つなまよ

エッセイを書く人。基本なんでも読みます。食べること、お酒、猫が好き。素敵な文章を書ける…

つなまよ

エッセイを書く人。基本なんでも読みます。食べること、お酒、猫が好き。素敵な文章を書けるようになりたい。

最近の記事

深く、潜る

たまの読書で、良い本に巡り合えることがある。人との出会いと同じように、本との出会いも一期一会。いつも必ず、自分にぴったりなものに出会えるとは限らないので、出会えた時の嬉しさはとても大きい。 本を読み終えた後の、ぼんやりと思考に膜がかかって、何も手につかないあの感じ。例えるなら、深い海に潜り込んでいたところを、ゆっくりと水面に向かって引き上げられていくような。子供の頃は次から次へと読み漁っていたし、今ほど考え込んで読むような本も読んでいなかったから、この感覚は大人になってから

    • noteを始めたばかりの頃に繋がった人が、いつの間にかいなくなっていた。彼女の書く、思わずくすっと笑っちゃうような文章が好きだったな。どこの誰かも分からないけれど、素敵な文章を読ませてくれてありがとうと伝えたい。

      • 心も髪も軽く柔らかく

        唐突に、変えたいなと思った。休日の気持ちの良い朝、歯を磨いて、顔を洗って、髪の毛を梳いているとき。真っ黒な自分の髪が、急につまらなく思えた。せめてもの、と思ってかけたゆるめのパーマも、なんだかしおれて見えた。 生まれてこのかた一度も染めたことがなくて、かといって黒髪を特別気に入っているわけでもなくて。大学に入るときとか、就職するときとか、染めるタイミングはあったんだろうけれどそれを全部逃したら、もういいや、となってしまった。 でも、今がまさにそのタイミングな気がした。周り

        • たけのこの話

          今までたけのこと言えば、隣町に住む叔母や近所の人がおすそわけにくれるものだった。それがどういうわけだか、今年は自分たちで掘ることになった。 祖母の家に行った時のこと、姉がたけのこの話を持ち出してきた。祖母の家の裏手の山には昔から竹やぶがあって、たけのこが山ほど採れるのだ。数年前、竹やぶの一部をつぶして、山奥の集落の人たちのために生活道路を作ってからは、昔ほど採れなくなったと聞いている。 それでもまだ少しは採れるかもしれない。そういって、姉と父と連れ立って(すっかり面倒くさ

        深く、潜る

        • noteを始めたばかりの頃に繋がった人が、いつの間にかいなくなっていた。彼女の書く、思わずくすっと笑っちゃうような文章が好きだったな。どこの誰かも分からないけれど、素敵な文章を読ませてくれてありがとうと伝えたい。

        • 心も髪も軽く柔らかく

        • たけのこの話

          春の気づき

          ずいぶん久しぶりに文章を書いてみた。ぼんやりしているうちに、時間だけが勝手に過ぎていくような感じがする。気が付いたら、冬が終わって春が来ていた。 暖かくなってきてから、少し体を動かそうと思い始めた。この間は姉と一緒に、二年ぶりくらいに登山に行った。地元は山だらけで登山に困らないのでありがたい。 履きなれたスニーカーと、お気に入りの帽子と、動きやすい服装と。リュックにこまごましたものを詰めて、出発する。平日の朝ということもあって人は少なかった。おじさんにおばさん、若い男の人

          春の気づき

          フルーツサンドを作りたくて

          いちごの季節になると、フルーツサンドが食べたくなる。姉が結婚する前、よく作ってくれたのだ。 混ぜて焼くだけのお菓子しか作れない私でも、フルーツサンドくらいなら作れる。食べ物が絡むと急にフットワークが軽くなるので、さっそく材料を買いに行った。 まずは土台。お気に入りのパン屋さんに行って、焼きたて食パンを買った。いくつも種類があって迷っていると、丁寧に説明をしながら匂いをかがせてくれた。どれもいい匂いで、余計に迷ってしまった。 いちごは、近所の朝採れのもの。まだ今の時期は値

          フルーツサンドを作りたくて

          何事も物は試し

          私は、甘い紅茶が飲めない。砂糖もミルクも入っていない、ストレートの紅茶が一番好きだ。一度、ストレートティーだよと言われて飲んだペットボトルの紅茶が甘かったときなんかは、「嘘つき!」と思わず言ってしまった(それからはちゃんと”無糖”と書かれたものを飲むようにしている)。 同じく、ほうじ茶ラテとか抹茶ラテとか、おそらく大体の女の子は好きなんだろうなという飲み物も苦手だ。きっと私の中でお茶は甘くないもの、という固定観念があるからかもしれない。 ところで先日、YouTubeでイギ

          何事も物は試し

          喫茶店のこと

          私の記憶の中で、コーヒーと煙草の匂いは、セットになっている。 物心ついた頃から、祖父母につれられて、よく喫茶店に行っていた。今どきよくあるお洒落なところじゃなくて、昔からあるような、常連さんでいっぱいの喫茶店。 子どもだったのでまだコーヒーなんか飲めなくて、食も今よりずっと細かったから、ヨーグルトを分けてもらったり、トーストを少しかじらせてもらったりしていた。 お店の中は、いつもコーヒーと煙草の匂いがふわーっと漂っていて、子どもながらに良い匂いだなあと思っていた。祖父は

