月乃

つきのと読みます。考えたことをつらつらと垂れ流すだけです。読んでなにか考えて頂けると幸…

月乃

つきのと読みます。考えたことをつらつらと垂れ流すだけです。読んでなにか考えて頂けると幸いです。

最近の記事

アセトン

あしたのことも思い出せないね 洗面台の上で嗚咽しながら泣いた 流れ落ちるマスカラの黒い繊維だけが わたしを慰めてくれる気がした 消えたくてどうしようもなくて それを文字にして あしたわたしが死んだら あれはわたしのことを知ってくれたひと全員に 読んでもらおうって決めてて そう、あれは遺稿なの みんなわたしが死なないことを めいわくに思ってる そういう匂いがする アセトンとマンダリンとクリームチーズの匂い きもちわるい 消えてく夏去ってく夏置いてけぼりのわたし わたし

    • あき

      なにもつらいことはないはずなのにね わたしはやく死んでいたい だれもたすけなくていいよ だれも愛さなくていいよ わたしはもう大丈夫だよ この世界がぜんぶ わたしのことをきらいみたい もう生きていたくないし なんにも能がないし あーあなんで学校から飛び降りなかったんだろ 悔しい、いま飛び降りられそうなところなんて近くにない 家の屋根に登って落ちたりしてみたけど そんなので死ねたら苦労しないよね 死んだらみんななんでって言うきっと たすけてって言っても 聞こえないふりしたくせ

      • 白い肌と屋上

        屋上 サンダル きみ 揺れるサンダル散る水のうえに花落ちて 抱き上げる手の真白さよ メルティダスト 舞う月 林檎雨食めば のびた髪の奥揺れるピアス もうあの頃とはちがうと言いたげ 家飛び出して走る先 電気屋

        • しあわせ

          しあわせ、もうなんにもいらない あしたが来なくたっていい、 その方がいい気もした 17で死ぬって12の頃から思ってきたね 素敵な写真も撮ってもらった、 今月頭からほぼ寝たきりで なんとかその日だけ頑張って 親に送り迎えもしてもらってしまって、 それでも何とか撮影できて もういいんだ。これで満足なんだ。 だれにも愛されなくたって、 だれにも覚えてもらえなくたって、 わたしはいろんなひとを傷つけてきたし 当然のことだと思う なんで死なないんだろう 身体は動かないのに

        アセトン

          おわり

          くるしい 身体がわるいのか こころがわるいのかわからない わたしはなんにもできない生き物だし なんにもない人間だし なにか必死になって遺そうとして 必死で絵を描いた、必死で写真を撮った 必死で笑った、必死で外へ出た 必死で人と話した、必死で歩いた 必死で音楽をつくった、 必死に文字を書いた。 しにたいなんてだれにも言えなくて くるしいなんてだれにも言えなくて 泣かせるのがこわくて 傷つけるのがこわくて わたしは隠せないから 大丈夫?って聞かれるのがこわいから ひとりにな

          遺影

          そろそろ限界かもしれない。 たった1時間さえも椅子で座れなくなった。 よく視界がブラックアウトするようになった。外に出たら頻繁にしゃがみこむようになった。 意識が飛ぶようになった。 右手右足に力が入らなくなった。 手が震えることが続くようになった。 視界に黒いものがずっとあるようになった。 横になっているだけで息切れがするようになった。 話すだけで頻脈で苦しくなるようになった。 もう死ぬのならしにたい。ちゃんと「遺影」に使って欲しい写真をまとめたアルバムもスマホの中にある。会

          ひやりあめふれ

          意味ないよ、きみがそこにいてわたしのことを見つけてくれることになんて、意味は無い。 わたしはひとりで泣きながら、ひとりで大泣きしながら、ずっとこれからについて考えていた、剃刀の安全ガードをなんとなく外して、腕を出してスっと手を引いた。そんなもので誰もわたしのことを愛してくれないし、血を見ても別に誰も、わたしの髪を撫でてはくれなかった。 さみしいわけでもないの、ひとりになりたい。静かに静かに振る時雨を見つめ続けている。2階の窓から覗く瓦屋根、埋まらない過去。傷。孤独。 小

          ひやりあめふれ

          薔薇

          『戻らなくていいんだよ』って言われた。 つらくなかったころに戻りたい、 こわくなかったころに戻りたい、 そうなったのが大人になったからだって わかっているから。 成長していくことを受け入れられない、 わたしのきらいなところを 大事にしてくれる人を 大切にする方法がわからない、 大人になったら わたしをすきなひとを すきにならなくちゃいけない 信じられるものを信じるだけじゃ わたしは生きていけなくなる 戻りたい、あの時の無知なわたしに もうこれ以上わかりたくない 胃の中

