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伊勢志摩の海に面した真珠工場跡地で、ローカルプレーヤーたちと地域での起業について考えてみた

こちらのnoteは、2022年9月21日にうみらぼ代表・川野が公開したものを「うみらぼ・伊勢志摩」noteにて再アップしたものです。

7月20日(海の日制定日)に「うみらぼ株式会社」が誕生しました。
真珠工場跡地を活用し、地域の活性化を目的に事業を展開していきます。そのうちの一つの事業では、海に面したキャンプ場(コワーキングスペース併設)をイベント会場として開放し、志摩市内外の人材交流を促進し、地域の雇用や教育の多様化へ取り組んでいます。

8/20 登記後初イベントの様子

今回は、地域での起業を決断し事業を営むゲストをお呼びしてクロストークと交流会を開催しました。天候にも恵まれ、県内外から合計27名の方にご参加いただきました。


次回、10月22日(土)に、うみらぼの整備作業とSUP体験を行います。ご協力いただける方・ご興味ある方は是非!申し込みフォームはこちら


この記事では3名の起業家のクロストークの様子をお届けします。
それぞれの事業内容、はじめた経緯、事業ゴールに向けたアプローチについてお話しをしていただきました。

右から山田さん、佐野さん、土井さん 、そして司会の小山さん


司会の小山さん(以下、司会)

司会:まずは今日の登壇者のみなさんのご紹介と、どんな事業を手がけられているかお話お伺いできたらと思います。土井さん、佐野さん、山田さんの順番でいきますね。よろしくお願いします。

土井香奈さん | 結人家 マネージャー

土井:はい、私は2020年の3月に14年暮らしていた東京を離れて地元の香川に戻りました。コロナで1年間ぐらいは何しよっかなって状態でしたけど、元々の秘書だったりコンサルやデザインとかやっていました。

その後、たまたまお話をいただいて、おむすび屋さんをプロデュースすることになって2021年の11月にオープンしました。コンセプトとかデザインとか、値段決めとか一から手づくりの創業でした。で、売り上げが結構上がっていたので2店舗目もオープンしました。今は落ち着いているので、その経営だったりからは一旦離れています。その後、別のご縁をいただいて今は香川の高級一等貸しの旅館の立ち上げとマネージャーをやらせてもらっています。

さのかずや さん | 株式会社トーチ 代表

佐野:僕は株式会社トーチという会社をやっています。北海道遠軽町出身で、大学卒業後に広告代理店に就職しました。その後、大学院でメディアアートを学んだり、スタートアップで働いていました。

スタートアップでの勤務後は、地元のことをやりたいなと思って北海道と東京でフリーランスをしていました。2年前に、個人でやってきたことを会社としてやっていくことになりました。事業としてはざっくり2つやっていて、1つはいわゆるクライアントワーク。企画だったり、販売の支援だったり、クラウドファンディングのサポートなど幅広くやっています。

もう1つは、自社事業です。知床でのインバウンド向けの一棟貸し施設をやったり、Webメディアの運営をしています。これから北海道内での事業承継もできないかなと思っていって、会社を手放したいって人のために、何か自分たちの力が発揮できそうなところで、引き継いでいくみたいなことをやろうとしています。

山田卓哉 さん | NPO法人大ナゴヤ大学理事 兼 フリーランス

山田:僕も佐野くんと同じ北海道出身で、幼稚園も一緒でした(笑)
大学時代は青森で国際協力の勉強していました。当時、勉強してることをアウトプットしたいと思って地域のリンゴ農家さんや商店街のお手伝いをしていました。地域の皆さんにとても親身にいただいて、青森が第2の故郷みたいになりました。そういった体験の後、東京の人材系の会社に入りました。

その後、2017年に会社を辞めてフリーランスになりました。あとはNPO法人大ナゴヤ大学の学長(理事)をさせていただいてます。主には場作りを事業としていて、10人ぐらいの小規模な研修から、森、道、市場のような大規模のマーケットイベントのような大規模なものまで携わらせてもらっています。

たまたま様々な人と繋がる機会が多く、いろんなコミュニティに呼んでいただいて、その都度で役割をいただきながら、6年間何らか地域で活動してこれています。

司会:今の話を踏まえて、事業の立ち上げ時、どんな思いを持って始められたのかを聞いてみたいと思います。まず佐野さんお願いします。

佐野:会社としては、「どこに住んでいても、つくってゆかいに暮らす。」ということを掲げています。


僕はもともと何かつくりだすことが好きだったというのと、たまたま機会があり、東京で働くことになりましたが、東京と僕の地元と比べたときに格差というか、地方で暮らしてる人の方が選択肢が少ないように感じていました。東京はクリエイターが生まれやすい、活動しやすいというイメージ。実際そういう現状があると思います。ただ、地方だからこそできることも沢山あると思い北海道に戻って事業を始めました。

