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言葉は現実になる

あなたは言葉の力を信じますか?私はある時期を境に、言葉には力がある、そんなことを本気で信じるようになりました。



引っ越そう

数年前、我が家は引越ししました。家族誰一人として本気にしなかった引っ越すという言葉。その言葉を私は繰り返し口にしました。それはほんの数年前のこと。”引っ越そう”、そんなことを散歩や買い物の途中、家でくつろいでいる時、何度も口にしました。もちろん夫は、家族は笑っているだけでした。

どうしたわけか、人は一度家を持つとそこから動くことなど考えられなくなるもの。たとえそこが故郷でなくても、たとえ住宅ローンが終わっていても、一度手に入れた家を手放すことをなぜか考えられなくなるのです。それは終の棲家として心の中にそびえ立ち、自身の暮らしを軸に動くのではなく、家を軸にした動きを続けるのです。

ただ家族の暮らしは変化し、そこに暮らす私たちの体型も変化し、もう昔の服は似合わないのです。それなのに私達は20数年前の私たちにぴったりだったマイホームが手放せないでいたのです。体力も気力も衰え始めた夫。それでも相も変わらず残業三昧な暮らしです。

その”引っ越そう”を口にして一年が過ぎた頃、夫の仕事がさらに忙しくなりました。そんな頃から、私の口にする”引っ越そう”は、徐々に現実味を帯びてきました。



柱を撫でてお別れ

それから、”引っ越そう”を口にし始めて数年後、夫はいつもより30分遅く起きて通勤することが出来るようになりました。一度も実現したことのなかった夕食を家族揃って賑やかにとる、も実現しました。ちょっと遅目ですが…。そしてその日が終わる頃には消灯できるようにもなりました。

☆---

引っ越後の暮らしを口にするようになってから、私は徐々に暮らしの相場をネット検索するようになりました。そんな話しを冗談のように聞き流していた夫。それがある日、普通にそんな話しに夫が乗ってきたのです。そしていつしか、少し先にある日常を二人で語り始めたのです。”引っ越そう”が動き始めた時でした。

そこからは早かった。都心寄りの住まいを見つけると、夫にとっては魔法のように、するりと新しい暮らしへと暮らしの場を移したのでした。

そうして2拠点生活を始めてみると、また変化がおこります。若き日に手に入れた愛すべき家はもう私達の暮らしには合わない、そんなことが夫にも分かってきました。

思い出の詰まった家を手放す、そんな日がきました。

感傷はなかったはず。それなのに、何もかもすっかり片付いて広々とした部屋に一人で居ると、もう一度部屋の隅々まで雑巾がけしたくなりました。汗だくのまま顔を上げると、良いことを幾つも運んでくれたマイホームに”ありがとう”が零れてきました。軸がなければ私たちはバラバラだったはず。そんなことを思いつつ、一つ一つの部屋を巡り柱を撫でて別れを呟きました。



言葉が人生を導く、それは意外に単純なこと

30代で手に入れたマイホーム。そこには辛い記憶が半分、それから前進し続けた記憶が半分刻まれています。

最初の10年程は、言葉の法則に気づかぬまま、小さな出来事や、人の口にした言葉から離れられず、悩みの中に浸りっぱなしでした。人の口にした言葉をなぞり、人の吐き捨てた言葉を何度も検証する、そんな暮らしをしていたのです。そして、そんなものを宝物のように大事に折りたたんでは体の中にしまい込み暮らしていました。

それから、ある日、”ありがとう”を口癖にしてみよう、そんなことを思ったのです。それは脳の不思議に気づいたから。

その気づきはいきなりやってきました。何度考えても解けなかった計算問題が、シャワーを浴びているときふいに解けたのです。それは、ふと解けたのです。そんなことが何度もありました。そして鈍い私にも分かったのです。一度考えたことは、たとえそこから離れても、脳はそのことを考え続けている、ということが。

そんなことに気づくと、暮らしは大きく変わりました。

それからは将来起きて欲しいことを口にするようにしました。実に単純なやり方です。やりたいこと、叶えたい夢を、脳に考えてもらうことにしたのです。そして、それは家族にも影響を与えました。家族の一員である私が繰り返し口にする言葉、その言葉を家族の脳も受け取ります。そして彼らの脳もまた考え始めるのです。知らない間に脳はずっと考えているのです。



