地方創生のバカバカしさ
山形県で会社の経営を始めて3年が経ちました。
3年も地方で会社をやっていると、やはり少なからず地方創生というものに興味を持ち、自社が地域に対してできることなんかを考えるようになりました。
そんな中で、地方創生を取り上げたウェブメディアの記事や動画コンテンツも自然と目に入るようになりましたが、いつも違和感を感じています。
地方創生が大切なのは自明の理ですが、少子高齢化に直面する日本において、なんとなく地方経済の残滓を搾り取るための免罪符的な使われ方をしているように思えて仕方ありません。
違和感の正体の大元は、地方創生を標榜する企業にとって、地方を市場やお客様でしかないという事実です。
地方創生を標榜しているのは都心のプラットフォーマー
例えば、メディアに出ているような地方創生の企業や、やたらと地方創生を主張している会社は、ほとんどの場合東京が本社です。
試しに「地方創生 会社」と調べて出てきた会社の本社や登記を調べてみると、ほぼほぼ東京の会社です。
そして、そのほとんどは広義な意味でのプラットフォーマーです。
つまり、地方創生の構図とは、東京のプラットフォーマーが地方のプレーヤーを集めて、一緒に地方を盛り上げましょう、ということなのです。
一見するとこれこそ地方創生のあり方のように見えます。
しかし、私はこの構図にこそ地方創生のバカバカしさが集約されているようにしか思えないのです。
地方創生により東京と地方の格差が拡大する
そもそも、地方創生とは何でしょうか。
Wikipediaによると、地方創生の目的は「東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げること」です。
つまり、端的にいうと、東京と地方のヒト・モノ・カネの格差をなくして全体として経済を盛り上げていこう、ということです。
ですが、東京のプラットフォーマーと地方のプレーヤという構図が存在する限り、この格差は埋まるどころかますます拡大するのではないでしょうか。
もちろん、この構図において地方のプレーヤーは成長するのですが、それ以上に東京のプラットフォーマーが肥え太っていく気がするのです。
そうすると、東京への一極集中がますます加速するだけではないでしょうか。
地方のプレーヤーが東京のプラットフォーマーのお客様である限り、本来的な意味での地方創生は達成されないでしょう。
私も東京の人間ですし、かつて東京で会社をやっていましたから、東京で事業をやるメリットは存分に理解しています。
人材のレベルも事業のチャンスも、地方と比べると圧倒的に東京に軍配が上がります。
しかし、本当に地方創生を達成したいのであれば、プラットフォーマーが地方を拠点に事業を展開し、地方で雇用を増やし、地方に税金を納めるべきです。
もっとも、こういった東京の優秀なプラットフォーマーの存在が、地方のプレーヤーの成長のきっかけになっているのは事実ですし、地方創生にプラットフォーマーは欠かせないと思います。
しかしながら、今のままでは地方創生の目的を果たすことはできないでしょう。
ここは国や自治体がリーダーシップを持って、地方が中心の地方創生を目指して欲しいものです。
東京に住みながら山形の会社を経営していると、次々と商業ビルやマンションが建っていく東京の景色と、年々衰退する山形のシャッター街のコントラストに、今の地方創生にバカバカしさを感じられずにいませんでした。
ご清覧、ありがとうございました。
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