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読書録no.3 珍夜特急1

「珍夜特急」 クロサワ コウタロウ

私が旅してるみたいにワクワク、ハラハラ、ドキドキしてめっちゃくちゃ引き込まれました。今まで旅行記みたいな本は、著者の自己満感を強く感じてしまってあんまりおもしろいと思えなくて。これもkindleで無料だったから読み始めて、ちょっとだけ読んで、あんまりおもしろくないかもって読むの止めようとしたんだけど、、、気づいたら止まらなくなって夜な夜な読みきってしまいました。おすすめです!

ほぼノンフィクションと書かれていて、ほとんど筆者の体験に基づくんだろうけど、自身を飾っているわけでも、卑下するわけでもなく、当時の感情のとか、出会った人たちとの関りがすっごく生き生きと伝わってくる感じが面白かったです。


私は旅行が好きで、海外で一人でバックパックを背負って安いドミトリーを渡り歩くタイプの貧乏旅も大好きです。私の場合、wifiもつながらないまま街を歩くことも多々ありますが、絶対に欠かせないのがgoogle map!!!

同い年くらいの大学生が、20年前にgoogle map も無い、自分がどこにいるのか位置情報で確かめることもできない、スマホも無くて、家族にも友達にも気軽に連絡取れないだろうしSNSに感動をつぶやくこともできない、そんな "ほぼ孤立" 状態の1年間の一人旅。それもインドのカルカッタからポルトガル最西端のロカ岬までバイクで行くって壮大すぎる考え。たとえ思いついたとしても誰にでも実行できることじゃない。すごいや。

筆者がこの計画を思いつく場面がずっと心に残っています。

――ここからあの夕日に向かっていけば 、本当にヨ ーロッパにたどり着くのだろうか
 ――どの辺から 、どんな具合に人種が変わっていくのだろうか 。大体この大地の先には 、本当にヨ ーロッパなんてあるんだろうか 。
 ――そこまでの道のりを自分の目で見てみたい 。ああ 、だけど飛行機では駄目だ 。あの鉄の箱はドラえもんの 「何処でもドア 」のように 、移動している感じがしない 。うん 、そうだ 。渡るのだ 。この大陸を東から西まで渡ればきっと全てを見られるに違いない 。。
――そうだ !バイクだ 。バイクでこの大陸を横断しよう 。これなら誰もやったことがない ――とまでは言わないが 、かなり珍しいはずだ 。少なくとも八王子にはひとりもいまい 。これだ !
(p. 657/1955 珍夜特急1 kindle版)

私が旅が好きな理由の一つに
「自分の中の世界地図がくっきりしていくから」
というのがあります。自分が訪れた町、歩いた道、電車の窓から見た風景、入ったお店、たまにする苦い経験、そういう実体験とその時の自分の感情によって、ぼやけていた自分の地図が濃く、カラフルになっていく気がしているんです。日本国内でも、海外でも一緒。"観光っぽい"こともしたいけど、それだけじゃつまらないの。

だから、飛行機を「何処でもドア」と形容して、アジアからヨーロッパをつなぐユーラシア大陸のデカさ、そしてその地に住むいろんな人を自分の足で、自分の目で、確かめようとする筆者、準備して、ほんとに実行しちゃう筆者、行くとこ行くとこで苦い目にあいながらも新しい友達を作って心を開いて楽しんじゃう筆者にとっても惹かれました。分かる!その気持ち!!と。

新しいところに行くワクワク感と、少しのスリルと、危険へのアンテナをピンピンに張りつつその場所ならではのことを楽しむかんじ。最近私は旅行をする機会がたくさんあって、その新鮮な気持ちをちょっと慣れて忘れていたかもしれない。うわああ。どこか知らないところへ行きたくなってきたぞ。


読んだ日 2019/2/12

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