雲間のつっきー

三兄弟の子育てを卒業した変型シングル。大人になってからの試行錯誤と生活維持の両立はきつ…

雲間のつっきー

三兄弟の子育てを卒業した変型シングル。大人になってからの試行錯誤と生活維持の両立はきついなあと思いながら、 ひっそり生きてます。

マガジン

  • 【小説】私の明日はどっちだ?

    迷ってばかりの中年女性、薮田信子。 何のとりえもなくモヤモヤした毎日に、 自分の居場所を見つけることができるのか?

最近の記事

私が学校しんどい人にむかってつぶやくわけ

去年の8月から、Twitterで「学校とかしんどい人へ」というコメントをしています。この人なんでこんなことやってるんだろう、と思われた方がいるかもしれません。私は教育関係者でも心理学の専門家でもなく、かつて学校に行きづらかった子を持つ親です。過去形なのは、その子がもう大人になって、自立しているからです。毎年NHKで「8月31日の夜に」という番組があって、その時期になるとソワソワしていたのですが去年はやる気配がなくて、「え、やらないの⁉」と何かせずにはいられなくなりました。休校

    • 最終回【小説】私の明日はどっちだ?10-③

      これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 未来につながる道しるべ「ハルカくんは3月から別の部署に異動になります」 ちょっと遅いお正月休みを終えて、出勤した日のことだった。やっぱり琴音さんの話は本当だったんだ。人当たりがよくて頼りにしていたのに、なんだか急につっかえ棒がなくなってしまうみたいだ。覚悟はしていたものの、実際に聞いてしまうと気持ちががくんと落ちていく。でも話はそれだけでは済まなかった。 「私もここを離れます」 ええ?ニワカさんまで?それは聞いてない。じゃあこ

      • 【小説】私の明日はどっちだ?10-②

        これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 悩んでるヒマもない年末だからといって気ぜわしさに追い立てられているのは、スタッフ側の都合だ。慣れない事務処理や設備管理など、気持ちだけでは回しきれない業務が山積みされている。琴音さんは涼しい顔でこなしていくけれど、私はお世辞にも手際がいいとは言えなかった。トミさんの、あれあんたまだ終わんないの?という突っ込みに笑顔で応えるのにも疲れてきた。この疲労に見合うだけのご褒美…帰ったら何を食べようか。私の頭の中はそのことでいっぱいになってい

        • 【小説】私の明日はどっちだ?10-①

          これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 しあわせな時間ボンちゃんはまたすぐにやって来た。カメラとノート持参で、今日次郎さんと話したい、と言う。なんでもきっちり予定を立てて双方にお伺いたてて、なんていう私の気苦労はあっさりふき飛ばされてしまった。特に予定もなかったし、次郎さんも実は心待ちにしていたようで、ボンちゃん来ましたよーと声をかけると、5分待ってくれという返事。そして、さっきまでの普段着からちょっとこぎれいな普段着に着替えて出てきた。 「勇太、よく来たな。この間はす

        私が学校しんどい人にむかってつぶやくわけ

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        • 【小説】私の明日はどっちだ?
          29本

        記事

          【小説】私の明日はどっちだ?9-③

          これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 ボンちゃんからの手紙おいしいだまこもち入りのおつゆが、冷めてしまう。 今夜は特に冷え込むだろうと、献立を変更してあったかメニューを用意したのだ。だから、冷めたものを出したのでは納得いかない。やはり、あたたかいうちに味わってもらいたい。でも、次郎さんはちっとも部屋から出てこなかった。 「これ旨いなあ」と言いながら二杯目をもらっているあつしさんはひとりご機嫌だ。この間のイベントで、次郎さんが途中で離脱したことから突然スポットライトを

          【小説】私の明日はどっちだ?9-③

          【小説】私の明日はどっちだ?9-②

          これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 ちょっとぐらいは認めてほしい子どもたちを招いた新聞づくりイベントでは、少し早いクリスマス会も企画されていた。ちょっとしたケーキを食べ、その日の感想を言い合ったりするぐらいのものだったが、ふだんあまり交流のない世代同士。それだけでもなかなか貴重だったな、と私は思った。一部の人たちを除いて。 次郎さんは泣き崩れた後、イベントの場には戻ってこなかった。娘さんとお孫さんは応援するつもりで来てくれたのだろうが、思いがけない展開に早々と引き上

          【小説】私の明日はどっちだ?9-②

          【小説】私の明日はどっちだ?9-①

          これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 やっぱり何かは起きるもの次郎さんは、娘さんに来てもらって床屋へ行ったらしい。トミさんのお化粧はいつにもまして気合が入り、そばにいるとギョッとしないでもない。今日は朝から、部屋のあちらこちらでみんながソワソワしている。子どもたちとの交流イベントの日が、ついにやってきたのだ。 そろそろ時間だな、と思って玄関のドアを開けると、ひやっとした空気が入り込んできた。12月ともなればさすがに寒い。あわててドアを閉め、ぐるっと周りを見渡す。まだ子

          【小説】私の明日はどっちだ?9-①

          【小説】私の明日はどっちだ?8-③

          ちょっと幸せになりたいだけなのに、うまくいかないことばかり。気づけば人生半ばを過ぎて、私はいったいどこへ向かっているんだろう。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 流れに乗ってみるってこういうこと?土曜日にはまた子どもたちが来てくれる予定なのに、次郎さんは相変わらず不機嫌なままだ。私が何とかしなければならないというわけでもないんだろうけど、どうしたものか。 「ニワカさん、次郎さんのこと。どうするんですか?」 「うーん。薮田さん、どうにかならない?」 「え?私で

