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スキルはあるのに稼げなかった20代を振り返る

パラレルキャリアやフリーランスとして駆け出しだった20代の頃、人のやっている仕事を見ては「オレにだってできるのに!仕事くれ!」とイラ立つことがありました。

スキルは持っているはずなのに仕事が巡ってこない。
みなさんにもそんな経験ありませんか?

30代ラストイヤーになった僕が、これまでアーティスト活動やパラレルキャリアで体験、自戒したことを振り返ってみます。


コネや金を悪だと思っていないか

「誰かの人脈やお金を使って稼ぐ?ズルすんなよ!ダメダメ!」と思っていました。
僕の頭の中で一番邪魔だったのがこの思考です。

人の人脈に群がって成功しようとする姿は美しく見えないし、人脈を使う=借りを作るような気がして嫌だった。

でも、成功する素養があるのなら良い人脈を持つ人の方から話を持ちかけるだろうし、それで開花する可能性もありますよね。
そのチャンスを掴みにいくのに、美しいも汚いも無いです。

使えるものは親でも欠点でも使え!
それくらい貪欲に泥臭く生きていく覚悟が必要だと思います。

お金も同じです。

ローンとか融資とか言われるものがあるように、大きなお金が動くときには誰もが誰かのお金を一時的に使っています。
別のところで書きましたが、安易な借金は身を滅ぼしかねないものの、何かをするにはある程度の資金は必要なわけです。

日本人はお金の教育が遅れていると言われているように、儲かる=悪いことだと思ってしまう人が多いそうです。
僕がまさにこれでした。

このマインドブロックが原因で逃したチャンスは数知れず…もったいない!


提供できるメリットは何か

自分では価値があると思っていても、人から見て価値がない。
逆に、自分では大したことがないと思っていても、人から見ると魅力的。
こういうギャップを埋める作業はとても大切なんですが、プライドやこだわりが邪魔をして、うまく整理できないものですよね。

例えば、本格的なアーティストを目指しているのに、アイドルとしてのオファーがあったらどうでしょうか?断りる?とりあえずやってみる?

客観的に見て、現段階であなたが提供できるメリットは、アーティストとしてよりもアイドルとしての方が大きいという評価だから、そういうオファーがあるわけですよね。

自分が「売りたい!やりたい!」と思う気持ちは胸の中に置いておいても腐りません。
それとは別で、人々が求めてる物を自分が持っているか?提供できるか?を考えてみると世界が変わります。

とりあえずやってみて、何かひとつでも実績ができてから自分のことをプレゼンすると、驚くほど話を聞いてもらえるようになりますよ。

僕はこれを「借り物競走」とか「わらしべ長者」と考えていて、需要と供給が合う場にアプローチすれば売れないものは無いと思っています。

もちろん、オファーは見極めが必要だし、一つの失敗が致命傷になることもあるので、注意が必要です。


正しい相談相手がいるか

僕の地元からも有名アーティストが輩出されたことはありましたが、地元民が成功のプロセスを知っているわけじゃないですよね。
幼少期の話とか逸話は聞いたりしますけど。

アーティストやアイドルになった友人や親類を持つのも稀だと思いますし、若い頃にその道を目指したくても、誰にどのタイミングで何を相談すればいいか、皆目見当もつかないわけです。

僕もまさにそれで、高校生の頃にその道を志したものの、周りに相談できたり、良いアドバイスをくれる人はいませんでした。
もちろん、一緒に夢を追う仲間や応援してくれる人はいましたが、「じゃあ誰がオレをEXILEにしてくれんの?」「死ぬ気でやるから何をしたらいいか教えてくれ!」といった疑問を解決するには、その道の人との繋がりが必要でした。

そこで、学校ではなくクラブやライブハウスに行って出会った人や、さらにその先輩を紹介してもらったりして現場の情報を集めました。
カバンには常にデモとプロフィールを3セットは常備していました。

専門学校やスクールなども世の中にあることは知っていましたが、より直接的なチャンスを求めていたし、何年もチャンスを待つ余裕はなかったし、何より「現場が最強っしょ!」の精神だったので、現場での熱量の高い出会いを大切にしていました。

その若かりし日の心情はこちらの「人生を変えた出会い」マガジンに書きましたので、ご興味のある方はご覧ください。

良い出会いもありましたが、中には明らかに胡散臭いおっさんもいたし、上手いこと言って結局自分の利益しか考えてないおっさん、ビートルズの素晴らしさを2時間語ってくるおっさん、肩書きや財力でマウント取ってくるおっさんなど、あらゆる種類のおっさんに出会いました。
もうガチャガチャにできるくらいのバリエーション。おっさんガチャかよ、と。

