ハゼノキめぐる

平安時代は草木染や弓、江戸時代以降は和蝋燭や化粧品として活用されたハゼノキ。産地の減少…

ハゼノキめぐる

平安時代は草木染や弓、江戸時代以降は和蝋燭や化粧品として活用されたハゼノキ。産地の減少や代替品の発展から産業も文化も衰退しています。 私達はハゼノキゆかりの地、鹿児島県錦江町と福岡県那珂川市を拠点にハゼノキの育成支援、ワークショップ等を通じた文化、産業の普及活動を行っています。

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ハゼノキを育てよう!

皆さんこんにちは!久々にnote再開します。 皆さんは「ハゼノキ」はご存じでしょうか?ハゼノキは東南アジアが原産地と言われており、日本では室町時代に大隅国の根占地区に取り寄せられた苗が初めてといわれています。その始まりの地でもある錦江町でハゼノキの植樹を始めようと思っています。それに先駆けて現在我が家では、このハゼノキの苗を種から育てています(トップの写真は生後3ヶ月。我が家の櫨の子です) と、言うことで今回はそのハゼノキ(櫨の木)に関して書いていこうかと思います。「ハゼ

    • ハゼノキってどんな色? 黄櫨染とは何なのか?考えてみる

      みなさんこんにちは。ついに梅雨が明けましたね。いよいよ夏も本格的に始まり暑くなってきます。今年も非常に暑くなる予報がでていますのでくれぐれも熱中症にはお気を付けください!先週はハゼノキの潜在的にどんな色を持っているのか?という事を草木染の染料としての始点から考えてみました。予想通りの点と予想外の点があり面白い結果になりました。そんな先週の記事はこちらから。 今週は先週最後に予告しました、ハゼノキを使った草木染の原点でもあり、頂点でもある「黄櫨染」に関して書いていこうと思って

      • ハゼノキってどんな色? 草木染から考える潜在的な色

        みなさんこんばんは。まだまだ強い雨が降り続いたり、突然晴れたり不安定な日が続いていますね。鹿児島は今週は先週までの晴れが嘘のように梅雨が戻ってきています。そろそろ梅雨が明けてほしいですね。さて、先週は「ハゼノキの色」に関して総論的なお話を書いてみました。実は結構いろいろな視点の色があったりしました。そんな先週の記事はこちら 先週に引き続き今週のテーマも「色」です。その中でもハゼノキの最も古典的な利用方法である「草木染」の色に関して書いていこうと思います。黄櫨染(こうろぜん)

        • ハゼノキってどんな色? 実は微妙に色が違うハゼノキ

          みなさんこんにちは。今週の鹿児島は五月晴れが続き、雨がほぼ降らない五週間でした。まるで真夏のような暑さです。植物にとっても日差しと雨は成長のエンジンですが、極端に雨ばかり晴ればかりというのも考え物です。さて先週はハゼノキ関連のおすすめ書籍について書いてみました。実は結構あるのですが、ほとんどが絶版になっており図書館でしか読めないものがほとんどです。そんな中で現在購入可能なおすすめを書いてみました。そんな先週の記事はこちら! 今日のテーマは「色」です。ハゼノキの色というと、イ

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        ハゼノキを育てよう!

          【雑談】ハゼノキや和蝋燭に関するおすすめの書籍

          みなさんこにちは。いよいよ梅雨本番になり大隅半島は連日線状降水帯か?というような雨が断続的に続いています。皆さんも突然の豪雨や土砂災害には十分お気を付けください。さて先週はハゼノキと漆。2つの木蝋とそれを製蝋するための2つの製蝋機に関してでした。「道具」に関してはこれまであまりお話する機会がなかったのですが、いつもと違う切り口からハゼノキを見てみるのも面白いですね。そんな先週の記事はこちら! 4月から毎週金曜日に更新しているこのnoteですが、今日で3ヶ月目が終わります。実

