恋と性、死の匂いがする

ひとり遊びが1人じゃなくなった。電話越しにきみの喘ぎ声が聞こえるからだ。いつもは真剣な眼差しのきみが絶頂に達したとき目付きが変わりとろんとする。きみの眼球を舐めたい。

賞味期限切れ少女、アイスを舐めながら頬張る。上目遣いで君を見ながら、きみのアソコが大きくなるのを観察してか私は満足した。彼との情事は退屈だった。彼は自分が気持ち良くなることしか考えていないから、独りよがりのオナニーに付き合わされているだけだ。これなら、アイスを食べてる方がよい。

恋人との通話がすっかり日常に溶け込んでしまった。幸せを大切に抱きしめている。

こちらにそっと微笑みかけるアーカイブのわたし、永久保存されたロンリードール。若く美しかったときのわたし、アイドルの衣装に身を包んだわたし。普通の人になりたくてアイドルを辞めた。恋愛がしたかった。好きな人と街で手を繋いで、歩きたかった。愛しているの魔法、好きな人だけにかけて、

あなたを貶める人を1人ずつ殺していくから、外に出るのを怖がらないで。

恋人が作ってくれた薄い殻で出来た暖かい幸せ、卵の殻。壊さないように気をつけながらわたしはその中でのんびり過ごした。激しい雨や強い風からも守ってくれた。彼と時々窓越しに会った。まるでロミオとジュリエットね、わたしが笑う。きみがくれた赤い薔薇をドレスに刺して、パーティーできみと踊る。

恋人にひみつでひとり遊びしちゃった。

ひとり遊びをして絶頂に達したあとの虚しさ、これにはいつになっても慣れない。身体は項垂れて陰部だけが燃えるように熱い。汗をかいていたので額を拭う。アロマキャンドルに付いた小さな火が揺れる様子を眺めている。机の上に置いてあったペットボトルの水を飲んでいく。1秒前のわたしが死んでゆく声がする。

1人でするの寂しいよ、電流が走ったようなビリビリと快感を1人で受け止める。きみとしたせっくすはさびしさを和らげて、世界に2人だけしかいないみたいにさせてくれた。きみとのせっくすを思い出しながらするのは虚しさしか募らない。でもねそれでもきみが好きだから思い出すんだよ。

新宿のラブホテル、セックス後に飲む水。射精してすぐ背中を向けて寝るきみ。きみが欲しいのに手に入れられないから、吸い殻のカスを大事にハンカチで包んでお家に持って帰る。寂しいときこれを嗅いでね、きみを思い出すの。

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