彼らは僕をスターにしてくれるわけでもないし、生計を立てるサポートもしてくれない。
具体的な進み方も教えてくれない。
「こっちは死ぬ気でやってんだ!すっこんでろ!」と思ってましたね実際。今もですけど。

で、結局僕が出会った中で信頼できたのは、自分の活動を通じて知り合ったプロアーティスト、仕事相手、叩き上げの経営者の皆さんです。

彼らは成果を出さなければ生き残れない立場なので、本当に必要なことを教えてくれたり、時には厳しいことも言ってくれます。
人へのリスペクトと愛があり、やり取りするだけでも仕事に対する考え方や姿勢に学ばされました。

偉い人がすごいという意味じゃないですよ。念のため。

そんな背景から、現在は僕が「アーティスト専門家」と仰々しく名乗って、育成から仕事のマッチングまでお世話しているわけです。

おっさんガチャ回してる人は、まず相談に来てくださいね。


本当に通用するスキルか

元も子もないですが、タイトルの「スキルはあるのに」って、ホントそれ?という話です。

パラレルキャリアの駆け出しの2010年頃、僕は音楽・動画制作、イベント企画、デザイン、営業といったスキルを既に持っていました。

ところが、企業や個人にもアプローチしても仕事を出してもらえない。

「なんでだよ!」「見る目ねーな!」と思うことも正直ありました。

しかし、後に振り返れば原因は明確で、その道のプロのレベルに達していなかったからです。
信頼と実績が無い、またはプレゼン不足ですね。

気づいたきっかけは、保険会社の営業研修。
「アーティストがフェスとか外タレのイベント企画を責任を持って運営できる会社を作りたい」というのが目的だったんですが、ここで営業の仕事を一から学び直すことになりました。

・成果には統計があり、手数に比例する
・サービスの質は優劣ではなくマッチ度が基準
・自分の信頼を上げる努力が必要
・初めから効率化する魔法は無い

この現実を思い知ってから、仕事に対する意識の甘さを痛感しました。

思えば、音楽活動に関する地道な作業については2日寝ないでも苦ではない。
つまり好きなことや没頭できることにはこだわりを持って取り組むことができるんですよね。

世の中の人はそれと同じ熱量や行動量で仕事に取り組んでいる可能性があるということを、僕は見落としていたんです。

とはいえ、本業がありながら他の仕事にも同じような情熱を費やせるかと言うと、なかなかできません。

そういう姿勢の差がスキルや実績、ひいては信頼に影響しているのではないか。ならば、仕事自体を好きなことにするしかない。

そう思考を転換し、経験値を積むために格安案件も受けたり、たまにココナラやランサーズで発注をして人の仕事を研究してみると、徐々に必要とされるレベルが分かるようになりました。

どんな仕事にも一定の成果を出すために必要な「がむしゃら頑張りライン」があり、そこに到達することを自分のスキル醸成の基準としました。


スキル変換できているか

スキルと提供できるメリットがあっても、その2つをお客さんへと繋げる変換装置が必要です。

今はセルフマネジメントをする人が多いですが、事務所やエージェントがこれをやってくれる存在です。

簡単に言えば、キャラを固めて、資料を作って、広告を出したり売り込みをして売上に繋げるアクションですね。

・宣材、SNS=ブランディング
・SNS、広告、ライブ=マーケティング
・売り込み、ライブ=営業

社会の共通言語に自分達のやっていることを当てはめると、どんな役割をもらえるのかが少しずつ見えてきました。

「SNSでフォロワーが多いです」だと「ふーん」で終わることでも、「私のSNSのフォロワー属性は〇〇が特徴で、ここに〇〇を載せることで、〇〇といった成果が見込めます」と言えると、いわゆる案件の獲得がスムーズになるわけです。

企業を相手にする時には、この「スキル変換」というステップがないと振り向いてもらえません。
娯楽や応援としてお金を払うのではなく、ビジネスなので、メリットが明確でなければお金を出してくれないのです。

ちょっと変化球ですが、僕は企業が出している求人広告を見て、どんな職種にどんな能力を求めていて、どんな成果を期待しているのかを研究しました。

だって広告費に数万円、採用費に数十万円、給料に何百万円もかけてでも求めている価値が載っているわけですからね。いいカタログです。

そこで求められていることを音楽で実現できればそのまま凸するし、他のスキルが当てはまればそれを売り込むし、かすっているけど足りないスキルがあれば磨くし、といった感じで営業をしていきました。