夢は言葉が連れてくる

そんなシンプルなことに気づけてからの残りの暮らしはどんどん変化していきました。

最初に口にしたのは”ありがとう”。いったいどんな”ありがとう”が私に起こっていたのか、脳に考えてもらうことにしたのです。ちょっと辛いことがあった時には、”ありがとう”を脳に任せ、さっさとそこから離れます。

すると、徐々に元気になりました。そう、”ありがとう”が、まるでそれまで滞りがちだった栄養を脳に運び始めたかのように。そして元気になった脳が、私の知らないところで感謝する出来事がどこかにあったはずだと捜しはじめました。嬉しかったことが一つぐらいはあっただろうと、捜しはじめたのです。

そんな頃から、ちっともはかどらなかった資格試験の勉強がはかどり始めました。そこからです、もっと働きたい、大学へ行きたい、院に進みたい、引っ越ししたい、そんな夢が一つ、また一つと叶い始めたのは。

そして、それは家族もまた同じでした。小さな目の前の夢が少しずつ現実になっていきました。




結びに

わたしは日頃、女性の働き方について文章を書いています。ただ書いているだけです。叫んでも、訴えてもいません。それでも書いています。それは、言葉がとても強いものだということを知っているから。

一度口にした言葉は、自分の周りで成長していきます。それが良い言葉でも悪い言葉でも、同じです。

長く暮らしたあの家で、未熟過ぎた私は、本当は私には必要なかった言葉を繰り返し呟き、考え、そこに浸って暮らしていました。その結果はとてもみじめなものでした。何一ついいことなど無く、本当に酷かったのです。だからこそ、その変化に気づけたのです。言葉を変えた時から、大きく人生が動き始めたということに。どれほど言葉が大切なのかということにも。

そう、言葉は夢を連れてきますが、言葉は夢を打ち砕くものでもあります。言葉には、そんな力があります。あの家で、私はそんなことを学習しました。

だから私は、明るい女性の生き方を語ります。夢は自分たちで作るものだから。夢は人が運んでくるものではありません。私はそんなことを知っています。夢は自分で作るものです。

そして夢は確実に伝染します。それを運んでくるのは全て私たちの頭の中にある言葉であり、口にする言葉です。そう、女性の働き方と生き方は、言葉の力で良い方向に変えていけます。それを始めるのは私たちの中にある言葉であり、口にする言葉の力です。


#言葉の力


【企画】女性の働き方と生き方に関する記事を書いています。その一覧!(2021年11月24日現在。過去記事一部含む)

☆育児編
ママを悩ます子育ての常識 / 三歳児神話はやっぱり神話なのでした

☆介護編
Long-term care。「一人でも大丈夫」なら、それはさいごの自由
介護にも上り坂⤴があるのです

☆教育編
見えないものを取り出して。教育は女性を教育は女性を救える?そしてそこからSDGsへ

☆日本の主婦編
日本の主婦って…駄目ですか?
しっぽを掴む、それがはじまり! / ところで主婦ってなんだろう?

☆結婚・長時間労働問題編
自分で選んで決める。未来の自分のために

☆意識編
永遠に手放してしまいたいもの
モノローグ「遺品整理士」
言葉は現実になる

☆家族編
noteでエアハグしよう💖💖 家族から、そしてまた家族へ
「ハンサード」イギリス人夫妻とわたしたち
「結婚」が教えてくれた『北風と太陽』

☆法律編
「同一労働同一賃金」 57年前、他国でできた法律を取り入れる…ってこと
「均等法」 / 誕生の裏側
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次は女性 企業は変わります
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2021年、あなたはイエの内側?それとも外側?
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20年ぶりの再会 「働く」がその人を輝かせていて
女性の道はどんどん狭くなる / 齢と属性というしばり
Re:たとえ働かなくてもいい時代になったとしても、それでも「働くことは生きること」だと思う
「働く人」をカテゴライズするその前に / 働く女性に垣根はいらない
「気働き」できる人

☆音声配信 スタエフ編
東証が変われば日本が、女性の働き方がきっと変わる!!
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どうやって使うんでしょう、この法律 #同一労働同一賃金
その人がいなかったら…世界を変えた人
誰かがバリアを築いたのなら もう一度考えてみたい女子の就職活動
創り出されたものからそろそろ自由になりませんか?
見えなくなったのはいつ頃だったのだろう…わたしたちはそれほど違わなかったはずなのに
いろいろな角度から発信!ようやく走り出しました!


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