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待ってろよ 乗鞍 コルナゴ部長の裏日記 第七章

自転車を組み立て ゆっくり ゆったり
登っていく。

“部長 ゆっくり上がりますから
気にせず お代わりしてください”


ギランバレーを発症する一年前に登っているのである
一年後に 痩せ細って歩け無くなんて夢にも思わず…

今日の為に 退院後リハビリを重ねた
サイズダウンのウエアも新調した。
迷いに迷ったけど ロードバイクは
ちょっぴりお助け君 YPJ-R
リハビリ当初から共に走って来たから
やっぱり一緒に登ろう

胸にはカラータイマーが

錦鯉が 紅葉の中を舞っている

おっさん二人は 子供のようにはしゃぐ

待ってろよ 乗鞍…

憧れの 乗鞍
いつしか 顔は笑ってる

どうしたんですか?

雪だ…

寒気が抜けたから 晴天である
でも….

今回 選んだ自転車は アシストロードバイク ちょっぴお助け君。
3段階のレンジがある。
エコーラインは20キロ弱
ノーマルモードでギリギリ登れる
でも
あえて エコモード
バッテリーで登っても…
でも 胸のカラータイマーが光ったら
倒れる前に 助けてもらおう
それまでは バッテリーは温存である。

それにしても 心地よい
歩きさえ出来なかったのに
今 乗鞍を 登っているのだから

……
あれ 部長 何してるんですか?

雪….

⁉️

雪で この先クローズって

え?

ガードマンのおじさんが
今朝撮った写真を見せてくれる

行っても 帰って来れないからねー

僕達の 乗鞍アタック

無事終了....

なーんの迷いも無く
頂上 畳平で何食べよう 登ってたけど
幸せなものである

おっさん 二人は 笑ってる
子供みたいに....

“また 来いよって 事だなって”

どしたんですか?

“写真撮ってよ”

紅葉を泳ぐ錦鯉がお気に入りらしい

降りは 流石に寒くて寒くて
指が凍り 身体も冷える

“あら 早かったねー”と
温泉あがりの熱った奥さんが声をかける。
“雪で クローズだった”

バス停には書いてあったそうだ。

冷静に考えたら 
他に誰も自転車乗りは居ない
登山客も居ない
バスも タクシーも走って居ない

幸せな 子供のような おっさん二人
は頂上を目指していた。

紅葉の乗鞍を 雪を眺めて

待ってろよ 乗鞍って…呟きながら


凍えるなーと 自転車を積み込む

今から スペシャルステージが始まる
そう スーパー林道を抜ければそこには

白骨温泉♨️である。
谷底にあり 川がせせらぐ

石灰質たっぷりの硫黄泉

冷えた身体を 温める。

ちなみに 部長は 温泉博士でもある。

程よくあったまり

本日のメインイベント⁉️へ
向かう…

三人は硫黄臭い

そこには 地元の人々が
こんな日は 無いよと叫ぶ
絶景が 待っているのである

平安な暮らしをする縄文人
ギランバレーに恋をして

待ってます 乗鞍の雪が溶けるまで

コルナゴ部長と浮世雲

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