方向性で考えるリーダー論
「集団を導く場合
構成メンバーを把握し
統制することに注力する
マネージャーではなく
先頭に立って
とにかく皆をぐいぐい引っ張っていく
リーダーこそが望ましい」
そんなリーダー論があります
しかし最も理想的なリーダーは
リードなんかしません
その人は進むべき方向だけを見て
圧倒的速度で突き進もうとしているだけ
その人がガンガン進むあとを
後ろにいる人たちがたどろうとする
自発的にあとについていく
それが他者の目からは
リーダーが皆を引っ張っているように見える
しかし実際は集団をリードすること自体に
興味がないし
人にアドバイスするより
人から得る目新しい意見のほうが大事
なりゆきでリーダー的な立場になっても
偉そうに人に何かを教えたり
あれをしろこれをしろと指図するなんて
やりたいとも思わない
自分がより前に進むことが
この瞬間も自分が前に進み続けていることが
楽しくてしかたない
みんなと協力して
目標に近づくことが
夢が現実になっていくことが
今までになかった新しいものを創造することが
画期的なアイデアが次々と生まれることが
楽しくてしかたない
ただそれだけ
自分の後ろに誰がついてきているかなんて
ろくに気にしてないし
ろくに見てもいません
これが最も理想的なリーダーの姿です
視線は常に前を向いています
はるか前を向いています
それに比べると
世の中の
自称リーダーの多くは
自分が教え導くメンバーのほうを見ています
それはリーダーではなく
マネージャーです
リーダーとマネージャーは
見てる方向が逆なんです
マネージャーは
組織をマネジメントするのが仕事です
一人一人に何が足りないか
どこを伸ばし
どこを修正してあげるべきか
見極めようと努力し
最適な指導をしようとする
目標を与えやる気を喚起しようとする
そんなお行儀のいい
セミナーのテキスト通りの指導法でも
各メンバーの能力をある程度引き出すくらいは
できるかもしれません
しかし結局は全体の足の遅さになる
突進力突破力は失われ
進歩進化や改革の障害になり
時代の変化に対応できなくなる
そうなるのは指導する者が進むべき方向とは
反対を向いているのだから当然です
メンバーが成長を続けるとそのなかには
自分を追い越す者も現れるかもしれない
だからわざとブレーキを踏ませたりもする
意味の無い規則や慣例を押し付ける
斬新で型破りな手法を認めず
守り続けてきた自分のやり方を
もったいぶりながら
恩着せがましく
「私は何度も何度も試行錯誤をして
ついにこの方法にたどりつきました
今あなたにそれを教えます
しっかり覚えてください」
そんな感じで
メンバーの成長をコントロールして
自分が皆から賞賛され尊敬される
上の立場の人間であり続けようとする
「あっという間に追い越されちゃいましたね
これからは反対に私を教えてください」
なんてことは死んでも言いたくない
自分は皆の為になっている
自分はとても意義のある職務に
毎日本当にがんばっている
自分の責任を立派にはたしている
自分は良い指導者であり
良い上司であり良い経営者であり
良い監督であり良いコーチであり
良い教師であり良い先生であり
良いアドバイザーであり
良い発信者であり
そして良い親である
そう信じて疑いません
これがマネージャー
皆を管理しコントロールしようとしていながら
そのくせリーダーとして振る舞おうとする
「周りに自分を認めてもらう」そのために
リーダーシップ的なものをふりかざす
自分では優れたリーダーをしているつもりの
とても残念な指導者です
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