          【雑談】ハゼノキや和蝋燭に関するおすすめの書籍

          2つの木蝋と2つの製蝋機 東北と西日本における製蝋用具の違い

          みなさんこんにちは!先日、愛媛県内子町にある「木蝋資料館上芳我邸」に行ってきました。木蝋資料館では年に1度地元の内子中学校の生徒向けにハゼノキの蝋絞り体験を実施しており、そちらを見学させていただきました。そちらの様子はまた別の形でレポートしたいと思います!さて、先週はこの時期に特に気を付けなければいけない「ハゼノキのカブレ」に関して書いていました。この時期必読です!そのな先週の記事はこちら。 木蝋資料館は重要有形民俗文化財として登録される、製蝋用具1444点を所蔵しています

          2つの木蝋と2つの製蝋機 東北と西日本における製蝋用具の違い

          ハゼノキはカブレるのか? これからの時期に特に注意すべきこと! 

          みなさんこんにちは!今年は少し遅れ気味でしたが鹿児島もようやく梅雨に入りしました。ハゼノキの育成に関しても梅雨前で前半戦が終わり、一息つくことができます。先週まではそんなハゼノキの育成に関して、これまでのまとめを5回にわたって書いてきました。前回の記事はこちら! 実は梅雨の間は私も必要以上にハゼノキの里山には入らないようにしています。理由は2つあるのですが、1つは単純にぬかるんだ斜面を崩さないようにするため、もう1つがハゼノキでカブレないようにするためです。私自身はハゼノキ

          ハゼノキはカブレるのか? これからの時期に特に注意すべきこと! 

          ハゼノキの里山記録⑤ 植樹後のハゼノキの状況・2年目

          みなさんこんにちは!春の草刈りも5月で一段落し、梅雨の間は大きく手を加えるところがないため、しばらくはハゼノキの成長を楽しみに待つ期間になります。それでも1年目はなにかした方がよいのかな?と考えたり、特にやることも無いのにハゼノキの里山を訪ねたりしていました。そんな1年目のハゼノキの里の記録を先週簡単にまとめています。記事はこちら! まさかの月跨ぎになってしまった「ハゼノキの里山記録」ですが、今週は2年目の里山の状況と、3年目はどのような活動をしていくのか?を中心に書いてい

          ハゼノキの里山記録⑤ 植樹後のハゼノキの状況・2年目

          ハゼノキの里山記録④ 植樹後のハゼノキの状況・1年目

          みなさんこんにちは!今月は現在私たちの活動の中心拠点となっている「ハゼノキの里山」を通じたハゼノキの育成方法に関して簡単に書いてみました。まだまだ幼木の段階ではありますが、ここを乗り切れば後は数十年、数百年と実が収穫できる樹として育っていきます。植栽場所と、最初の手間を惜しまないことが重要だと感じました。そんな前回の記事はこちら! さて今日は、前回までの育成方法を踏まえて、ハゼノキの里山は現在どういった状況になっているのか?について書いていきたいと思います。実は特に1年目は

          ハゼノキの里山記録④ 植樹後のハゼノキの状況・1年目

          ハゼノキの里山記録③ 年間を通じたハゼノキの育成

          こんにちは!3回目になりました「ハゼノキの里山記録」です。先週はハゼノキの植樹方法に関してかいてみました。ぱっとみあまり難しい感じはしなかったのではないでしょうか?実際に、ほとんどの樹木の植樹方法と大きくは変わらなかったりします。そんな前回の記事はこちら! 今週は植樹後の話をしていこかと思っています。ハゼノキの里山、最初の3年間を振りかえって日常的に取り組んでいることや気づいたことを今週は書いていこうと思います。毎年の事ですが、新しい発見や植物の力強さに感動したりと、実際の

          ハゼノキの里山記録③ 年間を通じたハゼノキの育成

          ハゼノキの里山記録② ハゼノキを植樹しよう!

          こんにちは!いよいよ春の新録が美しい季節になってきましたね。ハゼノキも開花時期が終わり、実をつける準備をはじめるとともに、新緑の美しい季節になってきました。ハゼノキは新緑の中に1枚だけ赤い葉っぱが混じったりします。緑の中に赤が映えてともてきれです!さて、今月はそんなハゼノキの育成に関して書いています。先週の記事はこちら! 前回はハゼノキを「植える場所」に関して書いてみました。雑木に分類されるだけあって、基本的にはどこでも育てられる木ではありますが、実の収穫や成長性を鑑みると

          ハゼノキの里山記録② ハゼノキを植樹しよう!

