埋木

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適応障害の診断を受け休職→元の職場へ復職→転職した27歳・会社員です。本と珈琲と古い建物が好き。主に休職日記や旅行記などを書いています。なお、記事の記載の中には、特定されないよう一部脚色がされている場合もあります。ご了承ください。

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  • 福島移住録

  • 休職日記 2022.3~

    2022年3月から5月の休職に入っていた間の日常、感じたこと、復職後に考えたことなどを綴っています。

  • 諸国巡行録

    あちこちを出歩いた時の記録です。旅先の検討材料、あるいは旅行記として。

最近の記事

理解と共感を切り離す

福島市に「フォーラム福島」という映画館がある。 新作映画も上映するシネコンではあるのだが、単館で扱うような映画もやってくれる良い映画館である。その映画館が3月から3.11関連の映画をほぼ週替わりで上映している。いろいろ理由をつけて、あまり行けなかったのだがようやく見に行くことが出来た。 見たのは「決断 運命を変えた3.11母子避難」という映画で題名のとおり、福島第一原発事故後の自主避難者にフォーカスを当てたドキュメンタリー映画である。 まず、「自主避難」という言葉を説明し

    • 揺れる大地

      先週の木曜夜、日付が変わったので厳密に言うと金曜日。 特に仕事で疲弊していたわけではないのだが、どうも疲れて何をするでもなく、うつらうつらしていた。さっさと風呂に入るなり、布団で寝るなりすれば良いのだが、その一歩が踏み出せないでいたら、どーんっと衝撃のようなものが来て掛け時計がゆらゆら揺れ始めた。 寝ぼけた頭で、いったい何が起こったのか掴みかねていたのだが、スマホがけたたましいアラート音とともに「地震です」と叫んだので、ようやくこの事象が地震であることを認識した。何かしなくて

      • 3月11日の更新作業

        「メディアは節目が好きだからね」 職場の人が冷ややかに言う。3月を控えた、ある日のヒトコマである。 福島に住んで1年足らずの私からすれば、日常生活にかまけてしまい、どうしてもあの日の記憶が薄れてしまうので、記憶を想起させてくれる節目というのは、存外ありがたいものではあるのだが、この地にずっと居る側からすれば、うんざりする面も大きいのだろう。 確かに、こちらに来て9カ月ほど、いろいろと見聞きするうちに自分の中でぼんやりとしていた「ふくしま」の輪郭がだいぶはっきりとする一方で

        • 年の暮れ

          帰省ラッシュのピークを迎えた東京駅は絶望的な大混雑で、一秒でも早くこの場から脱出したいという一心で人込みをかき分け、東北新幹線のホームから東海道新幹線のホームへと向かう。 毎年、この時期は実家に帰省しているので、今回も例年どおり帰省したのだが、ここまでの混雑に直面すると「もう、年末年始に無理して帰省しなくてもいいかな」という発想が頭をかすめる。 実際、転職してから休みは取りやすくなったので、もはや年末年始しか休めないという訳でもない。そのうえ、福島へ転居したために帰省にかか

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        記事

          M氏を連れて

          土曜の朝7時前、昨日の深酒のせいかなかなか寝付けず、ようやく手に入れた惰眠をむさぼっていたらM氏に急に起こされた。 「朝飯買うの忘れてたから、コンビニ行ってくる」 そんなもん、人をわざわざ起こさずとも書き置きするなり、LINEで一言メッセージ送っておくなりすればいいのに・・・と思いながら、眠い目をこすって「はい」と返した。この人は、いつもそうだ。気が利かない。 M氏は、学生時代の知り合いで1ケ上である。1ケ上なので、私は敬語で話すが、この人が年上らしいことをしてくれたことは

          M氏を連れて

          伊達市・伊達郡の近代建築まとめ

          福島県伊達市および伊達郡(桑折町・国見町・川俣町)の近代建築をまとめていきます(随時更新予定) 伊達市旧亀岡家住宅 住所:伊達市保原町大泉字宮脇265 竣工:1904(明治37)年頃 文化財指定等:国指定重要文化財 概要:現在の福島市や伊達市周辺は信達蚕糸業地帯と言われるほどに養蚕や絹織物が盛んであった。豪農であり、のちには県会議員などを務めた亀岡正元の住宅として建てられた。外観は洋風だが、内部は一室を除くと和風となっており、そのギャップが面白い。贅を尽くした意匠も

          伊達市・伊達郡の近代建築まとめ

          福島市の近代建築まとめ

          福島市の近代建築をまとめています(随時、情報更新予定) 中心市街地福島市写真写真美術館(旧日本電気計器検定所福島試験所社屋) 住所:福島市森合町11番36号 竣工:1922(大正11)年 文化財指定等:福島市有形文化財 御倉邸(旧日本銀行福島支店長役宅) 住所:福島市御倉町1番78号 竣工:1927(昭和2)年 旧日赤赤レンガ倉庫 住所:福島市舟場町2-2 竣工:1916(大正5)年 宍戸理容所(旧第百七銀行豊田町派出所) 住所:福島市豊田町2-30

          福島市の近代建築まとめ

          「なんか、いいのかな…」

          「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、福島もいい季節になってきた。 行楽の秋ということもあり、東京時代の友人が福島来訪の計画の話をしてきてくれるのは、旅行ついでとはいえありがたい限りだ。 ただ、残念なことに福島市近郊には、めぼしい観光地が少ない。 もちろん、飯坂・高湯・土湯などのいい温泉はあるのだが、温泉を求めている場面ばかりとは限らない。 また、磐梯吾妻スカイラインなんかは超絶おすすめスポットなのだが、いかんせん天気に左右されてしまう。会津まで行ってもいいのだが、

