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在庫の話⑥ 罠にはまって在庫を抱える

いらっしゃいませ。
本日も小売王_マグロ大使のnoteにご来店有難うございます。
日曜は在庫の話。

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前回、「商品回転率」と「在庫日数」の関係性について見ていきました。今回は、商品回転率を詳しく見ていきます。
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在庫から生み出される売上高

商品回転率について再確認をします。
商品回転率は在庫に対する売上の割合で、逆の見方をすれば売上のために準備している在庫の割合ということになります。

計算式としては
(年間)売上高÷(平均)在庫高=商品回転率
となります。

通常1,000円分在庫している品が、年間8,000円売れていれば商品回転率は8回転です。通常はこのように「年」で計算して出します。

しかし売上に関しては商品部や本部側では年間で数値をつかむこともありますが、店舗現場では「この商品は月に○○個売れる」「月に○○万円売れる」というのが一般的です。

したがって現場では「月」で計算して年換算することが多くなります。
在庫高1,000円で月間1,500円売れる品の回転率は、
1,500/1,000=1.5(=月間の回転率) 

これに12(か月)を掛けて、
1.5×12=18 と、
年換算の商品回転率「18回」が出てきます

基本的には「年」だが、違う場合も

特に断りがない場合は一般的には「年」ですが、会話の中では月間や週での回転率を語ることもあります。会社や帳票によっては「月」の数値で出している場合もあります。

自社の帳票や画面で回転率が表示されている場合は、念のため自社の数値が年数値か、月数値かを確認しておいてください。回転率1~2前後で推移している場合は「月」間回転率です。

業界や商品分野によって求められる回転率の水準は異なりますが、いずれにしても帳票に年回転率1~2回転が並んでいるような会社の経営は成り立ちません。今すぐ閉店すべき水準です。

年間1~2回転というのは、月に1/12~2/12回転ということです。

在庫を1,000万円準備してその月の売上は83~166万円ということで、その1,000万の在庫の仕入れに500万使った(=荒利50%)場合、この仕入れ代金を払うだけでも、この売上では3~6か月程度かかります。

人件費や家賃など他にも支払うものはたくさんあります。
年間商品回転率1~2回転などでは経営は到底成り立ちませんから、そういう数字が並んでいる帳票を見たら、「月換算なんだな」とわかります。

年換算でも一部の部門だけ1~2回転になる場合があります。前述の通りこの数値では今すぐ閉店すべき水準ですから、その部門は大なたが必要なお荷物部門なんだとはっきりと認識しなければなりません。

この辺りの判断が効率数値として資金繰り面などで明確に分かるのも商品回転率の利点です。

売れればOKで罠に落ちる

「在庫日数」は現場ではわかりやすい指標なので、特に問題がないのならそれだけを使っていればいいのですが、「シーズン中に売れればいい」という発想を持ってしまうことも事実です。

「90日分在庫」に対し「3か月あれば売り切れるからOK」という発想です。アパレルなどの場合は在庫の確保というのもありますが、少なくとも資金繰りが成り立たないような仕入れは避けなければなりません。

食品分野などで、メーカーや卸が投げ売りすることがあります。ある程度人気の品でも商品切替えや、端数在庫などで40ケース限り2~5割引きなどといったものです。

こういった話を斡旋されると、どうせ売れるんだからと、「倉庫に入るだけ」とか「半年分」などといった仕入れをする人がいます。「賞味期限や季節性の面では半年分でもOK」。その一点が判断基準になっています。

半年分在庫とは、半年で1回転するのですから年間商品回転率で2回転です。卸特売で荒利が70%になれば、商品回転率2回転でも儲かるのでしょうか?

この人は既に罠に落ちています。

つづく

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