          ハゼノキの里山記録① ハゼノキを育てる場所を選ぼう!

          みなさんこんにちは!今月は約2年半ぶりとなりハゼノキの育成に関してのお話になります!これまでの「ハゼノキ育成記録③」までは東京で育てていたハゼノキの「実生」からの成長記録でした。ちょうど鹿児島に引っ越す直前までの記録です。そんな前回のお話はこちらです! さて、4月は薩摩藩とハゼノキに関して、4回にわたってお話してきましたが、今月はハゼノキの育成に関して書いていこうかなと思います。まだまだハゼノキを植樹して3年目ということもあり、植樹の初期段階ということになりますが、私なりの

          ハゼノキの里山記録① ハゼノキを育てる場所を選ぼう!

          薩摩藩とハゼノキ④ 現在の鹿児島県のハゼノキ

          みなさんこんにちは!いよいよ「薩摩藩とハゼノキ」シリーズ最終回となります。前回で歴史的な部分は完結していますので今回はおまけパートです。前回はGW直前!ということで、少し中休みをして代表的なハゼノキ関連の観光スポットを紹介してみました。近くにお立ち寄りの際はぜひ訪ねてみてください!そんな前回の記事はこちら! 話は戻って「薩摩藩とハゼノキ」ですが、前回は生産する現場、管理する藩の実態を通じて薩摩藩全体の構造と通じる問題点についてお話をしてみました。最終的に、他藩から優良種や技

          薩摩藩とハゼノキ④ 現在の鹿児島県のハゼノキ

          ゴールデンウィークはハゼノキに会いに行こう!

          みななさんこんにちは!いよいよ来週からゴールデンウィーク!!という方も多いのではないでしょうか!ということで、「薩摩藩とハゼノキシリーズ」は1回お休みして、休みに訪問できるハゼノキ関連の施設や名所をご紹介していこうと思います!まだ行き先が決まっていない方や、お近くに行かれる際はぜひ旅の+αとしてハゼノキに触れてみるのはいかがでしょうか? ■本多木蝋工業所(長崎県島原市)島原鉄道「大三東(おおみさき)駅」を下車し、緩やかな坂道を上がっていくと「本多木蝋工業所」の看板があり、そ

          ゴールデンウィークはハゼノキに会いに行こう!

          薩摩藩とハゼノキ③ 農村部の実態と天保の財政改革

          みなさんこんにちは!3回目となりました薩摩藩とハゼノキシリーズ。前回は禰寝清雄の農業政策により薩摩中に広がりはじめたハゼノキと製蝋。それはどのような政策であったのか。そして、その中心的な役割を果たした人物と、生産・製蝋の中心地となった桜島の動向を中心に書いてみました。そんな前回の記事はこちら! 多くの利益を藩にもたらしてきたハゼノキですが、実際に育てる側の実態はどのようなものだったのでしょうか?ハゼノキを植栽していた藩の中でも群を抜いて評判の悪かったといわれる薩摩藩。そして

          薩摩藩とハゼノキ③ 農村部の実態と天保の財政改革

          薩摩藩とハゼノキ② ハゼノキ政策と桜島

          みなさんこんにちは!前回から始まりました。薩摩藩とハゼノキシリーズ。江戸時代、ハゼノキと木蝋産業のパイニアであった薩摩藩はどのような政策を進めていたのでしょうか?藩内の農家だけでなく郷士からも評判が悪かったと伝わる政策の実態はどういったものなのか?先週はそのはじまりとなるハゼノキの伝来に関して書いてみました。 薩摩藩のハゼノキの政策は延宝年間(1673年~)の禰寝清雄(ねじめきよかつ)による農業政策と、天保年間(1830年~)から始まる調所広郷による天保の財政改革からとで、

          薩摩藩とハゼノキ② ハゼノキ政策と桜島