          「なんか、いいのかな…」

          福島移住録 #6 足の確保

          福島駅を使っていると、学生さんが多いなと感じる。 朝夕は制服姿の高校生や近隣の大学の大学生と思しき若人で利用者の7割程度を占めているのではないだろうか。そのくらい多い。もちろん、少子化・人口減少・過疎化の最前線に立つ福島の地である。若者が多い訳ではない。通勤に鉄道を利用する大人たちが少ないので、鉄道利用客に占める学生の割合が高く、駅で学生が多く見えるだけである。やはり、移動の中心は車なのだ。 現在、職場が福島駅から数駅隣が最寄りで全然歩ける距離にあるため鉄道通勤をしている。

          福島移住録 #6 足の確保

          福島移住録 #5 いざ引っ越し

          家と荷物の搬入の算段は付いたので、手続き関係を済ませれば、残るは実際の引っ越し作業のみである。5月下旬の某日、3日間に渡って引っ越しを実施した。 <1日目> タスクは、荷物の搬出である。 内訳は、ヤマトの単身パックによる搬出と家電量販店による冷蔵庫・洗濯機・テレビなど家電の引き取りである。この二つは、引っ越し業者に任せれば一緒に済むのだろうが、バラバラに依頼しているので、こうなってしまう。 当日は、朝から荷物のパッキングと掃除を行う。ギリギリまで使っていた食器類などを段

          福島移住録 #5 いざ引っ越し

          福島移住録#4 家について

          話が前後するが、流石に転居する家については家電の購入等より前に先に決めていた。 宿舎が使えるとのことだったので、生活費の観点からしても当初の想定から宿舎一択であったのだが、いくつか空きがあるらしく、実際に見させてもらって、どこがいいのか決めることが出来た。 5月の連休前後で、福島に行くことになった。 ちなみに、移住支援策の一つに物件探しなどで福島を訪ねる際の費用の助成もあった。 使おうかなと思ったものの、利用に当たっては訪問の10営業日前までの申請が必要(使いづらっ)との

          福島移住録#4 家について

          福島移住録#3 家電の寿命

          我が家の大型家電は、主に冷蔵庫・洗濯機・テレビである。いずれも上京した際から使っているもので、10年近く使っている。既に洗濯機は変な音がし始め、テレビは残像が残るようになっている。今回の移住を機に買い替えるのも悪くないなと思い、最寄りの家電量販店に足を運んだ。(なお、足を運ぶ前に家電の大きさや型番などをメモしておくと、いろいろと楽だ) 相談をしてみると、今の家に家電を引き取りに来てもらい、転居先に改めて配送するということはできる。ただ、店側にとっては二度手間なので、追加で少

          福島移住録#3 家電の寿命

          福島移住録#2 引っ越し方法の検討

          大量の本もあるので、普通に引っ越し業者に依頼すればよいかと思い、複数の業者に見積だけ出してもらったのだが10万弱くらいはする。このところ物流業界も大変なので、適正な価格にしてもらいたいとは思うものの、単身者の引っ越しでそこまで使うのも気が引ける。 いろいろ調べてみると、2つほど対策が出てきた。 一つ目は、移住支援策の利用である。 第二次安倍政権で始まった地方創生やコロナ以降のテレワークの普及などを背景に、地方移住を促進するために自治体があの手この手の支援策を行っている。福

          福島移住録#2 引っ越し方法の検討

          福島移住録#1 本との格闘

          東京では、世間様よりかは稼ぎの良い仕事をしていたのに加え、働き方改革もなんのそのという働き方をしていた(会社としてはいろいろ頑張ってはいたのだが・・・)ため、ぶっちゃけ手取りは良かった。 それに比べれば、福島でのお仕事はお給金が減る。これはもう分かりきっていたことだった。しかも、地方なので「車あらずんば人にあらず」である。東京暮らしでは必要のなかった車も保有する必要がある。 一応「物価は東京に比べれば安いですよ」というお話も聞いたのだが、何もかもが右肩下がりのご時世、消費者物

          福島移住録#1 本との格闘

          福島移住録#0 不在着信

          4月の中頃、昼休みにスマホを見ると、着信履歴が残っていた。心当たりのない携帯番号からである。 「最近、登録した転職エージェントからの電話かな」と思い、折り返してみると、転職エージェントではなく、数日前に面接を受けた会社のお偉いさんからの着信であった。 「固定電話回線からかけなさいよ」と喉元まで出かかったが、こらえつつ予想外の相手からの電話にあたふたしていたら、電話口から「採用ということで・・・」という、これまた予想していなかった言葉が出てきて、さらにパニックになった。 正直

          福島移住録#0 不在着信

          節目

          なんとか年度末も終わり、ほっとしつつも、あれこれやっていたら、いつの間にか桜も完全に散り、栗の花の香りが(文字どおり)鼻につく時期になった。 見切り発車で会社に退職を告げたのは前回の記事で述べたとおりだが、なんとか無事に次の行き先が決まった。上司から「会社と会社の間は空けない方がいい」とさんざん言われて辟易していたのだが、蓋を開けてみれば、間を空けずの転職ということとなった。 代わりに、たまっている有給が腐るほどあったので、さっさと有休消化に入りたかったのだが、後任で来た人