おそらく当時の僕の年齢のアーティストで、あれほどテレアポ、メール、資料作り、商談に時間を費やしたアーティストはいないんじゃないかな。

歌っている時以外は、常にそんなことをやってましたね。


自分に投資しているか

僕の持論は「お金がなくてできないことは、お金があってもできない」なんですが、早い話が、お金に頼らない状況でどこまで自分の可能性を伸ばせるかが重要だと思っています。

どんなに優秀なスキル変換装置や金があったとしても、肝心な売り物、つまり自分の提供するサービスがショボかったら意味がない。

サービスというのは歌やアートなどの作品に限らず、動画コンテンツやSNSの投稿内容など、ファンやお客さんに対して行うあらゆることです。

こんなことを日々を心がけると、最低限の自分の価値が蓄積されていくと思います。

 ①専門的なことを学ぶ&発信する
 ②正しく自慢&感謝する
 ③継続する

「毎日なんて無理」
「そんなに沢山ネタがない」
「向いていない」
「そんな専門的なことを持ち合わせていない」
という人もいますが、それ、バイトや仕事するときにも言いますか?

タクシー運転手が「左折怖いんで右折だけで行きます」と言うようなもの。
運転手さんは運転の専門家のはずで、彼らが「向いてないんですよ~」「ブレーキ踏むの苦手でぇ~」なんて言ってたらゾッとしますよね。
それってあなたの都合であり、お客さんのこと考えてないですよねと。
その仕事をやる以上、含まれる業務はやるしかない。

とはいえ、自分がお金をかけずにステップアップできる範囲には上限があって、ある程度のレベルを突破するためにはお金を費やしてブーストする必要があります。

最近は何十万円もするカメラでなくても、iPhoneの撮影だけで、一見立派な映像が撮れます。
それでも、映像のプロから見てある程度の基準を満たしていなければ、映像の質として高いとは言えませんよね。
音楽や写真やアートやファッションでも同じ。

ハイブランドの価値を知りながらプチプラの価値が分かるのと、プチプラしか買ったことの無い人がプチプラの良さを熱弁するのとでは、話が違いますよね。

本当に必要とされるレベルを知るには、その道の一流の腕を目の当たりにするのが一番です。
一緒に仕事をしたり、発注したり、学ぶといったことには、それなりのお金をかけてみてください。

ここにケチらず投資できるかが運命の分かれ道です。


愛嬌があるか

結局そこかい!となるんですが、どの世界でも愛嬌がないと難しいのが現実です。

愛嬌といっても、常にぶりっ子したり媚びろということではなく、「相手に心地よくコミュニケーションを取ってもらう設定」を作ればいいんです。

そう。大切なのはコミュニケーションの機会を大切にすること。
そのために「どんな自分を演出するか」が重要になってきます。

僕はもともと人付き合いやコミュニケーションが苦手で、幼少期から人と目を合わせるためのトレーニングをさせられていたくらいです。
性格もリアリストすぎてつまらないし、人の会話に付き合うのも無駄だと思っていたような人間です。

学生時代やアルバイトや派遣の時はそれでも良かったんです。
役割が与えられるから。

でも、社会に出て活躍する人を見た時、アーティストとして腕一本で稼ごうとした時、遡って学生時代に人気だった友人を思い出す時、自分には愛嬌が足りていないことに気づきました。

人間の性格はいきなりは変わらないですが、僕はまず自分の価値観を一旦捨てて、人気者たちのリアクション・表情・振る舞いを真似することにしました。とにかく変わりたくて。

すると不思議なもので、そういう人になっていくんですね。
根は変わらなくても、そういうモードのチャンネルは作れる。

キャラでもいいんです。
むしろ自分の素のままをさらけ出して不特定多数の人と関わると自分がすり減ってしまう気がするので、その対策にもなるかもしれませんね。


自分のことを「人見知りだから」「面白いこと言えないし」と決めつけないで、新たなチャンネルを増やす努力をすれば、愛嬌ある人間になれます。


さいごに

振り返ると、自分のアクションに後悔は一切ありませんが、マインドの持ち方で損をしていたこと(気持ちがしんどいという意味で)が多かったと思います。

これを読んでくれている人の中には、稼げるノウハウを期待してた人もいるかもしれませんが、大切なのはマインドセットです。

そこさえちゃんとしていれば、どんなやり方をしていても、結局は成果が出るルートに出会えると思います。

僕もまだまだアップデートしていきたいと思います。

ガリバー宇田川
https://lit.link/udagulliver
レッスン→https://udagulliver.themedia.jp/pages/833524/lesson

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