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旅と映画と本と。

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訪れた街とお気に入りの映画と本のお話。
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#エッセイ

『Millennium』

『Millennium』

世間では映画『ドラゴンタトゥーの女』の方が認知度が高いのかもしれない。

スウェーデンを舞台にしたこの推理小説は、リスベットという背中にドラゴンのタトゥーを入れた女性を中心に物語が展開されていく。

彼女の出生の秘密は徐々に明かされていくが、私がこの小説で何よりも推したいのは、雑誌編集長であるミカエルとリスベットの関係性である。

リスベットは天涯孤独の身であり、特異な能力がありながらも暴力と屈辱

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『JOKER』

『JOKER』

ー本当の悪は、笑顔の中にある。

アメコミファンではない私は、バッドマンにジョーカーという悪役が出てくるぐらいの知識しかなかったので、もちろんジョーカーがどんなキャラクター設定で、どんな残虐な悪役なのかも良く知らない。

ただ現代社会においてジョーカーになってしまった人間は少なからずいるのではないのだろうかと、先週末この映画を観たときに思った。

そもそも本邦公開前からアメリカではこの映画が物議を

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『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

前回ニューヨークについて書いたので、私が好きな映画でニューヨークが舞台となっているものをひとつ紹介。

“Extremely Loud, Incredibly Close”

好きな映画を挙げるときに、この映画のタイトルを口にすると大抵聞き返される。原題も邦題も長いこの映画は、9.11に係る話である。
とはいえ9.11の様子が直接的描かれているシーンは殆どなく、
ストーリーとしては9.11で父親を

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夢と挫折と欲望と成功の街。

夢と挫折と欲望と成功の街。

私がはじめてひとり旅をした街、ニューヨーク。
その後2回、旅行で訪れた。

ギラギラと光るネオンと、高く聳える摩天楼。
この街ではいつも何かが『満たされない』ように感じる。
実際は美術館やお洒落なカフェ、セントラルパークでの散歩や、ルーフトップバーでお酒を飲むなど、
十分過ぎるほどニューヨークを楽しんでいるわけなのだけれど。
それはニューヨークという街のせいなのかもしれない。

街はいつも人で溢れ

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