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ハゼノキの里山記録⑤ 植樹後のハゼノキの状況・2年目

みなさんこんにちは!春の草刈りも5月で一段落し、梅雨の間は大きく手を加えるところがないため、しばらくはハゼノキの成長を楽しみに待つ期間になります。それでも1年目はなにかした方がよいのかな?と考えたり、特にやることも無いのにハゼノキの里山を訪ねたりしていました。そんな1年目のハゼノキの里の記録を先週簡単にまとめています。記事はこちら!

まさかの月跨ぎになってしまった「ハゼノキの里山記録」ですが、今週は2年目の里山の状況と、3年目はどのような活動をしていくのか?を中心に書いていこうと思います。ほとんど思うようにいかなかった1年目のハゼノキの里山。それを踏まえた2年目はどうなったのか?果たして改善はうまくいったのか?それともさらなる困難が見つかったのか?


■ハゼノキの育成状況・2年目

最初に初年度の植樹苗の状況です。はい。なんだか悲しくなってくるくらい悪化しています。品種活着率はとうとう4割を切りました……ハゼノキ自体は福岡を中心にいまでも毎年一定数は植樹されているのですが、なかなか総数が増えていなかったりします。その原因の1つが「途中で枯れる本数が多く、あきらめてしまう」というものでした。仮に品種苗だけを残して台木萌芽分を育てない選択肢をしていたら、本当に心が折れていたかもしれません。。。

初年度植樹苗の状況

つづいて、2年目の植樹苗の状況です。1年目の植樹苗の活着率と比較すと数字は少し改善されていますが、大きな変化はありませんでした。考察は次項にまわしますが活着率は6割くらいを想定したほうが良いのかもしれません。畑に植えた方で7割、8割活着しているという方もいらっしゃたので、植樹条件としてはやはり畑のように安定した土地の方が良いようです。

2年目植樹苗の状況

2年目で少し以外だったことは、斜面に植樹したハゼノキのうち1区画だけ台木からの萌芽もなく全部枯れるという事が起こりました。土地の水分量やPh値なども特に異常はないのですが、なぜか育たない。確かに植樹前は山の斜面にも関わらず、カヤだらけで木が育っていない場所で気にはなっていましたが、、、まだまだ自然は知るには時間がかかりそうです。

■1年目の失敗は活かせたのか

結論として「活着率」を基準をした場合、またまた失敗という事になりそうです。新規植樹だけを見た場合1年目と2年目でやや改善できましたが、初年度苗は2年目でさらに悪化している点を考えると2年目もなかなか厳しい結果になってしまいました。植物を育てるのは本当に難しい。。。とはいえ前年の反省を活かした結果はどうなったのか?前回書いた2年目に向けた改善点を1つづつ見ていきます。

2年目の植樹完了後。面積が約1.5倍に!

●短期間で植樹を完了させる
1年目は13日かけた植樹は2年目は6日で完了
しました。植樹本数事態も半分ほどでしたので妥当な日数でした。植樹方法は前年と変わらず、仮植と併用しながらの植樹でした。こちらに関しては、仮植をしているため植樹期間と活着率はあまり関係ないという事が分かりました。枯死率(単純に枯れてします木)も20%弱でほぼ変わりませんでした。ここは今後も気にしなくてよさそうです。

●苗の仕入れ先を増やす
苗の比較をするために今回は苗の仕入れ先を複数にしてみました。活着率はAが55.7%、Bは64.6%で約10%の差でした。同じ地域で育てられた苗なのでそれほど差はないかも?と思っていましたが、やや差が出る結果になりました。活着の問題は今後実を収穫していくうえでかなり重要な要素であるため、少しでも良い苗を3年目以降は仕入れていこうと考えています

青い袋と黒い袋で別の仕入れ先です

●路網(地面が固く粘土質)へ植樹しない
初年度は半数を路網に植樹しましたが、2年目植樹は135本中路網植樹は16本に減らしました。結果的に16本中11本が活着。合計の活着率より2年目は数字上大きく改善しました。一方で路網に植樹した初年度苗の状況ですが、活着苗から台木萌芽へ変わった本数は33本あったのですが、うち32本が路網植樹の苗でした。今後の状況にもよりますが、2年目苗の数字をみると路網に関しては植えることがNGなのではなく、植える場所の見極めが重要という事になりそうです。

●もう1つの福岡原産種である松山櫨を植樹する
少し手違いもあり、5本だけになってしまいましたが福岡発祥の品種である松山櫨を植樹しました。初年度の伊吉と同じ斜面に植樹した結果、なんと!5本中5本が活着しました。この結果だけみると伊吉櫨に関していえば、おそらく初年度苗はそれほど強い苗ではなかったのだろうと思います。という事で伊吉櫨に関しては今度の植樹は止める予定でしたが、改めて植樹してみようと思います

成長した松山櫨

2年間通じた育成記録や観測数値と状況を通じてまとめたのが、こちらのhttps://note.com/uchida_t/n/n6a43c4e4a510の記事でした。植樹と育成において最も需要なのは「場所」という結論にいたり、この項目を1番最初に取り上げたしだいでした。

■3年目は何をするのか?

そんなこんなで3年目です。3年目は50本の植樹予定です。これまでで最小本数になりますがこれまでと少し違った植樹もしてみようと考えています。3年目の活動は改めて夏と秋ごろにレポートしたいと思っています。

さて、今年もおそらく活着した苗から10本程度は台木萌芽か、枯死してしまうことになりそうですが、この活着しなかった苗が今年のテーマです。何度かお話していますが、ハゼノキは接ぎ木で増やしていきます。そして、接ぎ木用の接ぎ穂になる品種苗はすでにハゼノキの里山に潤沢にあります。つまり3年目はの今年はヤマハゼに戻ってしまった台木萌芽したハゼノキをもう1度接ぎ木によって品種苗に戻すことにチャレンジしようと考えています。

和歌山で主流の「秋接ぎ」の様子

はたして、品種苗はどこまで戻すことができるのか?台木の成長を少しまっていた状態ではありますが、新しい楽しみが1つ増えます。そして、昨年から漆の苗をいただいたので、漆も並行して育成しています。こちらはハゼノキとの成長の比較という側面もありますが、ハゼノキと漆の何を比較するのか?も含めて面白いことを考えています!

鹿児島もようやく梅雨入りとなりそうです、雨の間は水はけの状況や、斜面の土が流れすぎていないか?などより地味な作業が続きますが、梅雨があけると一気に樹木が成長するので今年もどこまで大きく成長してくれるのか楽しみです。

ピンク色のテープが漆です





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