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言葉を吟味しよう

こんにちは。
季節は少しずつ春に近づいていますね。

私は35年にわたる花粉症といよいよ決別しようと、今シーズンが終わったら
舌下免疫療法なるものを始めようと思ってます。
身の回りにサンプルがないので、その効果のほどをご存知の方は、
ぜひシェアいただければうれしいです。

今回のコラムテーマは、最近話題となった、五輪組織委員会の元会長の発言から得た考察を共有したいと思います。

言葉を吟味することの大切さ」についてです。


■ブレーキが壊れた頭をもつ人たち

ここでは五輪組織委員会の元会長の発言自体を、どうこう触れるつもりはありません。

例の発言が問題だと思う前に、私は
「なんでここまでの地位を得た人が、自分の言葉をコントロールできないんだろう」
と、ひとつのサンプルとして興味深く思いました。


今日触れたいのは、私がとらえた、こんな原理です。

普段思っていることは、その人のアタマの程度にふさわしいボキャブラリーでしか、外に出てこない。


元会長の発言は、3つのことを露呈させました。ここは、私たちも学べるはずです。

・そもそも人は本質的に変わらないこと
・ボキャブラリーが貧しいこと
・ふだん思っていることは、調子に乗るとそのまま口から出てしまうこと

つまり、普段から思っていることは、うっかりすると口から出てしまい、
さらに、ボキャブラリーが貧相だと、さらに傷口を広めてしまう。

こんなことを考えていました。


いわゆるこうした”頭のブレーキが壊れた人”は、世の中にたくさんいます。

すぐに自制が効かなくなり、思ったことを何の加工もせず、そのまま口にする人たちです。

メディアが多様化した昨今、その発言は文字でなかったとしても、繰り返し使える映像として残ります。
つまり、そんな人たちは結局、みずからの首を絞めるがごとく、ふさわしい待遇に身を処すことになるわけですね。

■”ボキャ貧のリーダー”は悲劇しか生まない

サンプルとして興味深いなと思ったのは、
普段からこのコラムでお伝えしている、「言葉を吟味する大切さ」の恰好の対象となると思ったからです。

さらに言えば、この機会に乗じ、
リーダーの方たちにいま一度、自分の表現力について精査してほしいと思ったからです。

もし今自分が何かしらのチームを率いるリーダーであれば、
自分の口から出てくる言葉の影響力について、あらためて考えてみてください。


勢いづきすぎて、誤解を生んでいませんか?

あるいは

言葉が少なすぎて、憶測や忖度を周りに強要していませんか?


あるいは

モチベーションを上げようとして、かえって自分の価値観を押し付けて
「あの人の言葉は、なえるわ~」とか陰で言われていませんか?


あるいは

自分をかしこく見せようとして、意味不明の言葉を連発し、
周りをシラけさせていませんか?


私は仕事柄、こうしたタイプのリーダーのせいで、現場からやる気がなくなっている現実をたくさん見てきました。

誤解、忖度、憶測を組織じゅうにまきちらし、
コミュニケーションミスによる混乱を生み、
業績下降はおろか、
クレームや事故まで、起こしかねないのです。

これらはもしかすると、ボキャブラリーが貧相で、表現力が乏しいリーダーが原因なのかもしれません。

■言葉を吟味することの大切さ

リーダーもひとりの人間です。
いち個人としての強みやキャラクターは、尊重されるべきです。

しかし、それと「表現力」というスキルは、同じ分類にはされません。

人を動かすためには、個性とスキル、両方が必要なのです。

スキル側の代表例として、最たるものが、”言葉”を含む表現力です。

軽々しく、乏しい表現は、こと日本においては、人格すら疑われてしまいかねません。
五輪組織委員会の例の発言において、
多くの批判者が、”言葉”でなく”人格そのもの”に文句をつけていました。

そうです。一歩間違えれば、私たちは、必要以上に厳しい、人格否定の憂き目に遭いかねないないのです。

リーダーこそ。いや、リーダーでなくも、人に影響を与える人こそ、
自分の口から出てくる言葉を、よく吟味しなければなりません。

思ったままが口から出てきて人をなごませるのは、幼稚園児までが限界です。

人を元気づけ、勇気づけ、癒し、幸せにし、ときには内省を促す言葉を選びましょう。


■余談|批判側も多いに問題がある

最後に余談ですが、
私は一連の騒動を眺めながら、正直、日本はけっこう恐ろしい国だなと思いました。

この国では、批判者のメンタリティにもかなり問題がありそうです。
批判者たちのほとんどは、「女性蔑視」であろうあの人の”人格”に踏み込み、そして思いきり叩いていたのです。

ダイバーシティという御旗があれば、人の内面や価値観を否定しても良いと、勘違いしていないでしょうか?

それこそ、その行為がダイバーシティではありません。
都合の悪い考えを持つ人を消す。そんな価値観の押し付け合いが、紛争や戦争を呼ぶことはご存知かと思います。

健全な批判、建設的な議論ができる国であってほしいものです。

批判者である自分もまた、自分の口から出てくる言葉を吟味する必要があるはずです。

結局、この世はお互いさま、ですからね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)
大いなる欠点を持つことは、偉人たちのみに限られる

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