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#2004年
浅煎りの恋人 ※BL/R15※
1杯目(伝書鳩とコーヒー豆)
「アカボシ。ちょっと」
火曜日、放課後の二年六組の教室。クラス担任の小栗がいった。卓の名字は赤星と清音で、けっしてアカボシではなかった。けれど、卓は訂正しなかった。小栗にまちがわれたのは本日五度目だったので。
「マユズミチカゲ、知ってるよな」
黛千景。小学校が同じだった。ただ、とくべつ親しかったわけでもなく、顔もうろおぼえだ。肌が浅黒かったような……。
「一応、
雨は正しき者にも正しからざる者にも ※BL/R18※
It Rains for a Right Person and the Who isn`t Right
⒈師走の斜めの雨んなか
遠雷、冬の雨の第一滴が頬を打った。私は舌打ちする。横浜駅西口からドブ川を越えた繁華街、電線と看板と人波。次第に繁くなる雨に、夕べの通りが傘に華やぐ。傘が、無い。手にしていたはずの傘は、どこへ置いてきたのだろう。先の根岸線の車内か。もう、取り戻せまい。構わない。買い