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    ところどこかに変わっても、窓は必ず、あると思うのです。物理的な窓じゃなくても、映画も本も音楽も、自分の小窓であると思うのです。 ささやくように、つぶやくように、手紙を書くように、こちらの景色を、書こうと思います。 そちらの窓からは、何がみえますか。何が聞こえますか。どんな匂いが、するんでしょう。 ささやくように、つぶやくように、そうして手紙を書くように、風が向いたら教えてください。 拝啓 こちらの窓からは、

最近の記事

【スペイン巡礼】巡礼宿 後編【カミ―ノ】

前回の記事では巡礼宿の探し方・泊まるまでの方法を紹介しました。 今回の記事では、私が6日間の巡礼で実際に泊まった宿について書いていきます! 0日目 サリア(Sarria)泊まった宿:Albergue San Lazaro https://www.alberguesanlazaro.com/ 予約方法:Booking.com 値段:12ユーロ 巡礼のスタート地点、サリアでの宿です。到着時刻が19時を過ぎる予定だったので、事前に予約してから行きました。2段ベッド、カーテンなし

    • 【スペイン巡礼】巡礼宿 前編【カミーノ】

      スペイン巡礼の宿のことを、アルベルゲと呼びます。公営と私営があり、今回私が宿泊したのは、すべて私営のアルベルゲです。 この記事では、アルベルゲの探し方と実際に泊まるまでを書きます。 1.カミーノ便利アプリで検索!アルベルゲを決めるには、まずその日の目的地を決める必要があります。 巡礼経験者の方に教えていただき、2つのアプリを併用して使っていました。 1つめは、Camino Ninja(カミーノニンジャ)です。 アプリの中で現在地以降の都市までの距離、その都市にある施設等

      • 【スペイン巡礼】持ち物準備 後編【カミーノ】

        スペイン巡礼持ち物編、後編です! 前回の記事はこちら 1.寝袋って実際いるの? 出発前、最後まで持っていくか迷ったのが寝袋です。かさばるし、毎回しまうの面倒くさそう…と思ったのですが、最悪途中で捨てよう!と覚悟を決めてもっていきました。 実家にあったものだったので、特に購入の決め手等はありません。15度まで対応の、ロゴスの寝袋です。 結果として、持って行ってよかったです! 泊まったのは全て私営のアルベルゲ(巡礼宿)だったのですが、基本的にシーツは貸してくれて、毛布も希望者

        • 【スペイン巡礼】持ち物準備 前編【カミーノ】

          2024年5月22日〜27日にかけて、スペインの巡礼ルート(通称カミーノ)を歩きました。 スタート地点はスペインのサリア(Sarria)。そこからゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)を目指す道のりで、フランス人の道のラスト115キロにあたります。 事前に調べながら悩みながらの荷造りだったので、今回は私が実際に持って行った持ち物を紹介したいと思います! 今後行ってみたい、興味がある方々の参考になれば幸いです☺︎ 1.靴って

        【スペイン巡礼】巡礼宿 後編【カミ―ノ】

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        記事

          0704 旅をするのは

          てっくてっくとサンダルを鳴らして 私はクエンカの街を歩く おすすめ観光地を調べて ウィキペディアで歴史をおさらいして Instagramで#クエンカで検索して Googleマップで所要時間を確かめて ついでにレビューもチェックする 転ばないように 後悔しないように でも綺麗な写真の答え合わせにいくような そんな旅ならいらなくて 夕暮れの坂道 向こうに旧市街の街並み 寝床に帰る前の鳥たちが ばさばさと空をいそぐ 夕暮れの飛行機雲は 淡い赤色になること 谷にかかる橋を渡るとき

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          0628 ジャスミンの香りさえ

          人の顔を覚えるのが苦手だ。あと名前も。 だからこの人のことを覚えておきたいと思ったときは、写真を撮ったりSNSを交換したりを意識的にする。SNSには大概名前も書いてあるので、こっそり復習につかう。 先日、覚えておきたい人と出会った。 過ごしたのは1週間くらいだったけれど、買い物に、湖に、ハイキングに、一緒に出かけた。 植物が好きな彼女は、自然を歩くと、新しい木や花の名前を教えてくれる。たくさん教わったのに、結局覚えられたのは黄色い花の名前ひとつだけだったけれど。 道端でふ

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          0621 クラウドばあちゃんの鼻歌

          仕事をやめて暇になったので、フランスの農家でホームステイをしている。 ホストマザーの名前は、クラウドばあちゃん。料理が上手で掃除が苦手、右手に松葉杖をついていて、よく笑う。 今朝は、クラウドばあちゃんとラズベリーをつんだ。松葉杖は畑の入り口に放り投げ、左からクラウドばあちゃんが、右から私が、一列に並んだラズベリーを挟み込むようにすすんでいく。作業の合間に雑談をし、雑談の合間にクラウドばあちゃんは鼻歌を歌う。 10才を迎えるラズベリーの木は私の身長より少し低いぐらいの高さで

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          0617 分けること、分かること

          フランス語を勉強しようと思いたち、フランスの農家に来た。 思いたった勢いで来たので、全く話せない。 とりあえず、ぼんじゅーるとめるしーは言える。 現在の滞在先はいちご農家で、主な仕事はジャムづくり教室。2-6歳くらいの子どもたちがわらわらとやってきては、いちごを摘んで、ジャムをつくり、瓶に詰めて帰っていくのを日々お手伝いしている。毎日同じ説明がされるため、ジャムづくり限定で認識できる言葉が増えてきた。 ジャム、いちご、砂糖、なべ、瓶、ふた、摘む、待って、混ぜる、あつい、ヘ

