「囁く大地に耳を傾ける朝。」

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"Isolation" Day 8
@三重県那智勝浦

 雨が降ってる。結構な勢いである。

 日本全国そうなのか、それとももともと豪雨地帯であるこの地域だけなのかわからないけど、外に出るのも一苦労なぐらいの雨である。

 昨日、雨の中、熊野古道を4時間近く歩いたせいか、朝目覚めると体が少し重かった。それでも、早朝はまだ小振りだったので、いまのうちにと熊野にある花の窟(はなのいわや)を訪れた。

 ここは巨大な岩自体が御神体となっている場所である。鳥居をくぐると、30メートルほどの巨大な岩が立ちはだかり、幹線道路から一本入っただけの場所なのに、神聖な空気が漂っていた。

 岩の周りは木々に覆われており、そのなかから数百か数千に近い鳥たちのさえずりが聞こえていた。その鳴き声は御神体の岩に反射して聞こえており、まるで岩が話しかけてきているかのようであった。

 その後、雨は強くなり始め、頑張って少し外に出て写真を撮ってみたけれど、横殴りの雨のため数分外にいるだけでびしょ濡れになってしまった。
 昨日も服と靴を濡らしており、乾いた服がなくなってしまうのと、カメラも湿気で内部が曇ってしまったので、とりあえずいまは車のなかで雨が収まるのを待っているところである。
 夕方に少し雨が収まる予報になっているので、そうすれば那智の滝を撮りたいと思っている。

 写真はいま僕がいる熊野地方の夜明け。雲は次々と形を変えて行き、まるで山々が蠢き生きているように見えた。
 この地域は、巨木や巨岩など、自然が信仰の対象になっているものばかりなのだが、独りでこの景色に対峙すると、確かにそこに何かしらの存在を感じざるを得なかった。

 この雨にも何かしらの意味があるのだろう。
しばし、休息です。

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