合理的に考えると、東京でやった方がお金を稼げます。なので、最初は東京でお金を稼ぎながら、北海道で何か作るみたいなかたちのスタートでした。

司会:続いて、山田さんにもお話しを伺ってみたいと思います。

山田:そうですね。僕の原体験はやっぱり青森での出来事で、よそ者の僕を地域に受け入れてもらって、そこにお金じゃない形での報酬とお金としての報酬と両方もらえることができた経験があります。その経験から「他の地域でもできるんじゃないか」という想いはありましたね。

そこから数年が経って、名古屋や岐阜でつながった方々とのご縁から少しずつお仕事をもらうようになっていきました。場づくりを事業にしていくということで考えると、自分には東海エリアが一番合っていました。東海では少なかったんですが(今は結構増えた)、東京だとコミュニティマネージャーって職種の人たちは結構いたというタイミングもありましたが。

司会:続いて、土井さんにも伺ってみましょう。土井さんは東京に14年いて、そこから地元に帰るってどんな経緯があったんですか?

土井:14年って結構長いですよね。ただ、このまま東京に居てはいけないような黄色信号を直感的に感じまして、、戻る決断をしました。できることがたくさん増えたからこともあり、何か地域で貢献できるんじゃないかという考えもありました

とりあえず、実家が農家なのでお米やトマトとかで何かやれるんじゃないかなみたいな感じに思っていました。コンサルティングを13年間ぐらいやっていたこともあり、地域へ何かはできるだろうと。

その後は、出会に恵まれました。本当に恵まれていたと思います。
人とのご縁での繋がりの中で、(事業とか)誘っていただいたら、基本断らなかったこともあります。今回の高級一棟貸のマネージャーについても、そんな感じでした(笑)

呼ばれたら国内外どこでもいく、フットワークの軽さもあるんでしょうね。東京だとめずらしくはないかなと思いますが、地域にそういう人が少なかったというのもハマった理由なのかもしれません。

司会:お三方ともすごく興味深いですね。皆さん、それぞれ地域への思いがコアにありますよね。マーケットの話でいうと、山田さん、土井さんに共通していたのは人材的に空白地帯だったところも挙げられるような気がします。

そこで、佐野さんにもお伺いしたいんですが、佐野さんのような人材って実は北海道に他にいるんじゃないかなと思ったんです。逆に北海道でブルーオーシャンだからお声がかかってるんだって認識されてる部分があれば聞いてみたいなと。

佐野:んー、そうですね。クリエイティブ系の領域でいうと、30歳前後くらいの人があんまりいないというふうには感じますね。

大学卒業前後、あるいは30代後半でUターンしてきました、って人はそこそこいますが、30歳前後くらいの年齢でスキルを持ってUターンしてきました、みたいな人はそこまでいない気がします。そこにちょっとしたニーズが落ちてて仕事をいただいているという状態なのかなと。

あとは、あんまり札幌に限らず、全国、他の地域の知り合いの人に声かけてもらっています。僕が地元の方でやってることとかっていうのは、お金にならなくてもいいから何か自分のやりたいことに重なることとか、先に繋がっていくようなことをやろうっていう感じでやれる範囲でやっています。

司会:なんか、20代後半くらいから30代の世代がスポッと抜けてるってのは全国的にありえる話なんだな。と聞いてておもいました。

ちょうどこの志摩市も同じような感じだと思います。なかなか外との交流も生まれにくい、といった状況。なので今日のこういったイベントを機に上手く横のつながりを作ったりして、なにか始める種が生まれてくるとよいなと思います。

話は戻っちゃうんですが、これまでのキャリアを歩んできて、今の自分から、事業の立ち上げ時の自分に対して何かアドバイスするとしたら、何かあります。佐野さんどうでしょう?

佐野:最初の一年のうちに、大きな挫折があって、うまくいかないことが重なり、ちょっと気を病んでしまった時期がありました。その経験を踏まえて、やり方や考え方をガラッと変えたらうまく回りはじめたんですよね。

以前は、「世の中はもっとこうあるべきだよね」という軸で、いろいろ考えてやってたんですけど、「自分がやりたいか、やりたくないか」で優先度を決めた方が結果が良くなりました。そこから繋がってくる仕事は、やっぱり何かある程度自分が納得感を持ってできる仕事だったりするのでいい方向に進んでいるなと思っています。

司会:そうですね。単純にそのやろうとしていることが自分は好きかどうかをもっと自分で判断した方がいいとか、なのかもしれませんね。

事業立ち上げをしてみたところ、ちょっと想像と違うなって思ったこととかもお伺いしたいなと思っていて、山田さんどうでしょうか?

