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エリック・マコーマック「隠し部屋を査察して」 幻想文学とSFの違いってなんだろう
「共感しながら読みました」
「分かる分かるって頷きながらページをめくりました」
日本の売れ筋の大衆文学にはこんな感想がよく聞かれる。
もちろんそういう本を読みたいときもあるけれど、
SFや幻想文学で描かれるような個性的で偏った想像力の塊、日常から逸脱した歪みに浸りたいときもある。
そんなわけで数年前から心惹かれている作家エリック・マコーマックの「隠し部屋を査察して」を読んだ。
初版が20
ケン・リュウ「宇宙の春」を読んで宇宙の終わりと始まりに思いを馳せる
ケン・リュウの短編「宇宙の春」を読みました。
宇宙の春、と検索してまず出てきたのがこの絵画。
抽象絵画の開拓者として知られるチェコ人のフランティシェク・クプカ(1871−1957)が描いた「宇宙の春」という作品だそうです。
神智学や錬金術、あるいは哲学や自然科学に至るまで熱心に研究したクプカが、「宇宙の法則」を探求し、宇宙の誕生を表現したもの。
深い青、淡い青の中にちりばめられた明るい色合
「バビロンの塔」テッド・チャンで宇宙を感じて円環の理を知る ※ネタバレ有
1.神話のようなSF「バビロンの塔」
ハヤカワ文庫「あなたの人生の物語」を読んでいる。
テッド・チャンが2002年にまとめた個人アンソロジーで、映画メッセージの原作になった表題作が収録されている。
今日は1編目の「バビロンの塔」について。
1990年に書かれたこの短編は、古代都市バビロンに建てられた塔について神話チックに描かれている。
何世紀も昔から何世代にもわたって高く高く煉瓦が詰まれ