などなど。  分断と破壊。不安と恐怖。不信と不誠実。  2020年というのは世界的な視点だけれども、令和と考えると、この元号になってから、日本という国の先行きはまっ

    • 【04_ささやかな抵抗】

       2020年という年に対するささやかな抵抗として、世界の「日常」をテーマにした写真集を作ることにした。というのは、これまで述べてきたとおりである。  そのうえで、今回、クラウドファンディングを活用しようかと思ってます。  今回の本作りは、作品集をつくるということではなく、仕事でのためでもなく、収入のためでもなく、ただ2020年という失われる一方だった年に、何かひとつだけでも得るものがほしいというところから始まっており、この本を制作することによって、前に向かう姿勢を持ちたい

      • 【03_写真について】

         写真について、語るのはあまり好きではない。  SNSなどでも写真の話をせずに、旅の話ばかりしているのは、わざと写真の話をしないようにしてるからである。  写真に関して、とてもではないけれど、その思いや考えを言葉で表しきれるものではないと思っている。言葉にした時点で、ありきたりなものになったり、どこかの誰かが言った言葉のように聞こえるのが嫌だし、何より、まだまだ自分は写真について語れるほど、写真のことを理解できていないと思ってるところもある。  自粛期間中、撮影に出るこ

        • 【02_失ったもの。得たもの】

           この春以降、失ったものは多い。   まず、3月〜5月に予定されていた撮影の仕事などはすべてなくなった。海外撮影や国内でもどこかに行って撮るというのが主だったので、移動が制限された段階で、すべてなくなった。 緊急事態宣言が解除されたあとも、元に戻るということはなく、時折、ようやく決まった撮影も、結局、また立ち消えになったりを繰り返した。   11月に予定していた4年ぶりとなる新作の写真展、および写真集も延期。その他の書籍の企画も、とりあえずストップ。とにかく、入ってくる連

        【05_2020年という年】

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          【01_自粛期間】

           この春の自粛期間中は、不思議な時間だったと思う。  じっと家の中に閉じこもりながら、人ともほとんど話さないのにも関わらず、緊張感が常にあり続け、先行きの見えない状況に右往左往していた。  妙にハイになったり、極度に沈んだり。そんなことを繰り返していたような気がする。不安定な心の状態の時、これではだめだなと思い、とにかく何かをしようと思い、庭に畑を作ったり、ウッドデッキを作ったりして、とにかく手と体を動かすことを意識した。同時に、あまりある時間を使って、これまで撮ってきた

          【01_自粛期間】

          【00_始まり】

          2020年の春を経て、夏が来た。 はじめは数ヶ月、じっと耐えれば嵐は過ぎ去るかと思っていたけれど、夏になってもまだまだ先が見通せない世界にいる。  感じること、思うことはたくさんある。実際に影響を受けたかどうかで言えば、ぼくはかなり受けたほうだと思うし、まだまだ出口は見えていない状況が続いている。  それでも、このまま今年を終えるのは嫌なので、ひとつ挑戦をしてみようかと思っています。 その話を、これから少しずつしていきたいと思ってます。

          「良き自粛ライフを。」

          "Isolation" Day 11 @神奈川県鎌倉市極楽寺     さて、どこから話をしようか。 とりあえず、まずはじめに、僕はいま鎌倉にいる。  昨日の朝、奈良県の吉野で凍える朝を迎えたあと、大阪の実家に立ち寄り、夜、鎌倉へを車を走らせた。途中、眠すぎてサービスエリアで眠り、今日の早朝に鎌倉に到着した。朝の鎌倉は穏やかで、海は凪ぎ、空は澄んでいた。  なぜ鎌倉に戻ってきたのか。 それは僕が住む鎌倉極楽寺の桜を撮りに来たからである。  "Isolation"の旅

          「良き自粛ライフを。」

          「晴れでも、曇でも、雪でも、雨でも。」

          "Isolation" Day 10 @奈良県・吉野  朝目覚めたら、車の窓が凍ってた。気温計を見るとマイナス2度。毎日4時半頃に起きているために、目覚ましなしでも夜明け前に目が覚める。  真っ暗な中、車を走らせる。あたりは吉野山に育つ何千本もの桜の木があるはずなのに、まったく何も見えない。徐々に明るくなり始めると、闇のなかに淡い輪郭が浮かびあがってくる。  その輪郭は幾重にも重なり合う桜の花びらなのだが、この暗闇から浮かび上がってくる瞬間の桜の花びらを見るのが好き

          「晴れでも、曇でも、雪でも、雨でも。」

          「浄化の滝」

          "Isolation" Day 9 @和歌山那智の滝  今日はいろいろありすぎて疲れ切ってしまい、何も書く気になれない感じだけれども、とりあえず書きます。  昨日は夕方、雨が小振りになったのを見計らって那智の滝に向かった。予想通り、水量は豊富で、しかも靄が出ていて艶があっていい感じだった。    御神体である滝のすぐ近くに行き、水飛沫だか雨だかでびしょ濡れになりながら写真を撮っていたら、段々と滝の中に仏像が見え始めた。しかも滝の轟音にまぎれて、話し声が聞こえて来

