見出し画像

【01_自粛期間】


 この春の自粛期間中は、不思議な時間だったと思う。

 じっと家の中に閉じこもりながら、人ともほとんど話さないのにも関わらず、緊張感が常にあり続け、先行きの見えない状況に右往左往していた。

 妙にハイになったり、極度に沈んだり。そんなことを繰り返していたような気がする。不安定な心の状態の時、これではだめだなと思い、とにかく何かをしようと思い、庭に畑を作ったり、ウッドデッキを作ったりして、とにかく手と体を動かすことを意識した。同時に、あまりある時間を使って、これまで撮ってきた膨大な写真をひとつひとつを見直す作業を始めた。

 時間が経つと、撮ったときにはわからなかったことや、またちょうどいい具合に記憶がなくなって、改めて新鮮な心持ちで写真を見られることが多く、その作業に没頭していった。

 そのなかで、気になった写真を選んでいったのだけれども、それらの写真には世界の「日常」がありありと写り込んでいた。

 僕はずっと「非日常」を求めて旅をして写真を撮ってきたと思っていたけど、改めて見直してみると、そこに写っているのは「日常」だったのだ。
それは大きな気付きであり、そしてまた、その当たり前の「日常」が、いまは遠く失われてしまっていることに改めて実感した。

 まずはじめに、自粛期間中に「日常」という存在に気がついたということろから、話は始まります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?