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炭酸水素ナトリウム。

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日々の、なんてことない、言葉。だけど、少しだけ、心を刺激する。炭酸水のような、ラムネのような効能、小さじ一杯分。息苦しい世界の、ガス抜きと中和。
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#創作大賞感想

医者で言うところの『診断』のことを
心理カウンセリングでは「見立て』という。

じゃあ、『良い見立て』とは?

カウンセラーにとって良いのではなく、相談者にとって良いものが『良い見立て』だ。

自分の心さえ正しく見立てられない者が
他者の心を正しく見立てられる訳がないじゃないか。

心の一端である
意識に言葉が芽生えた時

大地と空は線で区切られ
もうひとつの世界が現れます

すると

無限に広がるその空間を
心は自在に飛び回り始めます

まるで

空飛びの魔法を掛けられた
箒のように

言葉と魔法とは

ほとんど同義だということに気がつき
眩暈がします。

言葉で心は癒せません
だって

心というものが何であるの前に
心というものがあるかどうかさえ

私たちは分かっていないのですから

「君のこと、良く分かるよ」
という口説き文句と同じように

「あなたの心を癒せます」
と言うカウンセラーの言葉ほど

当てにならないものはありません

一度目の偶然は、気の所為で、
二度目の偶然は、季節の気紛れで、
三度目の偶然は、運命の悪戯で、

人は、恋に、落ちるのでしょう。

いずれにしても、行先が、天国か地獄かは、わかりませんが、

線路や道路を走る車窓から見える景色だけが正義とは思いたくないものです。
上りも、下りも。