一年越し北の地、消滅する町
11月19日
寒さが堪える。新青森駅、たった今着いた新幹線の乗客たちが、縮こまって乗り換え電車を待っている。11月中旬、まだ雪は降らない。私も彼らと同様、重いリュックを背負って待合室に座り、一向にやって来ない電車を退屈な気持ちで待っていた。向かい側の席に2人組のサラリーマンが座っていて、2人とも関西弁で喋っている。2人の会話から聞き取れた単語を抜き出すと『新青森駅・アウトレット・函館』。こんなお題の三題噺が出題されたらどんなふうに書けるかしら…と考えて、「出張」しか連想できな