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つんの詩

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詩を書いています。ゆっくりしていってね。
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#散文詩

恋と性、死の匂いがする

ひとり遊びが1人じゃなくなった。電話越しにきみの喘ぎ声が聞こえるからだ。いつもは真剣な眼差しのきみが絶頂に達したとき目付きが変わりとろんとする。きみの眼球を舐めたい。

賞味期限切れ少女、アイスを舐めながら頬張る。上目遣いで君を見ながら、きみのアソコが大きくなるのを観察してか私は満足した。彼との情事は退屈だった。彼は自分が気持ち良くなることしか考えていないから、独りよがりのオナニーに付き合わされて

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存在しない、ない。

話題の本を読み話題の映画を観て、君は中身がないんだね。空っぽの脳みそで生きている。皮肉屋の君は口をとんがらせてそう言う。僕だって好みあるもん。そう思って部屋を見渡したら、元彼が聴いていたCD、友人から貰った服、ばあちゃんから譲られた植木。自分由来のものが何処にもない、ない。存在しない僕。

長い長い細い廊下にこだましていくローファーのコツコツする音。ひとりだ、静寂だ、生唾を飲む。ポワーンと1人ぼん

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ラブソングに花束を

ラブソングに花束を

 会いたいなぁって思っちゃった。すきだよ、えへ。こんなこと書いてもしょうがないのにね。
 自分が抱えている想いを相手も同じ重さで同じ温度で抱えていると思えるのは若さ故だよね。でも生きている限り誰かを愛してしまうことからは逃れられないと思うから、これが生なんだって受け止めて、貴方を愛すよ。

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モコモコプードルの毛売り捌いて、育てていたうさぎはパイになる。ピーターラビットの世界はちょっぴりおっかない。雨の匂いに懐かしくなる。傘に落ちる雨粒がボトボトと音を立てている。鼻歌を歌い曇る雨空を眺め顔が濡れる。ぼくは自由だ。

いつもシャボン玉の液を飲んでしまう。苦しくて苦い。きみが一生懸命シャボン玉を吹いているのを横目で見ている午後、僕は真横で冷たい麦茶を飲んでいた。夏って胸が苦しくなるね。それはきみに恋しているからかなぁ。汗をかくきみに見惚れて僕も汗をかいて僕らは川に出かけて水を掛け合った。

十字架を切って祈ってる

十字架を切って祈ってる

 真っ白い壁が四つの側面に高く聳える教会で僕は祈っている。

妹の病気が治るように、家族の貧乏が少しでもマシになるように。

 十字を切った窓の外には日焼けしたみたいな鳩が何匹もいる。長老みたいなお爺さんが餌をやるから。オリーブと鳩は平和の象徴って言うけど嘘だ。ただの植木と飢餓な鳥獣だ。

 高い天井に鐘の音がどーんと何度も響いて、なんだかここは天国みたいだなぁなんて思う。見えないけど天使が飛んで

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シュワシュワ炭酸水の

 茹だる暑い日に焦がれたアスファルトの上を闊歩します。途中目に入った赤い自動販売機で涼しそうな炭酸水の下のボタンを押し、ゴトンとする音が鳴ったら下の受け取りボックスに転がってきます。キャップを回すとシュッと涼しい音が鳴る。シュワシュワした液体を喉越しゴクゴク流し込むと、お腹に冷たい液体が流れて気持ち良いです。

 炭酸が強いからか辛くて目が染みて、涙がぽろぽろ出ます。潤んだ瞳が映す世界は蜃気楼のよ

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