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酸素消費生物

死んだかな、わたしの言葉は死んだ。
わたしは誰にも手のつけられないような、
神聖な文章を書くことができない神様だから。
簡単に校閲されるようじゃ、
簡単に手を加えられるようじゃ、
ほんとうの神様をつくれない。

きみは、しんだ。
わたしは、ただ、肉体として、
それ以上でもそれ以下でもない血液の塊として、
生を掴み取った。
それが生きていることだと、
きみは言った。

きみはそう言った時、死んだんだよ。

きみの名前やわたしの名前がなければ、
きみは、わたしは、生まれてこなかったし、
それは小指から滴り落ちたぶん
きみを緩やかに、溶かしていくだけのもの。

ぼくたちは名前に消費されているんだよ、
ぼくたちは言葉を失ってきた。
元々鍾乳洞の中の酸素だったそれは、
ぼくたちを透明にしていくだけの、
孤独だったはずなのに。

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