          【小説】私の明日はどっちだ?8-③

          【小説】私の明日はどっちだ?8-②

          何かを選ぶのってすごく勇気がいる。さんざん迷ってこれだって決めても、結果はどれもイマイチだ。いったい私はどこに向かっていけばしあわせになれるのだろう…。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 こんな私にまかせないで次の週末、3人の小学生たちがやってきた。 6年生で小柄なリョウくん、4年生ながらテキパキとしてリーダーっぽいあずさちゃん。そして、なんとボンちゃんだった。 「ボンちゃん!」 私はなんだかうれしくなって、思わず声をかけた。ここへは何度も来ていて慣れている

          【小説】私の明日はどっちだ?8-②

          【小説】私の明日はどっちだ?8-①

          何かを選ばなきゃいけないとき、自信をもって決められたらいいのに。上手くいかないことばっかりだから、つい弱気になる。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 できない理由を探せばいくらでもある「まあ、あれだな。そもそもそれだから」 「は?」 あれだのそれだの言われても、何のことだかちっともわからない。いつも理屈っぽい次郎さんが、今日はいつにもまして熱弁をふるっている。前に新聞を買い忘れて怒鳴られたことがあってから、私はどうもこの人が苦手だ。ネットがどうこうという話まで

          【小説】私の明日はどっちだ?8-①

          【小説】私の明日はどっちだ?7-③

          人生の分かれ道に立ったとき、何を選べば正しくて、何が正しくないのか。それがわかっていれば苦労はないのに。こころはいつも霧の中…。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 しあわせはその辺には落ちてないこのところ、朝晩はさすがに冷え込むようになってきた。仕事に向かうときは自然と早足になり、ハウスに着くと中がふわっと暖かくてほっとする。今のところ私の職場は、広い公園のような場所にあるシニア向け施設で、みんなはハウスと呼んでいる。少し離れたところに誰でも入れるレストランがあり

          【小説】私の明日はどっちだ?7-③

          【小説】私の明日はどっちだ?7-②

          何を食べるかというささいなことから人生の大きな決断に至るまで、生きてる間は選択だらけ。でも、ちゃんと考えてるのに思い通りにいかないことばっかり。私はいったいどこへ行くの。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 自分がいちばん欲しいものは何かあわてて職場に戻ったものの、結局何の役にも立てないまま家に帰った。気持ちだけでは動けないんだ。あたりまえか。 昨日、ニワカさんは自分の力のなさを嘆いていたけれど、そんなに落ち込むことかなあと内心思っていた。友だちになってとか自分の

          【小説】私の明日はどっちだ?7-②

          【小説】私の明日はどっちだ?7-①

          何とか決まった就職先は、思いがけずアタリだったかもしれない。別にすごくやりたかったことではないけれど、人生なんてこんなものだし。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 飛び散ったクリーム入りの大福「で、いったいどうしちゃったんですか?」 私はなかなかの焼き鳥に満足しながら、ちっとも本題に入ろうとしないニワカさんを問い詰めた。デキる女性にお友だちになってと言われて、戸惑わない凡人がいるだろうか。 「あ、うん。だよね。そうだよね」 ハッキリしない。ますます疑問が沸き

          【小説】私の明日はどっちだ?7-①

          【小説】私の明日はどっちだ?6-③

          何とか決まった就職先が思いがけずいいところだった、と思ったのもつかの間、やっぱり何かあるのかも。だって私を採用したくらいだもの…。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 ニワカさん壊れるそれは、ちょっとした運動会があった日だった。イベントらしいことがあったのは久しぶりで、そこにいた誰もが何となく浮足立って、ざわついた雰囲気があった。 運動会と言っても学校でやるような大それたものではない。長机の端から端までを行ったり来たりするとか、借り物競争に倣ってあちこちから何かを

          【小説】私の明日はどっちだ?6-③

          【小説】私の明日はどっちだ?6-②

          人生は無数に枝分かれした道でできている。どれほど真剣に選ぼうと迷いは消えず、こころはいつも霧の中。ただ普通に幸せになりたいだけなのにな。 これまでのお話はマガジンからどうぞ。 波風なんていらない 考えてみれば、いや考えなくても、これまでの人生可もなく不可もなく、ということばかりだった。学生時代はすみっこの方で、できるだけ目立たないように過ごしてきた。すごくできるわけでもないし、悪くなる度胸もなかった。卒業の時に泣いて別れを惜しむ友達は特にいなかったし、そう思ってくれる人

          【小説】私の明日はどっちだ?6-②

          【小説】私の明日はどっちだ?6-①

          どれほど真剣に選ぼうと迷いは消えず、こころはいつも霧の中。どこにいて、何をしていれば自分は幸せになれるのだろう…。 これまでのおはなしはマガジンからどうぞ。 それでも私はここにいていいですか学校にしてもお年寄りのための施設にしても、そこに関わる以外の人が入り込む場面はほとんどない。実際のところセキュリティの問題があるし、みんな自分の生活に忙しくて、ほかの世界まで目がいかないということもある。身近にそうした人たちと接する機会がなければ、どんなにニュースで取り上げられようと、

          【小説】私の明日はどっちだ?6-①