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「カフェ倒産過去最多」についてコーヒー屋店主が考える

僕は今、京都でLaughterというコーヒーショップを運営しています。


・カフェ倒産過去最多、本当の要因は?

Yahooニュースを見ていると、こんな記事が出てきました。
ラーメン屋に焼肉屋、パン屋と最近はあらゆるジャンルのお店が「倒産過去最多!」と報じられていますが、今度はカフェか…。

コーヒー屋を営む者として他人事ではない。そんな気持ちで記事を読んでみました。

・コーヒー豆の高騰は直接要因ではない…?

記事を要約するとこんな感じでしょうか。

・有力産地での不作や、アジア圏での需要拡大、円安などでコーヒー豆の価格高騰が続いている
・2023年の喫茶店倒産は72件で前年の倍以上で過去最多
・コーヒー豆はアラビカ種とロブスタ種の2種類に大きく分けられる
安価で病害虫に強く、インスタントコーヒーなどに使われてきたロブスタ種の価格が一気に高騰。カフェなどで主に使われるアラビカ種の値上げ幅はそこまで大きくない
・カフェ倒産増の原因はコーヒー豆の価格高騰だけでなく、高齢化・後継者問題もある
・人件費や光熱費高騰の方が経営への影響は大きいのでは
・コーヒーを飲める場所が増えすぎて、過当競争になっているのではと分析する専門家も
・勝負のカギは「店の独自性」にあり

https://news.yahoo.co.jp/articles/9dea6c7633dc9117b1843a75d00e22aff72219d6より

こういった記事では「原価の高騰が全ての原因」とまとめられがちですが、こちらの記事は、コーヒー屋の僕からしてもコーヒーやカフェの現状を分かりやすくまとめられているなと感じます。

そもそも、コーヒー一杯に使われるコーヒー豆が10~15gほどであることからも原価の高騰は「コーヒー一杯」だけを見れば、実はそこまで大きなものではありません。

例えば…
日本国内でも10%ほどしか流通していないとされる「スペシャルティコーヒー」
1キロ1800円から2000円ほどの価格帯のものが多く、一杯当たり40円~50円ほどの原価となります。
一杯500円で販売しても原価率は10%、豆のグレードをもう少し下げればさらに原価率をよくすることは可能でしょう。

「コーヒーってやっぱり原価率ええんやなぁ」と思った皆さん。
これはあくまでも「コーヒー一杯の原価率」に過ぎません。

・原価率低い=儲かるではないよ

カフェ経営最大の壁は「客単価の低さ」と「回転率の悪さ」と言われます。
皆さん、自分の行動を思い出してください…。
居酒屋でビールやハイボールをおかわりすることはあっても、カフェでコーヒーをおかわりすることはまずないんじゃないでしょうか。

更に、コーヒー一杯でカフェで数時間も作業したり、お友達とお喋りしたりしたことがある!という方も多いのでは?

原価率は低くともコーヒー一杯で提供しているものがかなり大きくなりますので、原価率が低いからと言って儲かるわけではありません。

飲食店の売り上げは「客単価×客数」とシンプルなもの。
客単価を上げようとすると、フードメニューなどで原価率が上がっていきますし、手の込んだメニューにするならバイトを入れる必要も出てくるでしょう。

客数は立地も大きな要素ですが、そもそも良い立地にはそこそこの家賃が掛かるもの。

カフェ経営ははやっぱり甘いもんじゃないと思います。

・「過当競争」はあまり感じないかな。敵はむしろ…

お店に立つ中で、コーヒー屋が増えすぎて過当競争とはあまり感じていません。その土地ごとに特色があるのかもしれませんが、京都のコーヒー屋同士はライバルというよりは、それぞれのお店にファンが付いてるような感じですね。
コーヒー屋巡りが好きな方におススメの店を聞かれて答えることもあるし、「○○コーヒーさんにおススメされてきました!」と言われることも。

「コーヒーって面白いじゃん!」と思う方が一人でも増えれば、それはコーヒー業界全体の利益に繋がるわけで。コーヒーの値段も右肩上がりで、何となくの危機感はみな共有しているもの。

「競争」よりは「共存」の空気を感じます。

過当競争よりむしろ敵は「災害級の猛暑」「何となくの不景気感」
これにつきます!!

そもそも夏が閑散期なコーヒー業界なのに、この猛暑はツラいものがあります。
「暑いから外出をしない!」となると固定店としてお手上げ状態。
カフェタイムとされる昼過ぎから夕方は、一日の中で最も暑くまず人が歩いていない…。
この猛暑、本当にいつまで続くんでしょうか…。

そして、もう一つの敵は「何となくの不景気感」
コーヒーのような嗜好品はまず真っ先に減らされる支出です。

皆さん、とりあえずコーヒー飲んで顔上げていきましょう(笑)

・カフェ経営の強みは…

マイナスなことも書いてしまったので、最後はカフェ・コーヒー屋の強みで言うと…
「継続しやすい」ことではないでしょうか。
しっかり近隣の方を掴んでいけば、売り上げが急減することはあまり考えられません。(急激に売り上げが上がることもありませんが(笑))
地に足付けて一歩一歩進めていくビジネスとしては大きなやりがいを感じられるものだと思っています。

コーヒーが日常をそっと彩るものであるように。
カフェ・コーヒー屋も、誰かの日常に寄り添えるものであれば良いなと思うし、僕はいつもそんな存在でありたいと思ってお店に立っています。

価格高騰など立ち向かうべきものが沢山ありますが、明日からも誰かの日常を彩れるように頑張ります☕
僕のお店でもいつでもお待ちしてますよ


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