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今ここに至るまでー

点と点とが繋がるとはこういうことなんだなと思う。

カナダに来て、それまで予想だにしなかったことを経験した今、神様の采配は本当にすごいなと思う。

思えば一年前の今頃、お先真っ暗な状況にあった私に一筋の光が射していた。

私は3年間の休職期間をいただいてカナダに来ていたのだが、その期限が昨年末に迫っていた。ところが、私はカナダが好きになり過ぎて、心の中ではもう日本に戻る選択肢がなかった。それで就職活動をしていた。始めて9ヶ月ほど。応募してもしてもどこからも連絡がなく、カナダでの就業経験を積むためにも、もう何でもいいからやろうと思って、いわゆる日本の100円ショップでフルタイムで働き始めてから5ヶ月が経ち、心身ともに疲労困憊していた。ジョブポスティングをチェックする余裕すらなかった。

そんな時、知り合いの人から同じチームで人を募集していると聞き、久々にレジュメとカバーレターを書いた。その流れで、それまでスルーしていたジョブポスティングの通知を開いた。その時、今の仕事の募集が目に飛び込んできた。何をしている会社か良く分からないまま、アップデートしたばかりのレジュメに、以前作ったカバーレターを切り貼りしてすぐに応募した。

それからほどなく、お店で働いている時に電話を受けた。迷惑電話が多いので、知らない番号からの電話には普段出ないのに、何故かその電話に出た。確か別の電話を待っていたのだと思う。

それから夢を見ているかのようにトントン拍子に事が進んだ。二次面接では社長へのプレゼンを用意してほしいと言われ、お店での仕事の前後、寝る間を惜しんで準備した。そして、気付いたら契約書にサインしていた。それまで面接にすら進んだことがなかったのに、2週間あまりの間にガガガッと私の人生が大きく動いた。

私の勤める会社はヨーロッパに本社があるハイテク企業で、私はその戦略チームで、サステナビリティ/ESG(環境、社会、ガバナンス)に関わるあらゆることを担当している。

振り返ると、サステナビリティの概念に出会ったのは高校生の時。学校で、サハラ砂漠で植林をしているNGOの人の講演を聞いた。サハラ砂漠は昔は森だったそうだ。そこに住む人達が生活のために木を切り続け、気付いたら砂漠になっていたのだそうだ。一度砂漠になると、そこに木を植えるのがいかに大変なことか、何をしても無駄なことのように思えるというようなお話だった。(自分でも驚いたが、その団体の名前を覚えていたので、検索してみたら、まだ活動を続けられていて、成果も出ているようで嬉しい ーhttp://www.jca.apc.org/sahel-no-mori/)

その時、私はそこで木を切った人達を単純に責められないと思った。それ以外の方法がなかったのだから。とはいえ、自然がなくなっては人も生活できない。そういうことを事前にその人達が知り得ることはできなかったのか。何かできることはないのか、そう思ったのがサステナビリティとの出会いだった。

漠然と何かしたいと思ったものの、何を大学で勉強すればいいのか、それがどんな職業に繋がるのかイメージが掴めないまま、私はなんとなく大学に進み、”化学”を専攻していた。

白衣に身を包み実験をしながらも何か違うと思っていた。私は人にアプローチしたかったし、化学ではなくて環境全体について考えたかった。それで、さらに環境学を学ぶことにした。とはいえ、化学の延長で進学したので、なかなか実験室から出ることができなかった。それと同時に、環境に貢献する技術を開発しても、価格が高すぎて社会で活用されないという壁にもぶち当たった。

どんなに良い技術も人がそれに価値を見出さなければ需要が生まれず、結果価格が下がらず、活用されない。絶望感に近い感覚を味わった。またしても何をすればいいのか分からなくなった。それで、とりあえず経済を学んでみようと思った。日本で文転するのは難しかったので、留学して経済を学んだ(ベルギーでフランス語で、長い話になるのでここでは略)。

それで、もうこれ以上勉強するのはやめよう、実際に働いてみようと思った。国際機関で働きたいと思っていた。サハラ砂漠の話が頭の片隅にあったからだと思う。ただ、国際機関に新卒で入ることは不可能だと知った。それで、とりあえず別のルートを辿ることにした。結果として同じ仕事ができた。この部分はまた別の機会に書きたいと思う。やり甲斐のある仕事だった。環境と人、ファイナンス、マーケットの仕組みなど実地での学びが大きかった。

それでも私はカナダの魅力に取り憑かれ、転職活動をするに至った。そして今の仕事に出会った。回り回ってテクノロジーでサステナビリティに近づく仕事だ。応募要件の中でエンジニアの学位があることが望ましいとあった。化学とは全く関係ない、電子/機械工学やコンピュータサイエンスの分野の会社だが、”学位”が初めて役に立った。

何でこんなことをしているのだろうと思いながらも経験したことは全て意味のあることだった。

意味のなかったことは一つとしてない。確信を持って言える。たとえ回り道に見えたとしても。

一つ一つの点がまた繋がっていくのだ。だから毎日わくわくする。

この点達は次に私をどこに誘うのだろう。






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