山田:僕は、「これで仕事になるのか」みたいなスタートだったので、意外と仕事として受け入れてもらえたっていうギャップは、良い意味でありました。地域の中で重宝もしてもらえましたし。コロナの前だったので、リアルイベントに大きな予算がついていたということもあったと思います。。

ただ、コロナになってから、オンラインの中でどうやってコミュニケーション作っていこうか、オフラインの偶発性を生み出せないものか。というのは時間差でやってきた大きなギャップというか、障壁になっています。どこまでいっても、オンラインとリアルの溝を埋めるというのが難しいと、今も悩んでいるところです。

司会:なるほどですね。土井さんはどうですか?なんかこういうものが障壁だったなんて後々振り返ってみてあったりしますか?

土井:一つ反省があったなと思い出しました。自分の性格というか、姿勢というか。あんまり人に寄り添って、というのをやってこなかった。「自分がこう思うから、こうだ」みたいなところがちょっとあったなと。それは今思うと、機会損失になってたこともあったのではと思っています。今は、自分の考えに他の人の意見を足した方が良い時ってたくさんあるって気づけた。

司会:次に、事業のゴールに向けて力を入れてることについて教えてください。

山田:自分の仕事が次にどう繋がっていくのか、継続性を考えていきたいと強く思っています。単発で終わらせないというか、自分のステークホルダーは一体誰なのか、自分の仕事がその方達にどのような影響を及ぼすのか。継続していける、大きな絵をイメージしていきたいと考えています。

佐野:接続点を増やす、というところは意識したいと思っています。人の数でいうと、都会の方が有利です。ただ、地方に住んでいても繋がりがあればいろんなチャンスが回ってくる。僕も札幌に住んでるけど札幌じゃないところの仕事がきます。それは、さまざまな地域の、さまざまな人との接続点があるからだなと。最近メンバーも増えたので、この動きを増やせれば、結果良い方向に向かうんじゃないかと思っています。

土井:10月に香川で高級一棟貸しの旅館をオープン予定なので、そこに合わせて課題の潰し込みや支援者を募ったり、人を雇っていく方向で動いていってます。これまでいろんな人やコミュニティとの信頼関係はうまく繋げてきたんですけど、そこにさらに多様さというか、どんどん増やしていってよいのかなと思っています。

司会:最後に、みなさんに「自分で事業をする」ってどんなことか一言いただいて終わりたいと思います。

山田:僕もまだ言語化しきれてないんですけど、さまざまな社会的意義やらを考えはするんですが、結局は「自分がやりたいこと」を「とことん、どうやってやるか考えること」なのかなって思います。

佐野:山田さんと同意見で、付け加えるなら執念に近いものでもあるなと思っています。僕の場合も北海道の端っこで、そんなに事業をやる理由もないじゃないって思われてしまいがちですが、そこの地域で生まれ育ってきたっていうことをハンデだと思いたくないし、自分より下の世代にそう思って欲しくないなみたいなのもあるので。後は、「やれることから、やっていく」例えば、そこに住んでなくても別のところで働きながら、その地域に関わる事業はできますし、グラデーションがあってもいいと思います。

土井:お二方と同じで、自分がワクワクするかどうかだなと。どれだけの影響を持てるのか、規模的には分からないけれども、何かちょっとでも世の中に希望の光をさせることがあれば、やってみたら良いと思う。あと、仲間づくり、自分が得意なことはやって、自分ができないことは無理しすぎないこと。自分にないものを持っているまわりの人を頼るというのも大事。

司会:周りの人に助けを求めるっていうのは大切ですね。うみらぼの立ち上げも、自分達だけではできることが限られているので。今日のこの機会がつくれたのも、さまざまな方に助けていただいて成り立っています。これは、他の方にも言えることではないかなと思います。そういうふうな繋がりをね、大事にしていきたいですね。

あっという間のお時間でした。今日ご参加された皆さんの事業立ち上げや、何かを始める方にとって、今日のお話が何かのヒントになれば幸いです。

皆さん、本日はありがとうございました。


次回、10月22日(土)に、うみらぼの整備作業とSUP体験を行います。ご協力いただける方・ご興味ある方は是非!申し込みフォームはこちら


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