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ハゼノキってどんな色? 実は微妙に色が違うハゼノキ

みなさんこんにちは。今週の鹿児島は五月晴れが続き、雨がほぼ降らない五週間でした。まるで真夏のような暑さです。植物にとっても日差しと雨は成長のエンジンですが、極端に雨ばかり晴ればかりというのも考え物です。さて先週はハゼノキ関連のおすすめ書籍について書いてみました。実は結構あるのですが、ほとんどが絶版になっており図書館でしか読めないものがほとんどです。そんな中で現在購入可能なおすすめを書いてみました。そんな先週の記事はこちら!

今日のテーマは「色」です。ハゼノキの色というと、イメージとして一番多いのはやはり紅葉の「赤色」ではないでしょうか。比較的期間も長く、真っ赤に染まる櫨紅葉はハゼノキの代名詞の一つでもあります。そしてもう1つが花や芯の色でもあり、染色の材料でもある「黄色」ではないでしょうか。染色だけでなく木工品の色としてもなじみがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今日はそんなハゼノキの色とそれにまつわるお話をしていこうと思います。需要あるのか?この企画!?


■植物としてのハゼノキの色

最初に目に見えるハゼノキの色に関してです。こちらは冒頭の赤色や黄色にくわえて葉っぱの「緑色」、ハゼノキの実の「茶色」の4色でしょうか。基本4色も厳密にいうとどうも少し色が違うようです。下の写真が左が伊吉櫨、右がヤマハゼです。必ずしも品種ごとの色合いが一致するわけではないのですが微妙に色が異なっています。繊細な変化ですがハゼノキの里山には4品種+ヤマハゼがあるので紅葉のシーズンは繊細な色の違いを楽しんで頂けそうです。

ハゼノキの「赤色」

残りの色はどうでしょうか?「黄色」に関しては思った以上に美しい色です。写真ではわかりづらいのですが、光を当てると絶妙な光沢が出てきます。イタリア人の陶芸家の方に「これは太陽の木だ」と言っていただいたのがとても印象に残っています。この黄色に関してはハゼノキの「色」。特に色彩の変化にとっても非常に重要な色でもあります。カンナをかけた木の芯材の色をぜひ見て頂きたいです!実は白の部分もとても良い色です。

ハゼノキの黄色

■葉の面白い特性と実の色

次には葉っぱの面白い特性に関してのお話です。紅葉の色の違いは品種によって少し違いがありますが、緑に関してはあまり違いがありません。ただ、葉の房に関しては面白い特徴がります。1本の木に何房かだけになりますが、緑色の葉の中に赤い葉が混じることがあります。緑と赤のコントラストがとても美しく、個人的には葉の状態としては紅葉や新緑よりも好きな状態です!

1枚だけ赤が混じるハゼノキの葉

最後に実の色です。次の章にも少しつながる話になるのですが、品種によって大きさも形もまちまちなのですが、色も若干の違いがあります。写真の左が昭和福櫨、右が葡萄櫨です。昭和福櫨が茶色が濃く、葡萄櫨が薄い色になっています。それ以外にもうきは市の延寿寺曽根のハゼ並木にはもっと白く平べったい実のなるハゼノキもあります(品種不明)。実の色が違うという事は、実を絞った木蝋の色も違うのでは?という事で最後に木蝋の色です。

左:昭和福櫨と右:葡萄櫨

■木蝋の色と時間的変化

結論からいうと木蝋にも色も違いがあります。最も良い色はウグイス色といわれていますが、全体的に緑と赤と茶色の配合比率を変えた色合いになっています。木蝋の色の変化については品種的の違いと時間による変化があります。特に面白いのが絞るタイミングによって色の変化が出る点です。左が実の収穫後すぐに絞った木蝋、右は半年ほど経過した実を絞った木蝋です。見た目でわかるぐらい違いますよね。

左は実際にはもっと赤みがあります

後者は広義でいえば木蝋を天日干しにして白蝋をつくる色の変化も時間的な変化です。実は木蝋もゆっくりと白色化しており、和ろうそくが徐々に白くなっていく行くのも同じ理由です。比較してみるとものすごい色の変化ですね。補足すると実保管する年数によっても違いが大きくなるようで、1年、2年、3年と保管期間が長くなるほど色の良い木蝋が取れたようです。例えば3年保管の木蝋を最上級として、和ろうそくの化粧蝋として使っていたこともあるようです。

木蝋と白蝋の色の違い

という事で、今日はハゼノキの特に見た目でわかる色に関して書いてみました。割と細かい話になってしまうですが品種の違いや地域、育成環境の違いなどで様々な変化が見えるも自然の面白さですね。

さて、何となく長いシリーズになりそうな「ハゼノキの色」に関してですが、次回は染色に関してのお話です。ハゼノキの持つ潜在的な色素と草木染におけるハゼノキの色。そしてハゼノキの草木染といえば…!?あと2回くらいは続きそうですが、ぜひお付き合いいただけると嬉しいです!

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