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#毎日note
のり子にとっては、「服」「髪」「靴」、この3つが揃い、会社では堂々といられるようになり意欲的に仕事をしていった。
のり子が入社して4~5年位の頃に、会社では「業務改革」という言葉が使われ始めた。
時代はどんどん変わっている。だからこれまでの成功が今後も続くとは限らない。過去の成果にこだわっていては時代の波に乗られないと考えられ、社内の組織が劇的に変わり業務もどんどん新しくなっていった。
会社の同期の女性社員は入社と同時にパーマをかけ、大人びて見えていた。
それに比べのり子は相変わらず床屋さんで髪を切ってもらっていたから、「美容院」や「パーマ」にとても憧れを抱いていた。
「いつか私もパーマを」と憧れていた。
のり子は意を決して美容院に入り、そして生まれて初めてパーマをかけてみた。
髪をくるくるに巻かれ、炊飯器の釜を逆さまにしたようなものが頭上にあった。
数十分待ち、ド
入社したての頃ののり子は通勤着にどんな服装をしていけばいいか分からず困っていた。
のり子の勤務先は衣料品も扱っているから最初、売り場の方が勧めて下さったものを購入していた。
しかし、「あれは〇〇円の服だ」とすぐに分かってしまうのが恥ずかしく感じてその内、社外のお店から買うようになった。
貧乏な家に育ち、いつもおさがりの服しか着ていなかったのり子は自分で服を選ぶことができず、お休みの日に探し
自分から人に声を掛けられず独りぼっちの中学三年間を過ごし、勉強するしかなかったののり子は地域でも有名な進学校に入学した。
そこは百数十年の歴史がある、地域でも有名な女子高だった。
その学校は自転車で片道45分位の「街なか」にあった。
これまで周りが田んぼだけの小中学校だったのり子にとって、「大人の世界」へ飛び込んだような気がした。
同じ中学からはのり子を入れて2~3人しか入学していない、
入学式の早朝、のり子は自転車に乗り、中学校の玄関に貼られたクラス分けの表を確認しにいった。
「どうか、A君と違うクラスでありますように」
番長的立場のA君から1年間いじめを受けたのり子は小学校を卒業してから今日まで、指を組んで神さまに拝む姿勢を何度もしていた。
眠る時もその祈りは眠りに入るまで続けていた。
そして、彼とは別クラスになったことを知った時、初めて眼鏡をかけたあの瞬間のように、世