秋の日 森のテラスで あいうえお
“どう観ても 思い切っり健康そうですよ”
久々に 逢う人…
真っ黒に日焼けした顔を観て呟く
“顔色 昔より良さそうで…”
“毎日毎日 スパルタリハビリ
水の中にいるから
照り返しで 焦げてるだけです”
久々に お逢いしたら
誰もが 寝たきりで
歩きも 話す事も まともに食べる事も
出来なかったとは 思わないだろう..
俗世間では 姿見えない
幽霊に なっているらしい...
呼ばれたら出て来ますけど...と
“ご迷惑を 御負担を かけぬよう
静かに 静かに 息してるだけです”
いつしか 口癖になっている..
ただ
一時間前は 相変わらず
あいうえおの 練習をしていたのである。
回復期リハビリテーション病棟
セラピストさんは 呟く
テラスでやりましょう
前回 森のテラスデビューした
セラピストさん
テラスでの施術が 気にいって
いただけたようだ。
それにしても いい青空
ちょうど二年前 この空を眺めていた
一番顔の 状態が悪い時だった..,
そんな話をしながら
施術は 始まる
“今日は 内側からも 解します”
先ずは 背中 肩周りから 解してくれる。
“相変わらず 張ってますねー”
昨日も 川でスパルタリハビリやってましたから…
知らない人みたら
いじめられてるみたいですね
口の中は 凝りまくり
直接 指でほぐしていく
“口の中 カチコチですね
此処痛いでしょ”
あちこちが 痛いのである。
口の中をほぐしている状態で
普通に話している。
そう いつしか 腹話術を
習得して 喉だけで 話しているのである。
普通の人は 出来ない芸当らしい...
暫くすると セラピストさんが
喜んでいる。
”自己満足ですが 表情筋 動き出しました“
強張りっていた能面に
表情が 出ている。
“お見事です”と 手を叩いて喜んでいる。
セラピストさんは 言葉を重ねる
“目 開かないでしょ”
“御自宅で おでこの筋肉ほぐしてあげてくださいね”
では
いの口を
いの口の形で 全てあいうえおを
話すから 一時は いの口は
禁止に なっていた。
では 次 うの口
“うの口 上手に出来ました”
ずっと そんな事を繰り返している。
ずっと 経過を 観ている友人は呟く
“良く耐えてるねー
普通だったら メンタル持たないでしょう”
御意
耐えてないよ...
ZEROからの 育て直しを
愉しんでいる
今はまだ 二歳児くらいだから...
ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
秋の日 森のテラスであいうえお
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