          喫茶店のこと

          年末年始のこと

          毎年のことながら、年末年始はあっという間に過ぎていく。気が付いたら、今年に入ってすでに一週間近く経っていた。 年末年始といっても例年のごとく仕事だった。職場は病院のうえ、シフト制なので、連休もほとんど取れない。もう慣れたこととはいえ、連休がある人がやっぱりちょっとうらやましい。 でも、働いてる分、ごちそうとお酒がものすごく胃にしみる。黒毛和牛のすき焼き、かに鍋(姉が蟹を二キロも買ってくれた)、ブリしゃぶ、初めてお取り寄せしてみたおせち。それからビール。あと誕生日だったので

          年末年始のこと

          noteのあれこれ、その2

          気がつけば、noteを始めて半年が経っている。買ったばかりのパソコンでうきうきしながら書き始めたのが、ずいぶん昔のことにも思えるし、つい最近のことのようにも思える。 いつの間にかスキの数も、フォロワーさんも少しずつ増えてきていて、嬉しい。いつも読んでくださる方には、感謝しかない。やっぱり、継続して書くってことが大事なんだな、と改めて実感している。 今までずっと、書くテーマ自体は大きく変えていないつもりだけれど、書き方は変化しているかもしれない。 最初の頃の記事を読み返す

          noteのあれこれ、その2

          冬が来たねって話

          雪が舞っているのを見て、ようやく冬が来たなあと思う。 冬は、好きでも嫌いでもない。これは全ての季節において言えることだ。だから、どの季節が一番好きかって聞かれると、ちょっと困る。どの季節も好きだけれど、やっぱり苦手だとか好きになれないところもあるから。 冬で特につらいのは、朝。布団から出るのがすごく億劫になる。数年前、羽毛布団に替えてからというもの、抜群に寝心地が良くなって余計に出るのが辛い。 布団に限らず、最近は流行りなのか、何でも軽量化が進んでいる。母が若い頃着ていた冬

          冬が来たねって話

          アナログとかデジタルとか

          生まれはデジタル世代だけれど、どちらかといえば、ずっとアナログ派だった。 例えば、本。これは絶対に紙がいいと思っていた。ぱっと読み返しができるし、好きな本が本棚に並んでいるのを見るのは、嬉しい。あと、手に取った時の重みとか、匂いだとか、触った時の質感だとか。本それぞれに個性がある感じもとても好き。 それから時計。デジタルよりも、断然アナログの時計がいい。目覚ましも、腕時計も、掛け時計も。きちんと数字が書かれていて、長針と短針のあるもの。見やすいってのもあるし、部屋の雰囲気

          アナログとかデジタルとか

          「魔女の宅急便」を読んで

          『魔女の宅急便』は子どもの頃から大好きな本のひとつだ。最近、久しぶりに思い出し、引っ張り出して読んでみた。学生の時に、文庫本で出ていたのを買いそろえたものだ。小学生の自分が夢中になって読んだそれは、大人になった今読んでも、充分面白い。短いお話が詰まっているから、隙間時間を使って読めるところも良かった。懐かしくなって映画の方も20年ぶりくらいに観たし、特別編も二冊出ていたので、そちらもついつい買ってしまった。 魔女の宅急便は、映画と原作ではけっこう違いがある。私の中では、別物

          「魔女の宅急便」を読んで

          ほくほくの秋

          近所の人から、さつまいもをたくさん貰った。家族三人で食べるには多すぎる量に、さてどうしようかと考える。土の匂いが珍しいのか、猫が袋に顔を突っ込んで鼻先や肉球を土まみれにしていて、思わず笑ってしまった。 さつまいもは、小さい頃からよく食べていた。おじいちゃんが落ち葉で焼きいもをしてくれたり、おばあちゃんと一緒にストーブで干し芋を炙って食べたり。母がレモンと一緒に甘く煮てくれたのも好きだった。 世間では栗の方が注目されがちで、栗を使った商品が圧倒的に多い。私も栗きんとんなんか

          ほくほくの秋

          ネットとリアルの自分

          時々、無性にはっちゃけた文章を書きたくなる。何にも考えずに読めちゃう小説とか、テンションのままに書きなぐった感想文とか。結局書きたくなるだけで、いつも書かずに終わるけど。 ツイッターでも、最初はテンションの高い周りにつられて、そういうツイートをしていたら、すぐに疲れてしまった。 今繋がっている人達は落ち着いているので、私も安心して「今日読んだ本のこんなところが良かった」とか「二人(推しカプ)がこんなことしてたら可愛いよね」なんてまったりとつぶやいている。時には荒ぶったツイ

          ネットとリアルの自分

          懐かしのコロッケ

          この間、とある道の駅で『里芋コロッケ』なるものを食べた。コロッケといえば、じゃが芋や南瓜が定番だと思っていたので、見つけた時はちょっと驚いた。外はさくさく、中は里芋らしいねっとりした食感。余分なものの入っていないさっぱりした味で、大きさはこじんまりとしていて、いくつでも食べられそうだった。 子どもの頃は、特別な食べ物がたくさんあった。誕生日にしか食べられないケーキ、クリスマスの骨付きチキン、ショッピングモールに入ったアイスクリーム屋さん。 コロッケも、そのひとつ。といって

          懐かしのコロッケ