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2024年劇場鑑賞録

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ワルプルギスが廻天しますように。
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“キング”コングになるために。『ゴジラxコング 新たなる帝国』

“キング”コングになるために。『ゴジラxコング 新たなる帝国』

 生まれてこの方特撮ファンをやらせてもらっているが、間違いなく今、「ゴジラ」というIPがもっとも元気である。

 国産最新作『-1.0』がアカデミー視覚効果賞を受賞し今なおロングラン公開が続き、TVでは『ちびゴジラの逆襲』の新しいシーズンが放送中である。数年前とは比較にならないほど、ゴジラの名を目にする機会が増えた。新作が長い間途絶えたことのある歴史を踏まえれば、考えられないほどに恵まれている。

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かくも愚かしき人という生き物。『オッペンハイマー』

かくも愚かしき人という生き物。『オッペンハイマー』

 『オッペンハイマー』を観た。観てしまった、という気持ちで頭がいっぱいになってしまっている。日本での公開が遅れた理由も、本編を観た今ならわかるというか、配給事情について無責任な心情を抱いてしまったことに反省するばかりである。

 『オッペンハイマー』、センシティブな題材ゆえにこの言葉を当てはめるのが正しいかは今なお悩ましいけれど、一個人の身勝手な感想としては非常に面白かった。伝記モノかつ三時間の長

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映画『ゴールド・ボーイ』嗚呼過ぎ去りし黄金の刻よ。

映画『ゴールド・ボーイ』嗚呼過ぎ去りし黄金の刻よ。

 一人の怪獣少年として、金子修介監督には勝手に恩を感じている。なので、『ゴールド・ボーイ』の前売り券を買った。あらすじも調べず、予告編すらも観ず、完全に信用取引のみで観に行った。以下、感想をつらつらと。

 まず、ネタバレにならない触りの部分として、岡田将生が素晴らしかった。彼のパブリックイメージであるところの清廉で優しい印象を表では振りまきつつ、その裏では他者を踏み台にし、殺すことも厭わないサイ

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新機軸と原点回帰のハイブリッド『ウルトラマンブレーザー』と、『大怪獣首都激突』が放つミニチュア特撮の輝き

新機軸と原点回帰のハイブリッド『ウルトラマンブレーザー』と、『大怪獣首都激突』が放つミニチュア特撮の輝き

 ウルトラマンブレーザー。初報の段階からこれまでの作品とは異なる雰囲気と風格をまとって我々の前に姿を現した巨人は、長きに渡るシリーズの中でもかなりの挑戦作であったことに、異論はないはずだ。

 劇場作品の出自ながら度々作品を跨いで登場し、後輩ヒーローのまとめ役を努めたゼロ。新たなTVシリーズの嚆矢として始まった『ギンガ』からバトンを繋ぎ、10年の大台を突破したニュージェネシリーズ。その歴史の中で、

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唸れ必殺の“黙秘拳”『犯罪都市 NO WAY OUT』

唸れ必殺の“黙秘拳”『犯罪都市 NO WAY OUT』

 前作の感想を“2年に一本くらいのペースで新作が観てぇなぁ!!!!”とか“来日が実現するといいな”で〆たら本当にそうなったし、まさかマジで青木崇高と國村隼が出るとは思わなかった。そんな『犯罪都市』シリーズ最新作、楽しませていただきました。同じ劇場で観たのに明らかにマ・ドンソクの打撃音が前作よりも爆音になっていたので、次回作は耳栓必須になると思います。

 腕っぷしの強さでピカイチの検挙率を誇るマ・

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映画『カラオケ行こ!』“今しかない瞬間を”歌え、叫べ。

映画『カラオケ行こ!』“今しかない瞬間を”歌え、叫べ。

 背丈が無駄にデカいので、「バスケかバレー部だったでしょ?」と数え切れないほど言われてきたけれど、その実態は、部活には入らず生徒会役員を努め、内申点だけで受験を乗り切ってきたというのがオチ。運動神経が壊滅的だったし、とはいえ文化系においても自慢できる特技も研鑽を重ね続ける度胸もなく、弱い自分を変えられないまま学生生活を終えてしまった。

 たとえ下手でも、何かしらを続けていれば、今の自分にはない特

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シャニマスのアニメ第3章を観たぜ。

シャニマスのアニメ第3章を観たぜ。

 メリークリスマス。そしてハッピーニューイヤー。伝書鳩Pだ。

 昨年から続くシャニマスのアニメの劇場公開、ついに最終章を見届けた。全12話のTVシリーズの先行上映、劇場の大音響で観ることの醍醐味を感じさせてくれるライブシーンだとか、発表当初感じていた3DCGアニメになることへの拒否感が薄れていく感覚ともお別れで、今となっては4月に決まった地上波放送を待ちわびるばかりである。

 ここでは、第3章

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