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#生き方「教えてくれたのはK君だった」

「えっ、小学校2年生の時ですかっ?」。

この話になると、

大抵の方は驚く。

私のタバコの初体験の話である。

「えっ、うりもさんのキャラじゃない」

大抵の方は言う。

でも、これは事実なのである。


父親が亡くなって、

小学校2年生から、隣町の学校に転校した。

環境も変わり、不安で仕方なかった私は、

その当時、よく泣いていたように思う。

転校して、新しい学校へ行く直前まで、

家で泣いていたのだが、

当時は、登校しないという選択肢はなかった。


転校初日、

配属されたクラスで、

教壇の横に立ち、小さな声で自己紹介をした。

するとクラスの1人の男の子が声をあげた。

「おぉ、うりもやんけ〜!」。

保育園の時に一緒だった、悪ガキのK君だった。

K君は保育園の時から目立つ存在で、

当時足が速かった(その時期がピーク)私に、

一目置いてくれていた感じだったので、

よく一緒に運動場で遊んでいた記憶がある。

1年ぶりの再会だった。

K君の家は、色々と問題を抱えている家庭で、

3歳上のお兄さんが既にやんちゃで有名で、

その兄の影響を受け、K君もなかなかのワルに

なっている様子だったと、後から知った。

そんなK君だが、転校したての不安そうな私に

よく声をかけてくれて、

何も分からない私に色々と教えてくれた。


K君から教えてくれたことで、

印象に残っていることは3つある。

まず、服の重ね着。

初日は始業式なのでブレザーみたいなものを

着ないといけなかったが、2日目からは私服。

どんな服を着ていいのか分からなかった私に、

長袖の服の上に、

半袖を着て登校するように教えてくれた。

家に帰って、

急いでおかんに用意してもらった。

次の日に登校して、

その姿だったのは、

K君と私の2人だけだった。

先生に怒られた。


2つ目は、自転車登校だった。

夏の暑い日に、

K君は自転車で学校へ行こうと、

前日の夕方に打ち合わせてきた。

楽に行ける方がいいに決まってるという。

当時、私の家には、

おかんと兄の自転車しかなく、

それに、

さすがにそれはイケナイコトだと、

当時の私でもなんとなくわかったので、

「自分の自転車がないから無理だ」

と伝えたら、

「よし、迎えに行くから」

とK君は言い出した。

次の日、

K君はボロボロのママチャリで、

本当に私の家まで迎えにきた。

「自転車で学校に行って大丈夫なん?」

と私がK君にもう一度聞くと、

「俺に任せろ、大丈夫!」

と、少し何かを企んでいるような顔で答えた。

二人乗りで学校に向かう。

私は自転車の後ろに乗ることに、

全く慣れていなかったので、

オロオロしながら、

K君の背中にしがみついていた。

でも、ちょっと気持ちが高ぶった。

K君の秘策を信じた。

k君はいつものルートで学校に向かう。

しかし、

校門の20メートル前あたりで、

門番の先生に見つかって、

「おいおい、待て待て〜‼︎」と、

ダッシュで駆け寄ってきた先生達に、

あっけなく止められた。

K君は叫んだ。

「うりもが足痛いって言うてるんや!

 自転車で来て何が悪いねんっ!」。

一日中、

私は右足を引きずるフリをした。


3つ目は、いよいよタバコだった。

小学校2年生。

学校が終わって、

夕方にK君が遊ぼうと誘ってきた。

「お前ん家に、イイモノを持っていく」。

私はお菓子だと思い込んでいたが、

K君が持ってきたのは、本物のタバコだった。

K君は慣れた手つきでタバコに火を付け、

大人が吸うような感じで、

完全に肺の中に、

吸ったものをいれている様子だった。

「うりもは、ふかすだけにしとき」

その意味も分からなかったが、

K君は私の分のタバコに火をつけ、

手に渡してきた。

私は断れず、

見様見真似で口の近くに持っていった。

「ゴホゴホゴホゴホゴホッ‥」。

唇に挟んだ瞬間、気持ち悪くなって、

一吸いもできず、

すぐにむせてしまった。

「はははっ、うりもは子供やな〜」。

そのセリフに、

「ボクたち、小2ですよね〜」

と、今の私ならツッコんだだろう。



K君から教わった印象的な事柄は、

それが最後となった。

少しして、

K君がタバコを吸っていることが、

学校にバレた。

呼び出しがかかり、

かなりの罰を受け、

だいぶ問い詰められたらしい。

他に一緒に吸っていた者を追求され、

K君はどうやら自白したらしく、

数人の名前が上がったらしい。

後日、

その数人も集められたが、

その中の名前に

「〇〇、〇〇、うりも、〇〇‥」

そう、

私の名前も入っていたのだ。

「一瞬、口に挟んだだけやのに〜〜」。

そんな言い訳は通じるわけはなかった。

先生にも、家で兄にも、

ボコボコにされた。


その出来事があった翌日から、

K君は学校に来なくなった。

そして3年生の時には、

K君が転校したと聞かされた。


色んなことを教えてくれたK君。

痛い目にはあったけど、

不安だった自分にとっては、

今思うと、

とにかく心強い存在だった。


小学校2年生の出来事から、

現在に至るまで、

私がタバコを吸ったのは、

その1回きりだ。

K君よ。

タバコが自分に合わないことを、

教えてくれてありがとう。

それからは、

基本的にビビリな私は、

真面目に、控え目に、

生きているつもりだ。

ただ時々、

K君と自転車に乗って、

学校に行った時の、

胸の高ぶりを思い出しては、

「たまには思い切ったことを

 してみてもいいかもな〜」

と思う時もある。

K君、

教えてくれて、

ありがとう。



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