フルーツサンドを作りたくて
いちごの季節になると、フルーツサンドが食べたくなる。姉が結婚する前、よく作ってくれたのだ。
混ぜて焼くだけのお菓子しか作れない私でも、フルーツサンドくらいなら作れる。食べ物が絡むと急にフットワークが軽くなるので、さっそく材料を買いに行った。
まずは土台。お気に入りのパン屋さんに行って、焼きたて食パンを買った。いくつも種類があって迷っていると、丁寧に説明をしながら匂いをかがせてくれた。どれもいい匂いで、余計に迷ってしまった。
いちごは、近所の朝採れのもの。まだ今の時期は値段が高いのを承知で買った。食に関しては、妥協したくないと日ごろから思っている。主婦になったり、一人暮らしを始めたりしたらこの考えも変わるかもしれないけれど。
生クリームは家に残っていた分に、追加で新しくひとつ買って、自分で泡立てた。量を気にせずに作ったせいでとんでもない量の生クリームができてしまい、慌てた。調べたら冷凍できるとあったので、密封容器に入れて冷凍することにした。
うきうきと作り始めて、気付いた。食パンがふわふわすぎて薄く切れない。このまま挟んでしまったら分厚すぎて食べにくい。こんなことなら、パン屋さんで切ってもらえばよかった。
いや、いっそ挟まなければいいのでは? そう思って厚く切ったパンに生クリームをたっぷり塗って、果物もたっぷり敷きつめた。いちごと、缶詰の桃と、パインと、みかん。
もはやフルーツサンドではないけれど、色とりどりのフルーツが乗った様はフルーツケーキに見えなくもない。挟まない分、生クリームも果物も乗せ放題だ。途中、ケーキを作っている気分にさえなってきた。
一口食べて、感動した。ふわふわ軽くて、クリームもあっさりしていて、いちごもほどよい甘酸っぱさ。永遠に食べられそうなくらい美味しい。行儀が悪いと思いつつ、さらにこれでもか、と追いクリームもした。
ちなみに出来立てのものと、冷蔵庫で寝かせたものを食べ比べてみた。出来立てのものだとパンとクリームにふわふわ感があってあっさり食べられたし、寝かせたものだと味がしっとりと馴染んでいて食べやすかった。結論を言うと、どちらもとても美味しかった。
まだ生クリームもいちごもたくさん残っている。パフェなんか作ってみるのもいいし、ココアとかコーヒーに浮かべるのもいいな。でもやっぱり、今度はちゃんとフルーツサンドを作って、姉にでも持って行ってあげようか。
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