          「囁く大地に耳を傾ける朝。」

          "Isolation" Day 8 @三重県那智勝浦  雨が降ってる。結構な勢いである。  日本全国そうなのか、それとももともと豪雨地帯であるこの地域だけなのかわからないけど、外に出るのも一苦労なぐらいの雨である。  昨日、雨の中、熊野古道を4時間近く歩いたせいか、朝目覚めると体が少し重かった。それでも、早朝はまだ小振りだったので、いまのうちにと熊野にある花の窟(はなのいわや)を訪れた。  ここは巨大な岩自体が御神体となっている場所である。鳥居をくぐると、30メー

          「囁く大地に耳を傾ける朝。」

          「雨の日の言い訳。」

          “Isolation” Day 7 @三重県熊野  Isolationの旅に出て、一週間が過ぎた。まだ山梨県と奈良の一部、そして三重の一部しか見てないけれど、毎日、新鮮な驚きがあり、多くの気付きがある。   いま、このままこうやって旅の様子を公開して行くことに関して、どうしようかと考えている。もちろん、コロナの影響が理由である。  僕自身、撮影の仕事の大半は海外であり、また家族がクック諸島に暮らしているということもあり、大半の日本の人が意識するよりかなり早い段階から

          「雨の日の言い訳。」

          「私と又兵衛桜。」

          Isolation Day6 @奈良県宇陀市  夜明け前、昨日、人が多くて撮らなかった又兵衛桜に向かった。  5時前だというのに、20台ぐらいの車が集まっており、三脚を構えたカメラマンたちが思い思いの場所から撮影していた。熱心なものである。それは予想していたので別に良いのだが、それよりも、駐車場の料金を徴収する人も早朝から来ていて驚いた。桜が咲いている一週間ほどの間が稼ぎ時なのだろう。寒いのにご苦労なことである。  又兵衛桜のように有名な木は、いままで多くの写真家や

          「私と又兵衛桜。」

          「桜と仏像と私」

          “Isolation” Day5 @奈良県宇陀市 昨日は夕方から移動を開始。三重県の伊勢を目指すつもりであった。  運転は順調だったが、まだ半分も進んでいないときに眠くなってきて、これでは駄目だと思い音楽を大音量でかけたのだが、これが良くなかった。  テンションが上がるようにと、ちょっとトランス音楽っぽいのをかけたのだが、トンネルに入るとライトがヒュンヒュンと飛んでいく感じが音楽と相乗効果となり妙な感覚になってきて、分岐を間違えるし、ナビが喋ってるのが幻聴っぽく聞

          「桜と仏像と私」

          「雨と桜の朝。」

          “Isolation” Day4 @山梨県・久遠寺 昨晩は、深夜に強く雨が降っていた。 雨の日に車の中やテントの中で過ごすのは好きである。雨の音を聞いていると落ち着くし、微妙な振動が伝わってきて安心する。 4時半に起き、久遠寺に向かう。もう通い慣れた道である。雨がまだ少しだけ降っていた。 さすがに雨のなか、早朝に撮影にやってくる人たちもほぼおらず、境内は閑散としている。 朝靄があたりの山を覆い、桜もしっとりと濡れていてきれいである。 昨日の強い風でだいぶ花びらは散った

          「雨と桜の朝。」

          「逃れられない桜」

          “Isolation” Day3 @山梨県・本栖湖  まだ山梨県から進んでない。 というのも、昨日は雪に見えた桜が段々と宇宙に見えてきて、桜に囚われて前に進めないでいる。  天気予報をチェックすると、今日の夜から雨が降るらしい。ということは、明日朝に行くと雨に濡れた桜が撮れるのではないか。 そう思い始めると、これはもう撮るしかないと思い至り、さらにもう一泊することに。40分ほど移動して本栖湖へ行き、湖畔で一泊した。  早朝、湖越しに富士山でも眺めようかと思ってい

          「逃れられない桜」

          「桜の木の下で。」

          "Isolation" Day 2 @山梨県久遠寺  鎌倉を出発して、桜がいま満開という話を聞いたので、まずは久遠寺に来てみた。  昨日は夕暮れ近くに到着し、少し夜桜を撮ったあとに、近くの道の駅で車中泊。  今日は4時半に起きて夜明け前に寺に行くと、寒くて真っ暗。凍えながら車の外に出て、こんなときに誰も来てないだろうと境内に歩いていくと、グループで写真を撮りに来てる人たちがいて驚く。熱心なものである。 みんないいカメラを持っていて、こんなにいるならどうしてカメラの

          「桜の木の下で。」