          ふつうの星

          わたしが持ってたふつうのきもちを あのとき、失くしてしまったから、 わたしはいつまでも前に進めない いつまでもわたしの過去はわたしのものだと、 わかっていたはずなのに、 わかっているはずなのに、 どうしても受け入れられないの 学校に行けなかったこと、 学校を辞めたこと、 ともだちのしあわせそうにみえる顔を ぐちゃぐちゃにしたいきもちになったこと、 きみの弾くピアノの傍で泣いたこと、 ぜんぶ、わたしのものなのに。 わたしの絵をほんとうはすきじゃない わたしの歌をほんとうはす

          ふつうの星

          線状降水帯

          雨は大丈夫、わたしを隠してくれるから きっとわたしのいやなところとか、 汚い気持ちとか、 ぜんぶ無かったことになるように、 計らってくれる。 雨は大丈夫、きみを忘れていられるから 君の知らないような世界のこわさを、 わたしは知っているこわさを、 愛していれば 大丈夫になるよ、もうすぐに。 すぐに消えてしまう、霧だとしても、 幻なんてそもそも、 なかったんだこの世に。 雨が大丈夫にしてくれる、 わたしはいなかったことになる。

          線状降水帯

          無口

          好きだったんだよずっと、ずっと、でもそう言ったらわたしがかわいそうでならないから。だからずっと、口に出せないままだったんだ。 きみに見てほしかっただけだった、かわいくなったことも、汚くなったことも、酷い人間になったことも、ぜんぶきみに見せつけるためのものだった。きみのせいにしたかっただけだった。 もう会えないかな、もう、二度と、会えないままかな、もう忘れたかな、だめだなぁ、わたしはなにか勘違いしてしまっていた。

          かわいいの水槽

          「かわいくなった」って、言われるたび かなしくなるだけの水槽。 わたしのことをすきでもなんでもないくせして きみはわたしを本に綴じることもしないくせして。 きみは勝ったつもりなの。 わたしのことを散々にした過去に勝ったつもりなの。 媚びを売らないで頂戴、 わたしはもう毅然として動かないから。 絶対死なない。 きみのせいで死ぬなんて、ダサいから。 わかってなんて言わない。 言う必要も無い。

          かわいいの水槽

          酸素消費生物

          死んだかな、わたしの言葉は死んだ。 わたしは誰にも手のつけられないような、 神聖な文章を書くことができない神様だから。 簡単に校閲されるようじゃ、 簡単に手を加えられるようじゃ、 ほんとうの神様をつくれない。 きみは、しんだ。 わたしは、ただ、肉体として、 それ以上でもそれ以下でもない血液の塊として、 生を掴み取った。 それが生きていることだと、 きみは言った。 きみはそう言った時、死んだんだよ。 きみの名前やわたしの名前がなければ、 きみは、わたしは、生まれてこなかっ

          酸素消費生物

          五月蝿い

          うるさいうるさいうるさいみんな静かにしてお願いわたしのことをみんな放っておいてお願いわたしがなんで死ななきゃいけないの、わたしにだけなぜ存在価値がないの、だれもがわたしのことを無視して通りすぎた、死んでしまえばいいわたしもみんなもぜんぶ、汚い感情とその存在をぜんぶ消してしまえばいい、うるさい、みんなしあわせそうな顔をして、馬鹿じゃないの、わたしは馬鹿じゃない、わたしは、馬鹿じゃない馬鹿じゃない馬鹿じゃない馬鹿じゃない。 不幸になりたい不幸になりたい、はやく死ぬことにしか期待

          五月蝿い

          せせらぎ

          つよくなったんだな、と思った、 きみがいなくても生きていけるし、 陰口を言われても生きていけるし、 飄々としながら死にたいと、ちゃんと、言えるし。 死ぬことに対して、マイナスなイメージは ひとつもわたしのなかにはなくて、 いつでもわたしは人生において、 その手段を選べるという安心感を抱えていたし、 それがあるから生きていけたと 言っても過言ではなかった。 わたしの孤独が、 きみの死んだ川のせせらぎを、 ぜんぶ絡めとってくれる、ぜんぶ許してくれる 明日はもういらないから、

          せせらぎ

          静音

          手を握った 空虚と共に 逸脱したわたしの意識とは裏腹に進んでいく 時間、強制的に流れていく、 わたしは目を開けてみる 白く流れる光 わたしは耳を澄ましてみる、 血の流れる音がしている。 わたしがスマホを充電すると、 充電している音がきこえる、 点滴をすると、 点滴の味がしてくる、 過敏すぎる知覚と、瞳孔 哀しさは何処へでも行けて、いいね。 わたしの脚はもう死んだ だからわたしは絵を描いている