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ハゼノキってどんな色? 草木染から考える潜在的な色

みなさんこんばんは。まだまだ強い雨が降り続いたり、突然晴れたり不安定な日が続いていますね。鹿児島は今週は先週までの晴れが嘘のように梅雨が戻ってきています。そろそろ梅雨が明けてほしいですね。さて、先週は「ハゼノキの色」に関して総論的なお話を書いてみました。実は結構いろいろな視点の色があったりしました。そんな先週の記事はこちら

先週に引き続き今週のテーマも「色」です。その中でもハゼノキの最も古典的な利用方法である「草木染」の色に関して書いていこうと思います。黄櫨染(こうろぜん)の材料として平安時代の延喜式に登場した黄櫨。現在も草木染の材料として使われ続けていますが、今日は黄櫨染の話は少しおいておいて、純粋にハゼノキを草木染でつかった場合どんな色がでるのか?というお話です。


■草木染として顕在化される「色」

最初に基本的な色を見ていきましょう。という事で一般的に使われる綿花、麻(リネン)、絹をそれぞれアルミ、銅、鉄を触媒にして染めてみました。写真では少しわかりづらいですが、綿花がやや色味が薄いのですが、アルミ焙煎は3種類とも非常にきれいな黄色がでます。一方で鉄焙煎は緑よりの茶色という感じに色で、個人的には鉄焙煎のリネンの色がかっこよくて良いなと思っていたりします。絹は全体的に絹そのものの光沢が乗るので非常に美しい染物が出来上がります。

ハゼノキの色見本

この黄色を基本色として、藍や蘇芳、茜などを組み合わせていくことで様々な色を創り出していくことができます。オレンジ色の系統を出すことが多いのですが、藍をうまく使うことで緑系統の色も作ることが可能です。ハゼノキの草木染は原料となるチップの色が非常に強い黄色であるため、はっきりとした黄色のイメージが強いですが、使う布を工夫することで下の写真のような落ち着いた色を出すこともできます。

組み合わせによる様々な色ができます

■潜在的な「色」を探り出す

それ以外にもハゼノキが持っている色素を探ってみました。例えば下の写真のようなクリーム色に近い色も抽出することができます。これは草木染というよりボタニカルダイといわれる新しい染色方法ではありますが、なんだかこの色見覚えがないでしょうか??そうです!木蝋や白蝋の色に近いです。抽出原料は通常の草木染と同じハゼノキのチップですが、面白い結果を得ることができました。この木蝋の色にも黄色がはいっていますね。

色素抽出によって発現するハゼノキの色

もう1点調べてみて面白かったのは、「赤」が出なかったことです。ハゼノキといえば紅葉!というイメージがあるので、何らかの形で赤が出るかとも思いましたたが、今回赤っぽい色も含めて全くでませんでした。実はハゼノキには潜在的な色素成分として「赤」がないという意外な事実も見えてきました。紅葉の仕組みは光合成の減少や糖分の量の増加などが要因で、植物自体に「赤色」が含まれる必要がないため、自然な結果ではあるのですが、どこかで赤でないかな。。。とも思っていたので少し残念ではあります。

■やっぱりハゼノキといえば「黄色」

という事で、顕在的な色も潜在的な色も総じてハゼノキの色といえば「黄色」という事になりそうです。そして組み合わせにより、オレンジ系統はハゼノキ+蘇芳や茜、緑は非常に難しいですが、ハゼノキ+藍。といった組み合わせを創っていくことになります。ハゼノキは「太陽の色」と考えていますので、時間によって変化する太陽の色をハゼノキを使って表現できるようになるのが目下の目標という事になります。

煮だされるハゼノキのチップ

という事で、来週はハゼノキの色の組み合わせに関して、以前一度「黄櫨染」に関して書いたことがある(https://note.com/uchida_t/n/n0d1358b5f627)のですが、そちらの補足や新情報を踏まえて改めて、ハゼノキの草木染の原点にして頂点「黄櫨染」を中心にハゼノキの色について考えてみます!


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