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          0502 歯医者さんが嫌すぎる

          好きな場所はたくさんあるが、 苦手な場所の断トツ1位は歯医者である。 最近、ふと甘いものがしみることに気づいてしまい、実に2年ぶりに重い腰をあげて歯医者に行った。複数の虫歯が発見された。ショック。通わねばならない。 なすすべなく診察台に寝転がり、永遠にも思われる治療の気を紛らわすべく、なぜそんなに歯医者が嫌なのか、これを機に言語化してみることにした。 ①歯医者さんに対する恐怖 治療の際、まっさきに想像するのは、 “このドリル、喉にささったらどうしよう”ということだ。大小

          0502 歯医者さんが嫌すぎる

          0425

          仕事をやめて、古民家に住み始めた。 築100年の母屋に、日本式の庭園。 小さな紅葉の木と、大きな八重桜が隣り合う。 人が歩けば、ぎしぎしときしむ。 家の裏には、柑橘系の果物がある。名前は知らない。キッチンの窓から覗く、ふくらんだオレンジ色。酸味が強すぎて誰にも食べられることのないまま、ぽたり、ぼたりと重たげに実を落とす。 雨の日は、心地よい雨音をきく。 窓をしめきった部屋できく。雨粒が屋根をたたいて、くぐもったような、柔らかな音がする。 そういえば、ここ数年雨音をきいて

          タンタンと 【最後のお別れの日のこと】

          5年ぶりに会ったおばあちゃんは 小さくて冷たくて柔らかかった 「お化粧好きな方でしたか」 葬儀場のお姉さんはタンタンと、眉毛をかいた 曲がったまま固まった膝の つま先の親指の 生えかかった爪 生きてる途中で死んだのだ 母と私はタンタンと、白い足袋を履かせた ストレッチャーにのせられて 冷たかったおばあちゃんは 骨だけのおばあちゃんになった 「熱いので私が集めさせていただきます」 火葬場のおじさんはタンタンと、骨を拾った 帰ってきたおばあちゃんは 実家の片隅に置かれた 白

          タンタンと 【最後のお別れの日のこと】

          はなみず

          はなみずがでる。 風邪をひいているわけではない。 同じ症状の方がいても、 おそらく状況はことなる。 ことなる、という音はかわいい。 さえずることり、とも似ているし、 静寂のなかでおかれる積み木の音 も、ことり。と響きそうだ。 どちらでもよいようなことを書きながら、 はなみずをすする。 ずびり。 この症状がでるのは、きまって 書いている時である。 ずびり。 何だかよいものが書けそうな予感がする時、 鼻の奥がツンとする。 そのままおさまる時もあるし、 ずびずびとはなみずかとま

          生まれなおすように、

          “これ、”と言えるようになる “2こ”がわかるようになる “話せるの”ってきかれたから “少しね”って応える 生まれなおすように、 新しい言葉を食んでみる 耳が少しずつ、 土地の音をひろいあげる 足はひとりでに、 市場への道をおぼえる 慣れるから馴染むへ ハイハイとすすむ 寝がえりをうつように ただよう色々をまきつける ときどき、どきどき、 頭の天地をぐるりとまわして 知らないような 知ってるような わたしに生まれる、をみている

          生まれなおすように、

          ふわり、とはじまる朝がある。

          ようやくベッドからぬけだしたら、朝がバタバタと始まる。 着替えて、顔を洗って、 朝ごはんを食べて、歯磨きをして、 化粧して、コートを羽織って、かばんをつかんで、 バスに乗り遅れないように、飛び出して。 そんな風に日々に流されているとき、ふと、思いだす景色がある。 卒業旅行でトルコに行った。 朝に飛ぶ気球が美しいときいて、カッパドキアを最初の目的地に選んだ。 まだ夜も明けきらないうちから、のそのそと起きだす。 ホテルのスタッフさんたちはすでに朝食の準備をしていた。 ナンと、チ

          ふわり、とはじまる朝がある。

          チャンスに真剣に。#企画メシ第5回

          チームの企画。 誰かと何かをすることにずっと苦手意識があって、少々後ろ向きな気持ちもあった。 自分がいる意味って何かあるんだっけ、でも何か貢献したい、憧れと嫉妬と焦りを内側にぐるぐるさせては押しこめて、気づいたら終わっていたような感覚だった。 もやもやしたまま迎えた講義でもらった阿部さんの言葉はやさしく、 でも確実に今も、私の中に、ささっている。 講義でメモした言葉をベースに、学びと反省の記録を残そうと思う。 最初の企画から、私は真剣だったんだっけ。 あれが自分の120%

          チャンスに真剣に。#企画メシ第5回

          記憶の海と水玉のワンピース

          町田その子さんの、『星を掬う』を読んだ。 あらすじはこちら。 大いにネタバレを含むのだけれど、この母・聖子が若年性認知症を患っている。 千鶴と過ごす中でも、聖子の記憶はどんどんと曖昧になっていく。 そして時々、記憶の海から星を掬いあげるように、ぽつりと思い出を話す。 千鶴の母の話を読みながら、私はずっと、祖母のことを思い出していた。 母方の祖母は、認知症である。 一時期一緒に住んでいたのだが、その時から何度も、幼いころの、中国で過ごした記憶を語っていた。 「中国ではね、

          記憶の海と水玉のワンピース